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筋ジスで妊娠出産!ズバリ、病気は進行した?
2021年5月中旬、私は初めての出産を経験しました。
顔面肩甲上腕型筋ジストロフィーで車椅子を使っている人の出産例は少なく、私も情報収集に苦労したため、体験記を綴ってみました。妊娠出産について考える際に、私が最も気にしていたことの一つが、どれほど病気が進行するか。その後の仕事や子育てにも関わる重要なトピックです。同じ病気がある方でこれから妊娠出産を考えている方に、少しでも参考になれば幸いです。
結論、ちょっと進行したかな?うーん分からない!
妊娠が分かった時と比べてできないことは増えた。ただ、私の病気は進行性であり、妊娠出産しなくても時間の経過によって進行していく。なので、どれほど妊娠出産が病気の進行に影響しているかは、やっぱり分からないというのが正直なところ。ポジティブに捉えれば、はっきり分からない程度の影響度合いということである。
横になる時間が長く、筋肉が落ちた可能性も
妊娠中は横になる時間が多かった。妊娠初期はつわりで毎日船酔い状態。1日に何度も嘔吐した。食事とトイレとお風呂を除いてずっと横になる生活を1ヶ月間送った。
妊娠後期も初期のつわり時ほどではないが、横になる時間が長かった。お腹の赤ちゃんが大きくなり、肺を圧迫するので少しの動作で息切れした。
夜も呼吸が浅くなりホルモンの影響もあり眠れなくなった。そのため昼間もずっと眠く、昼寝ばかりしていた。
病気でなくとも筋肉は使わないと衰える。横になることは赤ちゃんと自分の体を守る上で大切なこと。「もっと頑張って起きていれば…」とは全く思わないが、やはり筋肉には良くなかったかなと思う。
一方、重りをつけたような生活で筋肉を保てた感覚も
日常生活の中で心がけていたことがある。
お腹の赤ちゃんが育ち、段々と体重が重くなっても、なるべく妊娠前と変わらない動作で日常生活を送ること。もちろん転倒などの危険がない範囲で。
その結果、妊娠9ヶ月の前半まで、トイレ、入浴、着替えなどは妊娠前とほとんど変わらない動作で行い続けることができた。
妊娠9ヶ月の私の体重は妊娠前から+10kg。
10kgの重りをつけて生活していることになる。横になる時間が長い生活を送りながらも、ある程度筋肉をキープできた感覚があるのは、これが一つの要因ではないかと思う。
運動はプールがおすすめ
妊娠8ヶ月に入ってからは、筋肉が落ちないように週2回、プールに行って歩いた。
陸上での運動の場合、体重が重くなっているので筋肉や骨に負担をかけている感覚があるが、水中なら浮力があるためそういった負担はない。
また水中では転倒の危険もないため、安心して運動することができた。妊婦にとって尻もちは命取り、転倒は絶対避けなければならない。
肺機能の衰えも心配だったので、ヘルパーさんに支えてもらいながら少し泳いだりした。
近くの区民プールは水中用の車椅子があり、スロープを使ってプール内に入ることができる。ヘルパーさんに着替えや水中用車椅子での移動を介助してもらった。また一緒にプールに入ってもらい常時見守ってもらうことで、リスクを減らして運動できた。
急にできないことが増えた臨月〜産後2週間
妊娠9ヶ月までは頑張っていたものの、臨月が近づくと一気にできないことが増えた。息苦しくて眠れなくて赤ちゃんもとても重くなって、もう限界!
お腹が重いせいでバランスが取れなくなり、転倒のリスクがぐんと上昇したので、入浴時は夫に頼ることにした。
トイレの時に手すりを持って立ち上がったり、何かにつかまって立った姿勢を保つことは臨月までできた。
出産は帝王切開。お腹を横に12cmぐらい切った。腹筋にメスを入れたことで、手術直後は全く立ち上がれなくなった。力が入らないというよりは、そもそも力の入れ方が分からないという感じ。
私のポヨポヨのお腹には腹筋が全くないと思っていたが、少しは存在していたらしい!
産後2週間はトイレもお風呂も全介助だった。
筋ジスは筋肉の再生にも影響を及ぼす病気だと言われている。傷つけられた筋肉は元に戻るのだろうかと不安だったが、産後3ヶ月経つとすっかり元通りになった。産後10ヶ月では白く傷跡が残っているだけで、痛みも違和感も全くない。
ハイテンションな産後の回復期
産後、私の体重はものすごい勢いで落ちていった。妊娠前+13kgまで上がった体重は、産後1ヶ月で妊娠前+3kgまで落ちた。
一気に10kgも軽くなった体は本当に快適で夢のようだった。
産後2週間目には立った姿勢を保てるようになり、産後3週間目には再び1人でトイレを済ませられるようになった。
産後1ヶ月半経つと、また以前のように一人で入浴できるようになったが、お風呂の椅子から立ち上がりに一部介助が必要になり、浴室から出るときだけヘルパーさんの手を借りるようになった。(以前は最初から最後まで入浴は一人でできた。妊娠前と比較して生活が変わったのはここぐらい。)
着替えて、バッグを持って、室内用の椅子から立ち上がって、玄関を開けて外に出て、車椅子に腰掛ける、という一連の動作は臨月にはできなくなったが、産後半年でまた一人でできるようになっていた。
もう一人で外に出られないんだなと思ってたけど、戻るもんなんだなと驚いた。
筋ジスを発症してから、筋肉が衰えるにつれて「前はできていたことができなくなる」という体験を繰り返してきた。
しかし、産後は立ち上がれるようになったり、歩けるようになったり、「日に日に何かができるようになっていく」という体験の連続!めちゃくちゃ新鮮でハイテンションだった。
元通りになるまで半年はかかる。
出産後の身体が元の状態に戻るまでの期間を「産褥期(さんじょくき)」といい、およそ6~8週間と言われている。
けれど私の場合、半年経ってやっと元の体に戻った感覚があった。帝王切開の影響か、ずーっとお腹を下していたし、浮腫がしばらく取れず、筋肉の動きも違和感があった。
一般的な産褥期が終わったからといって「もうこれ以上は回復しないんだ…」と気落ちしなくても大丈夫。体はゆっくり回復していく。
一時的にできないことが増えたことで発見も
臨月から産後2週間は、物理的な重さや浮腫でいろんなことができなくなり、10年分ぐらい一気に病気が進行したような状態になった。
もちろん大変だったけど、その大変さの本質は「短期間に一気に動けなくなったこと」であり、ゆっくり進行する病気に合わせて居住環境さえ整えれば全然問題ないと思った。
また、妊娠により一時的に動けなくなることでいろいろシミュレーションできた。
「トイレはこう動いたら立ち上がれなくてもできるんだな」「こういうリフォームをしたら一人でシャワー浴びれるんだな」などと、将来病気が進行したときのイメージトレーニングを実体験を通してできたのは大きかった。
具体的な解決策をイメージできたことで「10年後でも私の生活、全然なんとかなるやん💡」と気持ちがとっても軽くなった。
あくまで一例として参考になれば
私の妊娠経過はとても順調だった。
しかし何が起こるか分からないのが、妊娠出産。つわりが長引いて臨月までおさまらないことや、切迫早産で数ヶ月間の絶対安静が必要となったりすることも持病の有無に関わらずある。そうなると寝たきりの時間が増えて筋肉に影響を及ぼすことは考えられる。
また、筋ジストロフィーの型や元々の進行度合いによっても異なる。あくまで一例として参考にしていただけたらありがたい。
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