見出し画像

【解説第3弾】市民コミュニティ財団の”プログラムオフィサー”って何者?

こんにちは、「山梨県初の市民コミュニティ財団」立ち上げを進めている甲斐の国コミュニティ基金設立準備会です。

今回は、我々が立ち上げを進めている「市民コミュニティ財団」の中でも、大きな役割を持つ”プログラムオフィサー”という人のお仕事について、解説しようと思います!

▼過去の解説記事はこちら


プログラムオフィサーとは?

「プログラムオフィサー?聞きなれない言葉ね…?」

プログラムオフィサーという言葉は、私(副代表兼プログラムオフィサー)でさえも、市民コミュニティ財団立ち上げプロジェクトが始まるときに初めて知りました。

プログラムオフィサー(以下、長いのでPOと略します)は、財団や非営利組織において、助成プログラムの設計、実施、評価を担う重要な職務です。

まず、辞書的な役割の定義をまとめます。

助成プログラムの設計と実施

資金提供者の社会貢献意思にもとづき、社会課題を特定しつつ、その課題を解決するために助成プログラムを設計します。

設計された助成プログラムを実施することを通して、資金提供者の意思の表現として、社会課題解決に取り組む活動団体への助成金の提供を行います。また、助成金の提供だけでなく、事業の継続性を生み出すために運営の支援を行う場合もあります。

なお、助成プログラムに対して応募してきた活動団体は、資金提供者の意思とマッチするか、社会課題解決に資するか、などの視点で審査されます。

助成プログラムの成果の測定と報告

助成プロジェクトを実施する中で、その成果を評価し、支援者などに報告します。

「成果の測定」は財団と助成先団体とが協力し合って行う場合が多く、一般的な企業と異なり「成果」は利益では測れないため、助成金を出したこと(とそれによって行われた事業)によって「社会にどのような変化を起こしたのか」を指す「アウトカム」で評価します。

その成果や評価の内容を、一般の方にとってもわかりやすく伝わるように報告することもPOの役割となります。

予算の管理と資金調達

効果的なプロジェクト運営のための資金を確保し、適切に管理します。

これは本来の助成プログラムを運用することからは若干離れますが、助成プログラムづくりには元となる財源が必要となりますので、その財源確保とともに、助成金は無限に出せるわけではないため、助成先団体が浪費していないかどうか、という視点での管理も行います。

ここまでは、通常求められるPOの役割です。

※辞書的な定義については、日本寄付財団様の下記の記事を参考にさせていただきました!

市民コミュニティ財団のPO

市民コミュニティ財団でのPOは、一般的な財団の職務を超え、「地域課題解決」を図るために、通常のPOの活動に加えて、以下のような活動も行います。

地域課題の特定と解決策の提案

行政でも企業でも取り組むことが難しい「地域の課題」を把握するために、実際に地域内に飛び込んで、実際に見て聞いて感じた課題を基に、市民コミュニティ財団が行う解決策を設計します。

解決策は、「助成プログラムを作る」だけではありません。

例えば、

  • 他の地域で成功しているモデルを、課題に直面している地域に持ち込んで実行できるよう支援する

  • すでに地域にあるほかの資源を探してマッチングする

  • 活動団体で抱える課題を解消するための講座を開催する

活動する地域を特定している(我々の場合は山梨県内ですね)ので、地域内の課題を把握すること、課題に対する解決策を提案すること、いずれも細やかにかつ素早く対応できることが求められます。

教育と啓発プログラムの実施

地域課題に対する理解を深めるためのセミナーやワークショップを開催し、地域住民同士でその課題解決を進めていく機運を高める取り組みを行います。

具体例を挙げると、岐阜県にある「ひだ財団」では、設立前から「スキマ研究会」を開催し、地域内の課題をより多くの住民に向けて発信する場を作っています。

スキマ研究会
飛騨地域の様々な課題に立ち向かう事業者が講師 “スキマ案内人” となり、地域の実情や直面している課題 “スキマ” について参加者全員と対話します。「飛騨地域ってどんな地域だろう」「このテーマ、ちょっと興味あるかも」「面白い人と出会いたい」誰でも気軽に参加できるイベントです。

認定NPO法人まちづくりスポット様「スキマ研究会」ページより引用

地域との関係構築

地域コミュニティや地域の企業・行政との信頼関係を築くこともPOの仕事のひとつです。

  • 寄付をいただいたら、それらに対するお礼や事業の報告を通じて、団体運営の透明性を高め、地域の信頼を獲得する

  • 地域の企業や行政との連携を通じて、市民コミュニティ財団単体では取り組むことが難しい大きな事業や公的な信頼を得たほうがよい事業を推進する

などが考えられます。

災害時の迅速な対応

地域が災害に見舞われた際には、迅速に対応し、必要な支援を提供します。

直近の事例であれば、「能登半島地震」における、石川県のほくりくみらい基金様の取り組みが挙げられます。

令和6年(2024年)1月1日に発生した「令和6年能登半島地震」の甚大な被害を受け、公益財団法人ほくりくみらい基金は石川県域のコミュニティ財団として、「令和6年能登半島地震 災害支援基金」を立ち上げました。
この「令和6年能登半島地震 災害支援基金」は、石川県内での緊急・復旧・復興支援活動を助成プログラムで支援します。緊急期のみならず、復旧期・復興期まで、中長期的な支援を行います。

公益財団法人ほくりくみらい基金公式ホームページより

地域で発災した場合、市民コミュニティ財団は、基金を設立し、その基金から災害支援団体への資金支援を実施するのですが、その基金設立・助成プログラムの設計・実行を機動的に行えるのはPOが活動しているからといえるでしょう。

実際、ほくりくみらい基金様は発災から11日後の1月12日には公募をスタートするスピード感で進めています。

まとめ

市民コミュニティ財団のPOが果たしている役割は、通常のプログラムオフィサーよりも、「地域課題解決」に特化しています。

例えば、全国規模の企業財団ではリソースが割きにくい「地域の細かいが解決が急がれる課題」に対応できるよう、機動力の高さと地域資源とつながりが多くなっていること市民コミュニティ財団のPOの特徴といえるでしょう。

少しでも、PO(つまりこのnoteを書いている私の仕事)にご関心をお寄せいただけますと幸いでございます!

最後に

前回の記事でもお知らせしました、「山梨県初の市民コミュニティ財団、こうなったらいいな!」、引き続き投稿を募集しております!(前回発信してから1件も増えていない…涙)

ぜひ下記の記事もお読みいただき、ご投稿のご協力をお願いいたします!

▼当団体の活動などはnoteで随時発信してまいります。ぜひフォローしてください!

▼公式Facebook・公式Instagramでも情報発信中です!

https://www.instagram.com/yamanashi.community.fund2024/