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【衝撃実話】結婚式1ヶ月前に彼がいなくなった 第二章


まずはこちら ⇨⇨⇨ 第一章『彼との出会い』をお読みください♪

第一章・・・彼との出会い
第二章・・・幸せな日々
第三章・・・プロポーズ
第四章・・・彼はいなくなった
第五章・・・彼が消えた訳
第六章・・・彼が消えてからの私

第二章・・・幸せな日々

リクと付き合って1年半が経った。
職場も部屋も近く、いつも一緒だったが相変わらず穏やかな日々が過ぎていった。仕事も順調だった。私はベルスタッフからフロント業務に替わりチェックインやチェックアウトのお客様対応やVIPのお部屋案内をしたりと人と話すのが好きな私にとって、ここでの仕事は天職だった。

沖縄の海は当時と同じ眩しくて美しい。沖縄独特の湿った感じや爽やかな空気の中で働けることが本当に幸せだった。
毎日、今ここにいることに感謝していた。


その日、ベルスタッフのリクは沖縄の離島のホテルからきた藤原支配人という方のショールームをしていた。お部屋や施設を見学するのでその案内係だ。藤原支配人が働いているホテルは以前から私が憧れていたホテルだった。ホームページでしか見たことがなかったがお部屋や施設がとても魅力的で一度は泊まってみたい素敵なホテルだった。

その離島はリクの故郷だったので、いつか2人で住む日を夢見ていろいろ調べていたので知っていた。お部屋案内が終わりリクが藤原支配人とフロントに戻ってきた。

あれ?この人、、、会ったことある人だ。

しかし、どこで会ったのか必死に思い出そうとしても思い出せなかった。頭をフル回転させる。

あっ。思い出した。


私は沖縄に来る前にツアーコンダクターをしていた。その時に広島県にいったことがあった。そのホテルの支配人で挨拶をしたことがあった。
転職して今は離島のホテルで働いているとのことだった。

すごい偶然だなと思いながらその支配人に挨拶をした。懐かしいですね、こんな偶然あるんですねーと話が盛り上がり名刺交換をした。後日談で支配人は完全に私に話を合わせていたらしい。全く私のことは覚えていなかったそうだ。

しかし、そこから話はトントン拍子だった。

私は後日藤原支配人に連絡をとり憧れていたそのホテル、リクの故郷にあるホテルでコンシェルジュのチーフとして働けることになったのだ。今のホテルも大好きだったが、リクの故郷に追々住みたかったので嬉しかった。
その離島と沖縄本島は飛行機でしかいけない。もちろん引っ越してホテルの近くに住むことになる。

仕事の都合で私はリクより一足先にその離島に住むことになった。しばらくはホテルの寮に住んだ。その間にもリクは毎日連絡をくれた。
よっぽど寂しいのだろう。

私はこの島に来たのは初めてだった。想像していたよりも都会だった。コンビニもあるし24時間空いているスーパーもあった。海は沖縄本島の海よりさらに透明度が高くどこのビーチに行っても感動した。

ここに一生住むのかと思うと、またわくわくした。
到着して数日して貯めていたお金をATMからおろし、中古車屋さんへ向かった。初めてのマイカー。車種は決めていた。小回りのきく軽自動車で。
欲しい色の車がちょうどあった。とっても可愛いパールピンクの車。

沖縄は海の潮風の影響で車が錆止めをしてもすぐに錆びると聞いていた。どれくらい乗れるのか心配だったが欲しい車種があったので現金一括で車を買った。何歳まで乗れるかなと考えると希望と期待で目の前の景色がキラキラしていた。初めて沖縄に来た時と同じ。

嬉しさが身体中から溢れていたに違いない。

私がこの島にきて2ヶ月ほど後にリクが来た。一緒に住める部屋を探し、同棲生活がスタートした。

私は職場は変わったものの、仕事内容に変わりなかったので仕事にはすぐに慣れることができた。ここでも同世代の20代のスタッフが多かった。この島出身の方よりも県外から働きに来ている人が多かった。北海道や東京、大阪、福岡と様々だった。
ただ以前のホテルと違う業務があった。

夜勤だ。

夜勤はだいたい3名体制でおこなう。17時から翌日のお昼、忙しい時は遅くて14、15時くらいまで勤務していた。シフトで回すので日勤もあった。

生活リズムが崩れて自分の体調が悪くならないか心配だった。夜勤の時には夕方まで眠り夜勤に備えた。夜勤は休憩があるが少ない人数で業務をするため長くは休憩できない。お客様から夜中まで連絡やクレームがあることもある。お客様からの連絡がなくても明日チェックアウトされるお客様の清算の確認や明日チェックアウトするお客様のお部屋決めや指示書を作成したりと業務は山積みだった。

さらに私はコンシェルジュのチーフとして採用してもらっていたので夜勤時、何かあれば責任者として対応しなければならなかった。

クレーム対応は本当に大変だった。お客様がなぜ怒っているのか、なにを望んでいるのか、どうしてほしいのか、当時まだ若かった私には理解できないこともあった。確かにお客様にとって大切な旅行。大事な時間。でもホテル側からしてもどうしようもないことがある。

そのどうしようもないことに夜通しガミガミ怒られても何をしてあげたらいいのかわからなかった。うまく対応できない。こんなチーフ、他のスタッフからどう思われているのだろう・・・

翌日マネージャーに報告をしマネージャーがお客様に謝罪にいくとすんなり解決していることもあった。私は舐められているのか。精神的に追い詰められる。

一度、仕事中に追い詰められ、私はパニック状態になったことがあった。女性の先輩から酷い言い方で責められた。私が作成したシフトに対して文句を散々言ってきた。

私は、その日何も手につかずひどく落ち込んでいた。すると藤原支配人から連絡があり心配してくれた。その状況を見ていたのだ。そして言った。
「男前の美容師がいる美容室でヘッドスパを予約したから行ってみなさい。」

なんだか拍子抜けした。とりあえず言われた通りその日ヘッドスパに行ってみた。なんだか身体の力が抜けてスッキリした。予約はしてくれたが自分で支払いをして気分を新たに仕事に取り組んだ。

そして変わらず、リクも温かかった。リクはホテルとは全く違う仕事についた。9時から18時の勤務で残業もほとんどない。正直羨ましかった。給料は私より低かったが安定して働ける。この島で働くには都会のように仕事を選べるわけではない。やりたいことと違っても仕事があるだけいい。そんな感じ。

この島にきてすぐリクの実家を訪問しご両親に挨拶をした。ずっとこの島で住み、生きて来たご両親は顔を見ただけでいい人だと思った。
温かさが溢れ出していた。2人とも笑顔が素敵だった。
私を歓迎してくれ、たくさん話をした。このご両親なら安心だ。

休みの日は毎週、ご両親とゴルフに出かけた。4人でゴルフができてご両親もいつも嬉しそうだった。いつもゴルフの前には朝食にファミマのおにぎりを買って食べた。毎回みんな同じ味のおにぎりなので好きな具をしっかりと覚えてしまった。

ある日の朝、部屋でくつろいでいると部屋の呼び鈴がなった。
宅配便かなとドアをあけると大きなダンボール。

じゃーん!!とダンボールの後ろからりくのご両親が顔をだした。

あ、今日私の誕生日だ。

仕事が忙しく忘れていたが誕生日プレゼントを持ってきてくれた。
しかしこの大きさの箱は何が入っているんだ。早速開けさせてもらうと中には欲しがっていたゴルフバック。もちろんクラブもセットで。

高価なプレゼントだ。これからもずっと使えるからと。私の好きなピンク色のキャロウェイのゴルフバッグだった。嬉しくて涙がでた。こんなにも大事にしてくれている。

毎週のゴルフが更に楽しみになった。

そんな素敵なリクのご両親、そしてリク、職場の方々に支えられ仕事は大変だったが充実した日々を過ごしていた。


続きはこちらをクリック ⇨⇨⇨ 第三章『プロポーズ。両親への挨拶』


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