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外国人採用の法律・規制の理解①

 日本国内で雇用するアジア人財の「海外での現地面接」を前提とした採用の法律・規制の理解を深めたいと思います。【2,726字】

 まず、雇用条件書と雇用契約書に焦点を当てていきます。

はじめに

 経済成長とともに、日本では労働人口の減少と高齢化が進み、社会の多様性が拡大し、それに伴いアジア諸国からの人材の雇用と活用が著しく増加しています。

 社外、外部の人任せにするのではなく、外国人労働者を受け入れる際には、日本国内の法的人権や規制を正しく、適切に対応することが求められます。

 日本法律・規制フレームワークは、外国人労働者の権利と義務を明確に定めるとともに、日本政府から、企業対雇用のガイドラインがすでに定めています。

 個人情報の保護、差別やハラスメントの防止といった要素が含まれています。

 これらの法律や規制は、外国人労働者の権利を保護するだけでなく、企業がリスクを抑えながらアジアからの人財を効果的に活用するための基盤となっています。

 特に、海外で現地面接を行い、外国人労働者を日本国内で採用する場合、雇用契約書および雇用条件書重要事項を整理し、それらをどのタイミングで開示し、契約を交わすべきかについて、アバウトな考えを捨て去る必要があります。

 これらの重要事項を具体的に解説し、その適切な開示および契約のタイミングについて詳しく検討できたならと思います。

1.雇用契約書および雇用条件書の重要事項

①雇用契約書の重要事項


 雇用契約書は、雇用者と被雇用者の間で締結法となる契約であり、双方の権利と義務を明確にします。

 特に外国人労働者を対象とする場合、次の論点が重要となりますます。

 まず、契約期間については、契約の開始日と終了日を確実にする必要があります。

 特に外国人労働者に関しては、ビザの有効期間と契約期間が一致するかどうか?契約期間の間に更新が必要なのか?ないのか?検討、調整しなければなりません。

 ビザの更新や延長が必要な場合には、その手続きや条件についても契約書に明記することで、会社への信頼を持つことが出来ます。

 また、会社側からは、本人がビザの更新や延長が本人自身の問題から出来ないこともあることをよく理解出来る場面にもなります。

 さらに、会社の都合で、契約期間の更新が出来なくなる場合は、どんな場合なのか?明確に記載することがでます。

 次に、職務内容についても詳細に記載することが求められます。 これは、外国人労働者が取得しているビザの種類に応じた適切な職務であることを確認するためです。

 例えば、「技術・人文知識・国際業務」のビザであれば、該当職務がそのビザの要件を満たしている必要があります。

 職務内容が、ビザの適用要件に含まれていないため、ビザの更新が困難になることが多いです。更新時には、帰国しなくてはならなくなります。具体的にいかなる業務内容を契約書に記載することがとても重要です。

 また、賃金および支払い方法についても詳細に規定します。外国人労働者も日本人労働者と同様に、公正な賃金を考える権利があります。

 さらに、残業代や深夜手当、休日手当などの詳細な配慮規定も含める必要があります。

 手当の中に、みなし残業代があるのか?

 残業代などの割増賃金の金額、割増率を明確にしているのか?

 深夜手当、早朝手当、休日手当についても、割増賃金の金額、割増率が明確になっているのか?

 とても重要なことです。

 労働時間および休日・休暇に関しても、労働時間、休憩時間、休日および休暇の規定を明確にします。

 日本の労働基準法に定める、1週間の労働時間は40時間以内、1日の労働時間は8時間、また、法定休日や年次有給休暇の付与情報に関するものも契約書に記載されます。

 そして、時間外労働が許される前提は、一年間の時間外労働の協定書を労働基準監督署に届けで出ているか?さらに、過度な繁忙期のための特別条項により、時間外労働時間の上限を会社がその協定書で労働者との協議を明確に記載しているか?になります。


 大きなトラブルの元が、会社の所定休日や法定休日の年間カレンダーが決まっていない場合です。

 例えば、北海道では、第一次産業の農業や漁業、水産加工業などの会社では、シフト制や変形労働時間制を採用するところが多く、事前に年間カレンダーが明確になっていないとシフト制や変形労働時間制を労働者代表の承認ももらえなかったり、基準局で受理してはもらえません。


 年間カレンダーが、なぜ、重要かというと割増賃金を計算するときには、一週間の起算日が「何曜日」なのか?が鍵となります。

 ①1日8時間を超える残業時間、②週40時間を超える残業時間、を順番に計算していかないと正確な残業時間が計算出来ないからです。

 また、年間カレンダーがないと、年間の総労働日数も総時間数も雇用契約書に記載が出来ないからです。もちろん、年間の休日日数も記載出来ないはずとなります。


 社会保険および福利厚生の部分では、健康保険、厚生年金保険、雇用保険、労災保険などを記載します。外国人労働者が加入する社会保険について保障します。

 これに加えて、企業が提供する福利厚生(例、寮の提供、家賃、電気代、ガス代、水道代、通勤手当、Wi-Fiなど)についても具体的に記載します。

 外国人労働者も日本人と同様に社会保険、に加入する義務があり、これらの費用についての負担を明確にすることが求められます。雇用保険や所得税、住民税についても負担を明確にしなくてはならないです。


 最後に、契約の解除および解除規定についても重要です。不当解雇を防ぐために、解除の条件や手続きを具体的に記載し、労働基準法に基づいて適切な解除手続きを盛り込む必要があります。

 解雇予告の期間や退職金の有無の関係についても、詳細に記載し、外国人労働者が良く理解を深めて、安心して働ける環境を提供することが求められます。


 ほとんどの雇用契約書でのトラブルは、海外の現地面接だったからと言い訳して、面接時に、今日みてきた雇用契約書の内容を正確に説明しないまま、採用してしまうことが大きな原因のひとつです。

 海外での現地面接でも、海外とのオンライン面接でも、その日、その場で採用を決定しなければならないケースがとても多いです。

 特に、技能実習生、または、特定技能外国人との雇用契約書には、日本語と外国人労働者の母国語で、「併記」が義務付けられています。

 正確な約束ごとになりますが、これを機会に基本に立ち返って、自社の労働環境と雇用契約書をしっかりと内容の濃いものにしていきましょう。

【次回は雇用条件書についてみていきます。】


北海道オホーツクの実習生の夏の小旅行です。
連れて行ってくださってありがとうございました。

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