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【追悼】シェリー・デュヴァル

夜中に起きると、シェリー・デュヴァル死去の報が流れていた。11日、糖尿病の合併症により75歳で亡くなった。


Shelley Duvall, co-star in "The Shining," dies at 75
(ABC)


故郷テキサスの短大を出て栄養士を目指していたが、たまたまロバート・アルトマン監督の目にとまり、スカウトされて女優になった。

独特な容貌で70年代アメリカ映画のアイコニックな存在となり、アルトマンの映画のほか、ウディ・アレンの「アニー・ホール」などに出演した。


「アニー・ホール」(1977)


デュヴァルは、21歳のとき故郷で結婚したが、4年で離婚した。

その後、「アニー・ホール」撮影で知り合ったポール・サイモンと一時期、同棲していた。


ポール・サイモンのX公式アカウントは、以下の追悼のポストを投稿した。


シェリーの訃報に接してとても悲しい。優しく、才能があり、エキセントリック(だった)。
(ポール・サイモン 日本時間2024年7月12日5:11)


ポール・サイモンと別れたあとは、リンゴ・スターとデートしていた。


その後、男性のパートナーはいたが、結婚はせず、子供もいない。



シェリー・デュヴァルといえば、誰もが「シャイニング」(1980)での迫真の演技を忘れないだろう。

「家庭内暴力」の真実の恐怖をスクリーンに描いたものとして、多くの女性にインパクトを与え、評価されている。

「シャイニング」(1980)


完璧主義者キューブリックのせいで、撮影中、デュヴァルはストレスで心を病んでいた。キューブリックの演出は、パワハラ的というより、とにかく撮り直しが多かったようだ。だから、映像に残る彼女の神経衰弱や恐怖の表情がほぼ「本物」だったことが今では知られている。

「シャイニング」のデュヴァルの演技は、当初酷評され、ゴールデンラズベリー賞(最低映画賞)女優賞にノミネートされた。演技以前で、ナマ過ぎると思われたのだろう。ラズベリー賞主宰者はこれを後悔し、2022年に正式にデュヴァルの「最低女優賞」ノミネートを取り消している。


われわれの世代では、同時期のアルトマン監督「ポパイ」(1980)のオリーブ役も忘れ難い(ポパイはロビン・ウィリアムズ)。


「ポパイ」(1980)


この映画、今では批評的に評価されず、忘れられているが、当時はヒットした。なるほど実写版オリーブは彼女しかいない、と思えたものである。


デュヴァルはその後、本格的に心を病んで、2000年あたりからほぼ20年間、表舞台から姿を消していた。

ごく最近になって、再び姿を現すようになり、2023年のホラー映画「The Forest Hills」に出演した(20数年ぶりの復帰作で、同時に遺作となった)。

「The Forest Hills」(2023 日本未公開)のビジュアル


わたしも昨年、70代になった彼女をYouTubeで見て、その容姿の変わりようには驚いたが、心の安定を得て、幸せそうだったので安心した。

Entertainment Tonight with My Interview Footage of Shelley Duvall (Brian Michael Finn 2022/12/8)



ファン・クラブの女性が、死の4日前の日曜日7月7日、75歳の誕生日で訪れたさいの、彼女の幸せそうな姿を投稿していた。


ご冥福をお祈りします。




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