木戸奏江

10才の時に顔面肩甲上腕型筋ジストロフィーと診断される。20才より電動車いす使用。20…

木戸奏江

10才の時に顔面肩甲上腕型筋ジストロフィーと診断される。20才より電動車いす使用。2021年5月に第一子出産。2017年4月〜2023年7月WHILL株式会社にて、マーケティング業務に従事。

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子どもに病気が遺伝してもしなくても、産み育てていこうと決意した理由

結婚2年目の27歳。進行性の難病、顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー(以下、FSHD)による全身の筋力低下により、20歳より電動車椅子ユーザー。2020年秋、初の妊娠が分かり、5月に出産予定(無事出産しました!)。 妊娠・出産・子育てについては、病気の進行や子どもへの遺伝など、覚悟が必要なことがいくつかありましたが、長い間悩んで決めました。その過程についてご紹介します。 私の病気は約50%の確率で子どもに遺伝する私は顔面肩甲上腕型筋ジストロフィーという病気を持っている。この病気

    • 「歩道を走れるスクーター」に乗ってみたことで、「私が乗り物に求めることは何か」を考えた話

      「歩道を走れるスクーター」WHILL Model Sは、2022年9月13日にWHILL社が発表したスクータータイプのモビリティだ。 これまでWHILL社が発表してきたWHILL Model A/C/Fはすべて片手で操作するジョイスティックタイプで、前にハンドルがついているスクータータイプはModel Sが初となる。 普段私はModel Aを利用して生活しているが、先日初めてModel Sに乗ってみた。そこで感じたこと考えたことを書いてみようと思う。 WHILL Mod

      • 筋ジスで妊娠出産!ズバリ、病気は進行した?

        結論、ちょっと進行したかな?うーん分からない!妊娠が分かった時と比べてできないことは増えた。ただ、私の病気は進行性であり、妊娠出産しなくても時間の経過によって進行していく。なので、どれほど妊娠出産が病気の進行に影響しているかは、やっぱり分からないというのが正直なところ。ポジティブに捉えれば、はっきり分からない程度の影響度合いということである。 横になる時間が長く、筋肉が落ちた可能性も妊娠中は横になる時間が多かった。妊娠初期はつわりで毎日船酔い状態。1日に何度も嘔吐した。食事

        • 障害のある親として「ヤングケアラー問題」に思うこと

          障害者が子どもを持つことが話題にのぼるとき、しばしば「ヤングケアラー」というワードが取り沙汰されます。 ヤングケアラーとは、一般に、本来大人が担うと想定されている家事や家族の世話などを日常的に行っている子どもとされています。 以前、遺伝性疾患がある私の妊娠出産に関する記事が出たときも、コメント欄には「病気が遺伝しなかったら、子どもに介護させるのか」「子どもは生まれてから介護生活だ」という声が多く見られました。 もちろん可愛い子どもに自分の介護をさせるつもりは一切ありませ

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        記事

          筋ジスで車椅子ユーザーの出産体験記③

          <前編はこちら> 2021年5月中旬、私は初めての出産を経験しました。 顔面肩甲上腕型筋ジストロフィーで車椅子を使っている人の出産例は少なく、私も情報収集に苦労したため、体験記を綴ってみました。 ※「顔面肩甲上腕型筋ジストロフィーならでは」の情報は太字にしました。同じ病気の方の参考になればと思います。 出産翌朝朝7時、朝食が運ばれ、少し背もたれを起こしてOKになりました。 少しでもお腹に力を入れるとズキッ!!!と痛みが走るため、恐々背もたれの角度を上げていきました。

          筋ジスで車椅子ユーザーの出産体験記③

          筋ジスで車椅子ユーザーの出産体験記②

          <前編はこちら> 2021年5月中旬、私は初めての出産を経験しました。 顔面肩甲上腕型筋ジストロフィーで車椅子を使っている人の出産例は少なく、私も情報収集に苦労したため、体験記を綴ってみました。 ※「顔面肩甲上腕型筋ジストロフィーならでは」の情報は太字にしました。同じ病気の方の参考になればと思います。 人生初の下剤で灰になる手術日の朝、ものすごい倦怠感とともに目が覚めました。 最初何が起こったのか分からなかったのですが、原因は昨晩寝る前に飲んだ下剤。 手術中、大惨事

          筋ジスで車椅子ユーザーの出産体験記②

          筋ジスで車椅子ユーザーの出産体験記①

          2021年5月中旬、私は初めての出産を経験しました。 顔面肩甲上腕型筋ジストロフィーで車椅子を使っている人の出産例は少なく、私も情報収集に苦労したため、体験記を綴ってみました。 ※「顔面肩甲上腕型筋ジストロフィーならでは」の情報は太字にしました。同じ病気の方の参考になればと思います。 筋ジスで自然分娩(経膣分娩)はできる?妊娠を周囲に報告したときに、よく質問されたことの一つが、「自然分娩はできる?帝王切開で産むの?」というものでした。 筋ジストロフィーには様々な病型があ

          筋ジスで車椅子ユーザーの出産体験記①

          自己紹介

          はじめまして。木戸奏江(きど かなえ)と申します。 1993年生まれ。10才の時に顔面肩甲上腕型筋ジストロフィーと診断され、20才より電動車いすを使用しています。全身の筋力低下と軽度難聴があります。 2019年に結婚、2021年5月に第一子を出産しました。 noteでは障害者・難病患者としての、結婚・出産・育児について記事を書いていきます。 近距離モビリティのWHILL株式会社にて、マーケティングのお仕事をしており、同時にWHILLの1ユーザーでもあります。 少しず

          自己紹介

          筋ジス患者である私が出生前診断について思うこと

          出生前診断について私が調べたこと私は病気が遺伝してもしていなくても「産む」という気持ちでいた。しかし、お腹の子が産まれた後のために、遺伝しているかどうかを事前に調べたいとも思った。 そのために出生前診断の情報について、集めたので紹介する。念のため、2020年秋の情報である。 現在、私の病気である、顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー(以下、FSHDと略す)は出生前診断の対象ではない。技術的には可能だが、日本産科婦人科学会では認められていない。 出生前診断の対象となる病気は、重

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          10年間「子どもは産めない」と思っていた筋ジス患者が妊娠出産を決断するまで。

          結婚2年目の27歳。進行性の難病、顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー(以下、FSHD)による全身の筋力低下により、20歳より電動車椅子ユーザー。2020年秋、初の妊娠が分かり、5月に出産予定。 妊娠・出産・子育てについては、病気の進行や子どもへの遺伝など、覚悟が必要なことがいくつかありましたが、長い間悩んで決めました。その過程についてご紹介します。 障害や病気の有無にかかわらず、子どもを産むか産まないかの判断は、「天秤」だと思う。 私の場合、「産む」方の皿には「子どもを産みた

          10年間「子どもは産めない」と思っていた筋ジス患者が妊娠出産を決断するまで。

          リモートワークで、軽度難聴によるストレスがなくなった話

          私は普段、補聴器をつけて仕事している。とはいえ、難聴の度合いは軽度で、日常生活には問題ないが、仕事によっては厳しいところがある、という程度。 ちなみに、私の難聴は顔面肩甲上腕型筋ジストロフィーの合併症である。よって、手足も不自由で、電動車椅子を使っている。 標準的な音量の一対一の会話、電話での会話は補聴器がなくても問題なく可能。 ただし、3名以上のミーティングや、1m以上離れた人の声、オフィス内での小声、早口の人の会話には、聞き取れない部分がたびたび発生し、会話について

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          子どもに「障害」や「車いすユーザー」を、どう説明するか?

          週末、外出自粛の暇を持て余して大学時代のPCを整理していたら、懐かしい資料が出てきた。 5年前、私は複数の小中学校に向けて、車いすに関する障害理解教育を試行錯誤しながら行っていた。 障害理解教育とは、福祉教育とも言われ、教育現場で行われる障害についての学習のことである。方法としては、子どもたちが車いすの乗ったり、アイマスクをつけたりするなどの擬似体験や、障害のある人の講話などが多い。 当時、障害理解教育について考えた内容と、中学生たちに実際に行った対談を公開してみる。

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          「病気を克服する」という言葉がしっくりこない件

          私の病気が筋ジスだという前情報を持っている某記者さんから、「どのように病気を克服しましたか?」と聞かれて、「病気を克服する」という言葉に違和感を持ったので、なぜなのか考えてみた。 克服 [名](スル)努力して困難にうちかつこと。「病を克服する」(大辞泉) ①病気を克服する=病気を治すなら、治療法がない筋ジスの私にそれを聞くのは謎。ググれ。筋ジスの症状をセルフで緩和できないとすれば、むしろ筋ジスを克服するのは「医学」なのでは。 ②メンタル面の話だとしても、私は「何かを克服

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          障害者の結婚について本気出して考えてみた

          2019年10月、8ヶ月間の同棲を経て、会社の同僚と結婚した。結婚について聞かれることが多くなってきたので、過去考えてきたこと、現在考えていることをまとめた。 そもそも結婚願望はあったか結婚願望は人並みにあった。結婚に障害は関係しないと思っていた。 制度を使ってヘルパーさんに来てもらい、一人暮らしもしてたし、家電の進化も凄まじい。相手の負担にならない具体的な方法もずっと考えてきたので、パートナーと快適な生活を築いていける自信があった。自分の病気が理由で結婚できないとか、結婚

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