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暑い日向けパスタ ミントとアーモンドのペーストとロックダウンのミラノ脱出


今年は北イタリアは雨が多く、気温も30度を超えない日が多かったのですが、ここ一週間だいぶ気温が上がりました。

5月ににわとこの花のレシピをご紹介した時に。実のなる季節になったら、にわとこの実を取りに行って、にわとこの実のジャムのつくり方をご紹介すると書きましたが、気温に負けて出不精になっています。こんな陽気に町のハズレまで出かけるなんて大変すぎる。。。

夏の定番パスタというとNo.1はこちらですが、今回紹介するミントとアーモンドのパスタもなかなかです。
https://note.com/kajorica/n/n73ecc4b68438


日中の気温が35度を超えると、もう全く火を使わないで済むガスパチョや1分で茹で上がる素麺などが定番メニューになりますが、暑いと言ってもまだ33-34度。日本よりは湿度が低いので、この程度では冷房はまだ入れません。
料理の方もパスタを茹でる事くらいは可能。プラスアルファでソース用のフライパンまで火にかけるのはできれば避けたい、と言う程度の陽気です。

そこで夏向けの爽やかなミント味のパスタをご紹介します。
最後にレモン果汁を足すとより夏向きに清涼感が増しますが、ミントとアーモンドだけでもオールシーズン美味しくいただけます。

また通常ペーストジェノヴェーぜと呼ばれるジェノバ風ペーストだと高価な松の実を使いますが、アーモンドを使い経済的で美味。

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2021年の秋の新型コロナの行動規制が州別に感染状況により異なった時、行動規制の緩いお隣のヴェネト州ヴェローナ市の友人キャーラが家の一軒を私専用に空けて使わせてくれた時に手土産で持っていったもの。その時の話はレシピの後に。


材料写真
主にはキューバのカクテル,モヒートを作るためにバルコニーで栽培しているミントを使います。


<材料> 二人分

・生のミントの葉   約80枚

・アーモンド 40粒

・エキストラヴァージン・オリーブオイル 適量

・塩、胡椒 適量

・レモン果汁 半個分
*入れるとより爽やかで夏向きになりますが、なくてもOK


<作り方>

1・アーモンドは10粒ずつくらい沸騰した湯の中に投入し、2-3分ふやかしてから取り出して渋皮を剥きます。ふやかすと、強くつまんだだけで簡単に渋皮が剥がれます。
*時間を短縮したい場合はすでに渋川を剥いてあるものを買ってきてもOK
ただし、すでに粉状になっているものは酸化が進んでいる可能性があるので、避けます。

2・空き時間を見つけてミントの葉を洗っておきます。

3・1のアーモンドを粗く刻みます。
*強力なフードプロセッサーを持っている人はこの過程は省略してOK

4・フードプロセッサーに3のアーモンドと2のミントを入れてスイッチを入れます。

5・4に少しずつエキストラヴァージン・オリーブオイルを加えながら適当なところで塩胡椒で味を整えます。

6・滑らかになったらペーストの出来上がり。この状態で2、3日冷蔵庫で保存可能。

7・食べる前はバスタを茹でながら、茹でている湯をペーストに少し加えてよく混ぜます。

8・茹で上がったパスタを混ぜて出来上がり。

*暑い季節、いっそうさわやかに頂きたい場合や、酸っぱいものの好きな方はレモン果汁を少し絞ってかけても美味しいです。

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新型コロナが蔓延した最初の年のミラノ脱出作戦。
欧州で真っ先に新型コロナが広がったイタリアでは2020年春は極めて厳しい行動規制が全国的に施行された。

イタリア人に驚かされるのは、普段、こんなに規律に従わない国民も珍しいのではないかと思うのに、非常事態になると皆驚くほど従順に規律に従うこと。

ウイルスの感染力が弱まる初夏から初秋にかけては行動規制が緩み、秋からは感染増加の状況をリアルタイムでモニターしながら州別に行動帰省の基準が分かれた。

最も規制が厳しいのがレッドゾーン、基本的に外出禁止。いくつかの特例だけに外出が許された。それから少しだけ緩いのがオレンジゾーン。レストランなども営業できる最も緩いのがイエローゾーン。
わたしの住んでいる北イタリアのロンバルディア州は真っ先にレッドゾーンに指定され。同じ北イタリアでもヴェネト州はイエローゾーン。

実業家のキャーラは私より10歳ほど若いのだが、しっかりしていて全く年下という感じはしない女性だ。当時ヴェネト州の最もロンバルディア州に近い町ヴェローナの大手製紙会社で社長をしていた。
元々彼女が子会社の文房具ブランドの社長をしていた時にクライアントとして知り合い、その後も個人的な付き合いが続いていた。

ロンバルディア州がレッドゾーンに入って間も無く、キャーラから電話。
「レッドゾーンなんて不便でしょう?しばらくヴェローナに来る?”小さい家”をしばらく専用で使えるようにオーガナイズするから。」という有難い申し出だった。

「小さい家」というのは彼女が自力で買った、とてもコージーで明るくて景色の良い80平米程度のアパート、もう一つお母さんが買ってくれたという「大きい家」というのがあり内部の作りだけ見たら「ここお城?」と思うような数百平米の高級アパートを市内の一等地に持ってるので、過剰な接触を避けるために彼女はゴージャスだけど少し住みにくい「大きい家」に移り、わたしは使いやすい「小さい家」にいてお互いに時間が取れる時に会って一緒に食事をしようということなった。

ミラノの家から電車に乗りヴェローナ駅に到着するまでの行動規制コントロールが心配なら、彼女の会社からミーティングの招集状を書いてあげるとまで言ってくれた。

招待が風変わりであればあるほど好奇心をそそられる私はその誘惑に抵抗できず、当然のことながら快く招待を受けることにした。

心使いが嬉しかったので、思いつく限りの手土産を用意した。自家製保存食やとっておきのワインなどと一緒にこのペーストも作って持って行いった。


10年前の「大きな家」でのパーティー
ミュージシャン付き


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その10年くらい前だったか、彼女の会社とコラボレーションを始めてしばらくの頃、やはりヴェローナに招待された時に何故事務所を大きくしないのかと訊かれたことがある。

彼女は思考回路が実業家なのでビジネスはどんどん拡大するのがもちろん良いと考えている。
でもわたしはそうは思っていなかった。

だいたい営業などというものをした事はなく、若い頃から探さなくても仕事は入ってきていたので、逆に言うと、もしも仕事が減ってきた時、事務所と大勢のスタッフをを維持するために仕事を探すなんて、どうして良いか見当もつかないから、と答えたと記憶している。

事務所を拡大したら、デザイン作業はスタッフに任せ、自分は自分の名前の売り込みと、監修とクライアントとの交渉だけに専念するなんて、まるで嫌いな職業に転職するようにさえ思え、考えただけでもぞっとした。

その後、景気も変わり、自分の仕事の状況も変わったけれど、その時の選択を後悔した事は、一度もない。

丘陵地帯から見下ろすヴェローナの街
シェイクスピアのロメオとジュリエットの舞台になっています。

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