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日々の風景

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a gift

もう、10年以上前になるかしら…
友人の古本屋さんで「大切な人に贈りたい本」というコンセプトの企画展に参加した事があります。
大切な人に贈る本と手紙を添えて展示されました。
伊藤ゴローさん、tico moon、手紙社などの参加者の中に混ざっていいのか?私。。
焦りました。
そして、もうひとつ困ったのが、「大切な人」です。浮かばない訳です。「大切な人」が。
そんな懐かしい企画展の下書きを見つけてしま

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命の迷路

命の迷路

幾度も増築された病院の
迷路の様な細い廊下を歩く
清潔で無駄ない空間は冷たい
向かう場所へ矢印は続き
溜息と不安が低い天井にこだまする
生や死はいつも隣にあること
遠い地の災害
隣家からのSOS
無力さを嘆きながらも
痛さを封印したこころは実は無感動
少しずつ溢れていく
いずれ何もなくなるから
消えそうで消えない命に
へらへらと笑う君と私は
双子のように育った
悲しくはないんだ
私では守りきれない

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灰水色

灰水色

曇天の朝。
まもなく雨が降る。
新年でも、いつも変わらぬ休日
何かあった訳でもなく、時折訪れる
この孤独感はいったいなんなんだろう。
決まって休日の朝に纏わりつく
けして、不快ではないけれど
少し諦めたような寂しさ。
君の顔が浮かぶ。
君と知り合う、ずっと前から持っていた感覚に
「切なさ」が重なり、淡い色が混じる。
灰水色の空に笑顔を送る。

死の恐怖

数日前に病院へ行った。
しばらく続く身体の不調の答えをもらう為
結果は大した事もなく、まぁ、いつもこんなものだ。
歳を重ねれば、あちこちに支障はきたす。
いたしかないが、死が過るのも確かだ。
死に至る恐怖。
ただ、私は幼い頃から死に対する恐怖がない。死を怖がるのは死に至る苦痛の事だと思っていた。どうも、そうではないらしい…
私は死の恐怖に対して希薄なのかもしれない。もちろん、率先して死にたいとも思

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積読

積読

積読タワーが高くなる…
文学フリマと池袋のジュンク堂へ
文学フリマ、会場前、ひぇー、こんなに並んでる。と列の後方に着き、開場を待つ。幾重にも綺麗に蛇行する列の若者は本を片手に俯いてる。
聞こえてくる会話にも耳を傾けたくなる。

胎動短歌とマンスーンさんの日記を手に入れて、次の目的地、池袋のジュンク堂。
8階まで全部本屋よ、一日中居れる…
が、今回の目的、3階へ上がり、雨穴さんの選書本と原宿さんの選

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離陸

離陸

空を見上げると
線を残して去っていく飛行機

飛行機に乗るのが好き
タビノハジマリ
タビノオワリ

空港に着いてから離陸するまでの
なんとなく身体にかかる緊張感

小さい頃、自分が急に
大人になった気分がした
あのちょっと誇らしげな感覚に似ている

飛行機が走り出し、ぐっとGがかかって加速する瞬間
そこからふわぁって飛び上がる瞬間
徐々に景色が広がって・・・
シートベルトのサインが消えるまでのあの

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はると言う名の猫Ⅲ

はると言う名の猫Ⅲ

花散らしの嵐の中
桜散る中に
はるはいた

私はそっと抱きかかえ
家に連れ帰る
はるは黙ってしがみつく

それから三日三晩
はるは眠った
まあるくなって
はるは眠った

目覚めたはるは
姫になった
とても気の強い
姫になった

はると言う名の猫Ⅱ

はると言う名の猫Ⅱ

リビングの椅子に座り寛いでいるとはるが足元で、じっと私を見つめ、座っている。
私は膝を整えてから、腿を2度叩く。はるは見上げたその体勢のまま、すっと膝に飛び移る。
それは優雅にすっと…
はるは膝の上で足踏みをゆっくり繰り返し、ごろごろと喉を鳴らす。
膝の上で落ち着けば、もう、私を見上げるなんて事はしない。

数年前から、膝に飛び移る時に少しお尻を引いて、尻尾でバランスを確かめ、飛び移るようになった

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綴る時間

「4月になったらいい風が吹く。その風に乗らなきゃ。 何だかわからないけど、去年からずっと思ってた。 5月に入ってもさっぱりわからない…と思ってたら 今朝、気づいた。」
これはゴールデンウイークにTwitterに投稿したつぶやき。

言葉を綴ることだった。
昔からずっと書いていたけれど「詩」だと思ったこともなく、「詩」と言われてもこそばゆかった。
でも、もう10年近く書いていない。書くことは好きだっ

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はるという名の猫

はるという名の猫

なんだか、元気が出ないときに
はるのお腹にほっぺを寄せる

はるの毛は柔らかい
ふわりとした感触が優しくて
ほっとする

はるがざらざらと頬やら額をなめる

はる~~、ありがとうね~~と
私ははるの頭をなでる

しかし、はるは私を癒そうとか
慰めてくれているわけではない

ただ、その場所がその時に居心地がよく、そこに居るだけ

私がしつこくすれば
さっさとどこかへ場所を移す

はるは猫として
ちゃ

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そんな風に makani

そんな風に makani

例えば、ハワイの海辺のラナイ
ふくふく太って、真っ黒に日焼けした身体をお気に入りの椅子にどしっと沈めて、日がな一日海を眺めてる。
プライドポテトの大きな紙袋を抱え、お酒は飲まないけど、ぷかりぷかりとたばこは相変わらずで、ロコやサーファーの恋の悩みを聞いたり
子供達に日本の話を聞かせたり、
お肉が食べられなくなった。。と言いながらリブ肉にかぶりついて、
ゲラゲラと笑って一日に感謝し、
波の音を聞きな

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