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【衝撃実話】結婚式1ヶ月前に彼がいなくなった 第三章


まずは ⇨⇨⇨ 第一章第二章からお読みください。

第一章・・・彼との出会い
第二章・・・幸せな日々
第三章・・・プロポーズ
第四章・・・彼はいなくなった
第五章・・・彼がいなくなった訳
第六章・・・彼がいなくなってからの私

第三章・・・プロポーズ。両親へのあいさつ

6月。沖縄ではゴールデンウィークが終わると梅雨明けしている。
もちろん海開きもしていてよく2人で泳ぎに行った。日差しが眩し過ぎる。いつ来てもこの美しい自然に感謝した。空も海も風も心地いい。

私の26歳の誕生日の日。
はじめてリクと旅行にいった。2人とも金銭的に余裕がなかったので今回は近場で沖縄本島にプチ旅行にしようということになった。
でもはじめての旅行。楽しみだった。

以前から泊まってみたかったホテル。夕方チェックインし夕食を済ませた。
部屋から海が見えた。
夜の海は黒くて嫌いだ。孤独に引きずり込まれてしまう。恐くなってカーテンを閉めた。

夕食は大好きなイタリアン。ホテルのレストランで食べると少し緊張する。いつもはおしゃべりな私の口数も少なくなった。食後、リクがサプライズでケーキをだしてくれた。2人なのにこんな大きいケーキ食べれない!
やっぱり旅行はいい。日常から離れて違う空間にいるとワクワクする。

夕食後、ホテルのバーに行くことにした。私はお酒が飲めない。なので2人で飲みに行くことはほとんどなかった。お酒は飲めないがホテルのバーはかっこよくて好きだ。私には似合わないこの背伸びした感じ。何を頼んだらいいのかわからず英語のみで記載されたメニューと格闘していた。

するとバーテンダーがこちらおすすめの品ですとシルバーの蓋の何かを差し出した。もうお腹いっぱいですけど・・・と呑気に蓋を開けるとそこには
指輪が入っていた。

キラキラ光る指輪。

こんなのドラマの世界でしかみたことないと思いながらりくの方を見た。

『結婚してください。』

ストレートなプロポーズだった。

プロポーズされると思っていなかった。驚いてキョトンとしてしまった。

『お願いします。』

周りのお客さんに対しての恥ずかしさはあったが、リクのこの計画を考えると涙がでてきた。キザなことは似合わないがリクの優しさ愛が溢れていた。

部屋に戻るとベッドはバラの花びらでデコレーションされお祝いのメッセージ付きのケーキもあった。これはリクの両親からだった。

その夜、嬉しくて眠れなかった。
私、結婚するんだ。


沖縄に来てから私の家族には年1、2回は里帰りして会っていた。私は長女で父とはあまり口を聞かなかった。昔から父とは距離をとっていた。
父が好きではなかった。父は鉄道マンで高校を卒業してから同じ仕事しかしてこなかった。

私は反抗期はなかったが、アルバイトをしていた高校時代、事件が起こった。
焼肉屋さんでアルバイトをしていた私は家に帰るのが遅くなってしまった。
その上、家についた途端に大きな音で携帯電話から着信音が鳴り響いてしまった。やばい!当時住んでいた家が狭くそんな音がしようものなら絶対に聞こえてしまう。

時刻は深夜0時を回ろうとしていた。
焦った私は電話にでてしまった。アルバイト先のスタッフが家についたか心配してかけてきたようだったが、事情を説明しようとしたとき、鬼の形相で父が目の前に立っていた。

布団を抱えていた。すごい勢いで玄関を開け私の布団を投げ捨てた。
無言で。

怖すぎる。。。

何か言われたような気もするが怖過ぎて頭が真っ白だった。
その日は玄関で寝た記憶がある。
そんな父。

元々無口で母とも楽しそうに会話しているのを見たことがなかった。いつも母が可哀想に思えた。この人と結婚して母は幸せなのだろうか。
結婚てなんの為にするのだろうか。私の理想の夫婦像ではなかった。
私はこんな夫婦にはならない。

リクにプロポーズされ結婚に向けて、両親に彼を合わせることになった。できたら会わずに結婚したいくらいの気持ちだった。私に興味もないだろうし沖縄に住んでいたらほとんど会うこともない。父をどこか許せない気持ちがずっとあったのだ。

リクを連れて私の実家へ。リクを紹介した。
『リク君です。結婚します。』なぜか私が言ってしまったが、父に紹介すると涙がでた。なんの涙かわからない。止まらなかった。自分で驚いていた。
同じ日本だけど沖縄に嫁にいくとなかなか会えなくなる。どこかで寂しかったのだろうか。

盛り上がることもなかったが父も母もなんだか嬉しそうだった。マジックが得意なりくは両親にマジックを披露したり、場を和ませてくれた。
私たちの住む島で結婚式を挙げる予定なので打ち合わせをして、両親への挨拶も無事に終えた。

帰りの飛行機でリクは、すやすや眠っていた。
私はまた、なんだかわからない涙が流れた。


続きはこちらをクリック ⇨⇨⇨ 第4章『突然の別れ』

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