【解説第2弾】市民コミュニティ財団の仕組みと役割とは?
こんにちは、「山梨県初の市民コミュニティ財団」立ち上げを進めている甲斐の国コミュニティ基金設立準備会です。
先週、「”市民コミュニティ財団”って何ですか?」と題して、お届けしましたが、今回は一歩踏み込んで、「仕組み」「役割」という具体的な部分をお伝えしたいと思います。
▼前回の記事
仕組み
前回、「市民コミュニティ財団」を「市民自ら汗をかいて、地域課題の解決をするために必要なお金を循環させる組織」と定義しました。
では、この「市民コミュニティ財団」はどのような仕組みになっているのでしょうか?
仕組みのイメージ
市民コミュニティ財団は、まず個人や企業の「お金」を寄付という形で、「スキル・ノウハウ」をプロボノ・ボランティアという形で集めます。(画像左上)
そして地域課題解決に取り組む者に対して、「お金」を基金や助成事業という形で、「スキル・ノウハウ」を中間支援という形で提供します。(画像右上)
ただし、これは口を開けていれば勝手に入ってくるものではなく、地域が抱えている課題を財団側がある程度捉えて、その捉えた地域課題の解決を、より適切な担い手に進めていただくため、「担い手側は正しく運営できているか?」「提供することによってどのような課題解決が実現されるのか?」などを審査するステップがあります。
この審査を通過した者は、地域課題の解決に対して「お金」や「スキル・ノウハウ」を活用し、地域課題解決を実践します。
そして、「事業を通して地域課題が解決されたのか)」を財団に報告し、さらに財団側から「お金」や「スキル・ノウハウ」を提供した者に、提供に対する結果の報告とお礼をします。(画像下側の矢印)
これら一連の循環を生み出し、地域の課題を解決するのが、市民コミュニティ財団の仕組みとなります。
役割
では、「市民コミュニティ財団」はこの中でどのような役割を果たすのでしょうか?
「まさか、お金や人(のスキル・ノウハウ)を集めて渡すだけ…?」
いいえ、違います。それはあくまで役割の一部です。
全国で20団体以上の市民コミュニティ財団があり、それぞれ独自の役割を持っている場合もありますが、主な役割としては以下の通りです。
先ほどの財団の仕組みの項目でお伝えした部分と重なる部分もありますので、もう少し細かく役割をみていきましょう。
市民からの寄付募集(基金)
市民コミュニティ財団は、以前書きましたように「市民でお金を集めて、市民の課題を解決する」という役割があります。
隣県の長野県にある「公益財団法人長野県みらい基金」様で運営している長野県内の寄付募集・助成・基金事業の情報サイト「長野県みらいベース」では、このように書かれています。
いくら地域課題を解決する事業にお金を分配しようにも、その原資となる資金がなければできません。
ですので、市民コミュニティ財団は「市民(個人も法人も含まれます)」から寄付を募ることを行います。この募った寄付をまとめたものが「基金」となり、助成事業への拠出などに使われます。
助成事業
集まった「基金」を活用し、地域課題を解決するためのお金を分配する事業として「助成」事業があります。
「基金」として集めた市民のお金は、活用のノウハウを持つ市民コミュニティ財団が、適切な方法をもって助成金として、地域課題解決に取り組む者に渡されます。
そして、助成金を渡した後の活動報告を受け取り、寄付をしてくれた市民に「こういう形で地域課題解決につながったよ!」とお伝えさせていただきます(ここまでの2つの役割は、先ほどの図の通りですね)。
本来、「市民が、自らの(特に時間的な)リソースの問題から、地域課題を解決するのが難しい場合、地域課題解決を担ってくれる人に委ねる」という「寄付」の構造があります。
一方で、
「適切な団体を見極めて選ぶこと自体が難しい」市民側の問題
と
「発信力不足などの理由から、市民から直接選ばれることが難しい」地域課題解決に取り組む者側の問題
があり、地域課題解決が結局進まないという状況が生まれてしまってはよろしくありません。
そこで、社会的信頼を確保した「市民コミュニティ財団」が「基金」として集め、市民の代表として財団がしっかり選定した団体を選んで助成をします。双方の問題を解決するための手段ということですね。
さて、市民コミュニティ財団の役割は「お金を集めて渡す」だけではありません。
地域課題解決に取り組む者に対する非資金的支援
地域課題に取り組む者にとって、助成金を受け取って、例えば新しい事業を作ったとしても、「お金が無くなったから事業が続かない…」のでは、せっかく地域課題解決をしたのに、ふたたび地域課題を抱えてしまう、ということになってしまいます。
そこで重要になるのが「非資金的支援」。
地域課題に取り組む者を、助成金を渡すと同時に、事業運営を持続可能なものにするために、事業運営、寄付募集、ボランティアマネジメントなどのノウハウを提供するだけでなく、伴走支援をすることで、助成した事業・団体の運営を持続可能なものに近づけ、将来的には伴走なしでも事業が推進されるようにお手伝いします。
地域課題の掘り起こし・情報発信
最後の1つ、「地域課題の掘り起こし・情報発信」は、市民コミュニティ財団の事業の特徴のひとつとも言えます。
「地域課題」は、本当に多様でたくさんあります。
例えば、「地域コミュニティが衰退している」と言っても、多様な「衰退の仕方」があります。
どのような状況なのか?という観点であれば、
「地域コミュニティに関わる人がいない」のか?
「地域コミュニティを運営する事務をしてくれる人がいない」のか?
でも違います。
何が原因なのか?という観点であれば、
「コミュニティを構成している年代が偏っていて関わる機会がない」のか?
「働き盛りのオフィスワーカーが多く地域にいる時間が短い」のか?
で対処すべき課題は変わってきます。
このような細かい状況や原因は、どうしても行政や民間のリソースでは把握しきれない部分が多くあります。
そこで、市民コミュニティ財団は、市民からの「声」も集める機能を付けることで、地域課題が何なのかをより正確にとらえ、担い手を探すために事業として作りだしたり、「白書」や「レポート」といった形で啓発したりと、「情報発信」という形を用いて、地域課題解決を推進する役割も持ちます。
最後に、みなさまへ
ここまで「市民コミュニティ財団の役割」をお伝えしてきました。
※内容は、一般社団法人全国コミュニティ財団協会様の「コミュニティ財団のつくり方セミナー」を基に、当団体にて編集してお届けおります。
ですが、これはあくまで他の市民コミュニティ財団の取り組んできたことなどがまとまったものをお伝えしたのみです。
「山梨県初の市民コミュニティ財団」は、設立準備会だけで作るのではなく、多くの「市民」で作っていくものです。
ここまでお伝えしてきた「仕組み」「役割」は多くある「山梨県の地域課題解決」の手段の1つにすぎません。
「山梨県初の市民コミュニティ財団」は「市民」、つまりあなたの声や行動で、「山梨県の地域課題解決」の力をもっと大きくできます。
このnoteを読んで、少しでも
「こういう役割を持っていて欲しいな」
「こんなことをしてくれるといいな」
「こんな未来を描く財団がいいな」
という思いや感じたことがありましたら、あなたのその声を、noteのコメントか、下記のGoogleフォームにて、お聴きさせてください。
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