見出し画像

毎日新聞の西山太吉記者は正しかった、と言いたい人たち 【メディアのモラル】

西山事件の西山太吉氏が亡くなった。


西山事件については、前に書いたな、と思って探したら、昨年の4月だった。

朝日の峯村健司記者(当時)が、安倍晋三氏をめぐる他社の原稿に介入し、懲戒処分を受けことに絡めて書いたのだった。


まだ1年たたないけど、もう随分前のような気がする。峯村氏の処分については、もうすっかり忘れられた感じだ。

安倍晋三氏が生きていた頃というのが、遠い昔に感じる。



外務省の女性職員と寝て機密情報を盗んだ西山事件は、読者の反発を招き、毎日新聞の部数を大幅に減らしたことで有名だが、当の毎日新聞を含め、新聞記者たちは西山のやったことを悪いと思っていない。

むしろ英雄であり、いつか名誉挽回させてあげたい、と古い世代の新聞記者が言うのをよく聞いた。

その度に「マジか。よく懲りないな」と思ったものだ。

本来なら、アンマンの空港で爆弾を爆発させた毎日記者と同じように、二度と表には出てこれなかったはずだ。ジャーナリズムの信用を毀損して新聞社をほとんど潰したのだ。

だが、新聞社のエライ人たちと、とにかく「国家権力」が嫌いなサヨクの人たちは、再び彼を表に出して、「悲劇の英雄」として、小説・ドラマで売り出すことに決めた。

「マジか。正気か」とその時も思った。

以下に、以前に書いたものから少し引用する。


<過去記事(2022年4月22日)より引用>

かつて毎日新聞記者が、社会党議員に情報を漏洩した、西山太吉事件というのがあった。
そういえば西山氏は、最近のインタビューで、「私は犠牲者だが勝利者だ」などと意味不明のことを述べていた。

同じ安全保障に関わる事項であり、方向としては逆でも、本件は案外、西山事件に似ているかもしれない。(峯村記者も「私は犠牲者だが勝利者」とか言うかも)
外務省の女職員をたらし込み、機密情報を野党議員に渡して国会で追及させた。この西山事件に人びとは呆れ、毎日新聞は部数を大幅に減らした。
しかし左派メディアは、どうしても西山事件を正当化し、西山太吉の名誉回復をしたかったらしい。
西山の「正義感」を描いた小説「運命の人」(山崎豊子)に毎日出版文化賞を与え、TBSは2012年に、本木雅弘が西山を演じた同名のテレビドラマまで作った(流行らなかったが)。
だから左派メディアは、今も野党議員とつるむのは、あんまり悪いと思っていないんだろうな。

<引用終わり>


私は、旧世代の西山氏への評価にずっと違和感を感じていた。

ベストセラー作家の山崎豊子を使い、かつてそのために会社を潰された毎日新聞社がお手盛りで毎日出版文化賞を与え、あれほど毎日とTBSが宣伝に力を入れた「運命の人」が、まったく当たらなかったのは、やはり人々が新聞記者の手前勝手な価値観に共感できなかったからだろう。

西山事件や西山氏の評価について、さまざまな議論があってもいいが、読者との感覚のギャップを、メディアはまだわかっていない気がする。

(そりゃ毎日新聞は何度でも潰れるわ、と思う)

西山氏の死去にあたり、改めてその違和感を思い出した。



<参考>


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?