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#3_読み終わった後にもう1度読み返したくなる心温まる本_『赤と青とエスキース』

※本記事は『赤と青とエスキース』のネタバレを含みます。

Hello, how's life?
ども、3本目のnote投稿です、じゅんです。
連投を心がけているわけではありませんが、鉄は熱いうちに打てと言いますので、熱しやすく冷めやすい私は打てる時に打っておこうかなと思った次第で早速の3本目です!
今回も前回に引き続き、私が読んだ本の紹介です。
前回の本の紹介はこちら。

00: 概要 / Abstract (忙しい方はぜひここだけでも読んでみてください!)

変化の激しい時代、不景気な日本、そんな中で自己成長に焦っているせいか、最近はビジネス書ばかり読んでました。しかし、それで疲れたせいかふと心の安らぎが欲しくなった。そんな時手に取った本、すごく心が温まったのでぜひ紹介させてください。
1枚の"エスキース"を中心にブーとレイの20歳から50歳までを描いた本。読んでいるうちに、紆余曲折、抑揚がある人生で、大切な人と一緒にいる大切さを感じました。各章のタイトルになっている"赤"と"青"に注目して読んでいくと、だんだんそれらの色が自分の中で鮮やかになり、読み終わった時には表紙が何倍にも鮮やかに見えました。
人生は長く、最近は100年時代とまで言われ始め、そんな中で色んな悩みやイベントがあると思います。そんな色んな経験を経ても、結局根本的な人間性の部分って変わらないのかなと。
私は、この本のブーとレイの温かい人間性が大好きでした。
あなたの大切な人も、きっと温かい人間性を持っていると思います。
あなたが選んだ人なのだから。
その人を大切にして幸せな人生を歩んでいきましょう

、、、カッコつけすぎかな(笑)noteの書き方依然模索中です。

01: はじめに / Introduction

最近は自己成長を意識して焦っているのか、専らビジネス書ばかり読んでいました。
元々私はいわゆる読書好きで、普通の子供よりは読書量が多かったのかなと思います。
また、ビジネス書や自己啓発本の類は苦手で、高校までは小説ばかり読んでいました。(そもそも当時は自己成長なんて志は全くなく、ただの娯楽として読書をしていたので当然っちゃ当然かと)
しかし、ちょっと疲れたなと思いずっと気になっていた2022年の本屋大賞から久しぶりに小説を1冊選んで読んでみることにしました。
本当は大賞を取った『同志少女よ、敵を撃て』という作品にずっと目をつけていたのですが、気持ち的にちょいと重いな、、、と感じまして、2位の作品を読むことにしました。

本屋大賞から選ぶとは、そう、ミーハーもミーハーなのです。
自分のお気に入りの本を発掘しに書店に行くのもやぶさかではないのですが、手取り早くハズれ無しで面白い本を読むなら、話題の本や、賞を取った本から選んだ方が早いと思う派なので、読書に限らず映画も話題作から選ぶ習性があります。

さて、今回の記事のタイトルにもしましたが、みなさんは1度読んだ本や映画をもう1度見返すことはありますか?
私は、、、ありません。笑
なんだかオチが分かってる作品をもう1度読む・見るよりは、新しい作品を自分の中に取り入れる方がいいよなぁ、と思ってしまうんです🤔
しかし、そんな私でも読み返す類の本があります。
それは、単純にお気に入りの本、、、というわけではなく、最後にどんでん返しが待っている系の作品です。
代表的なところで言うと、白ゆき姫殺人事件やイニシエーションラブといったところでしょうか。
最後の章、ないしは最後の数行を読むとその物語全体の見方が変わるような作品がとても好きで、それらの作品はもはや新しい本を読むようにして、見返すことのない私でも再度読みます。

今回の『赤と青とエスキース』という本も上記の類で、最後の章を読むことで物語の色がサーっと変わり、再度違った印象をもつ物語として読み返すことができる作品となっていました。
普通に読み進めても十分に心温まる作品なのですが、最後の仕掛けによって、より一層心が温かくなる素敵な作品でした。

本作品は、プロローグとエピローグに加えて、4章の短編からなる作品でしたので、その本の構成に沿って紹介したいと思います。
私の感想も踏まえながら、早速本の紹介行ってみましょう🙌🏻

02: 作品紹介 / Introduction of Product

02-A: 1章 金魚とカワセミ

この章では、1年間メルボルンに留学しているレイと、1歳の時に日本からオーストラリアに移住して以来、ずっとメルボルンに住み続けているブーの出会いとその交際の様子が描かれています。

留学に行く前は、内気な自分を変える!、英語ペラペラになる!、色んな国の友達をたくさん作る!と意気込んでいたレイですが、実際は友達すらできません。

いやー、これはすごく分かりますね。
私も大学2年生の時に1ヶ月程シンガポールに短期で語学留学をしていたのですが、モチベーションは行く前が最高潮で、実際住み始めてからは、自身の英語力のなさに絶望したことを覚えています。。。
ホームステイ先の家族やルームメイトともテンションとノリで会話するくらいで、身のある話が全くできませんでした。。。
2週目の土日なんてホームシック発動して、ずっとYouTube見てました。。。
(その時に一気見した「四月は君の嘘」で自室で1人涙したのは忘れられない。。。)

レイはそんな中、知り合いの誘いでなんとなく参加したBBQ会でブーと出会います。
愛想笑いでやり過ごして気づけば周りから誰もいなくなったレイの近くに来て、愉快なテンションで優しく話してくれるブーは、素敵な人だなと思いましたね。
私自身、パーティー、特に立食パーティなんかはあまり得意でないので、馴染めない時は端のほうでぼーっとしてしまう時もあります。
1人で参加したパーティーなんかは、うまく話せずに途中でまぁいいやってなっちゃうんですよね。泣
そんな時に向こうから話しかけてくれる人がいたら、結構ずっとその人といちゃったりします。笑
交流がメインの立食パーティーで本当は良くないんですけどね(笑)
てなわけで、すごいレイの気持ちが分かります!泣

それから何度か会ううちに惹かれあって、付き合うことになる2人。
しかし、「レイが日本に帰国するまで」という条件付きのお付き合いなのです。
なんやかんや仲良く付き合って、物語はお別れの日の1週間前になります。
そこでブーが、「友達のジャックがレイの絵を描きたいって言ってるから、エスキースだけでいいからモデルをやってほしい」とお願いします。

はい、ここで出てきました、タイトルにもある"エスキース"。
みなさんもあんまり聞き馴染みのない言葉だとは思うのですが、エスキースとは、絵を描く際の下書きのようなものだそうです。
とは言っても、実際にエスキースの上に本描きをするのではありません。
エスキースは自分の頭の中の構図を現実世界に落とし込む作業で、エスキースを描くことでアーティストさんたちの頭の中が具現化され、その具現化が完了した後に、新たに別の本番キャンバスにて本描きを始めるそうです。

赤と青の水彩絵の具、それにペインティングナイフを用いた独特のスタイルで、レイのエスキースを描くジャック。
黙ってモデルをやるレイ。
それをジャックの側から見つめるブー。
そこで、お別れが近いことを急に悟ったレイとブーは突然立ち上がって…!
といったところで1章が終わります。

この章のタイトルの金魚とカワセミについて、
金魚は、レイが初めてブーと会ったBBQ、そしてエスキースを描いてもらった日に来ていた赤いワンピースの色をブーが「金魚みたい」と例えたことから。
一方カワセミは、お別れまで残り1ヶ月を切った年越しのホテルで、ブーがレイにあげた青いカワセミのブローチを意味しています。
本の表紙にカワセミのブローチが描かれていますが、本当に綺麗な青色で感動を覚えました。
この本いいな、と思った理由の1つが、鮮やかな表紙のタッチでした。

恋は始まるのも終わるのも意外とあっけない。
辛いのは、終わりが近づいているような気がする時、終わりが見えている不安な感情を持って交際している時、というようなニュアンスの言葉を1章の冒頭でレイが呟きます。
確かに、もう別れた方がいいんじゃないかって感じの関係性になる時期ってありますよね。。。
一応会ってるけど、好きかどうか分からない。
嫌いじゃないけど、付き合ってる意味あるのかな。
、、、ってな感じ。
そして、別れようと自分の中で決めてからそれを言い出すまでの葛藤。
傷つくかな、怒るかな、泣いちゃうかな、今後の関係はどうなるかな。。。
とまぁ色んなことを考えるわけで、これって結構しんどいですよね。
個人的には、日常生活で起きうる最もストレス値の高いイベントは別れ話だと思っています(笑)
とはいえ、いざ終わってしまえば呆気ないもんで、ストレスは意外にも軽減し、結局何もかも時が解決してくれるもんです。

なので「いついつまで」と期間を決めて付き合うのもそれはそれで新しいな、と思ったのですが、まぁそうはいっても結局恋愛ってそんなに単純なものでもなく、2人とも思ったより好き同士になっちゃったってオチです(笑)
自分がブーでもキッパリお別れできない自身があります!笑

02-B: 2章 東京タワーとアーツ・センター

第2章では、日本の額縁屋で働く空知がジャックが描いたエスキースの額縁を作ることになるという話です。
空知は1度旅行でメルボルンに行った時に、ジャックと偶然出会い、ジャックの絵に惚れていました。
この章のタイトルは、2人が出会った時の絵を元にされています。
空知が初めに目にしたジャックの絵が、アーツ・センター(メルボルンにあるシンボル的なタワーらしい)の青色のタワー、そして空知がジャックに「日本にはこんなタワーがあるんだよっ!」とジャックに描いて見せたのが、赤色の東京タワー。
この辺まで読んだところで、"赤"と"青"という色が私の中で鮮やかになっていくのを感じました。

そしてそこに偶然持ち込まれたのが、ジャックの"エスキース"という作品でした。
あの日レイを描いたあのエスキースは、本描きで描き直されることなくそのままジャックの作品となっていたのです。
遠く離れたメルボルンの画家ジャックの絵に、ここで巡り会えたのは運命だ、と感じた空知は初めて自分自身で1から"エスキース"の額縁を作ることを志願しました。
そして、最終的に完成した額縁は、これ以上ないほどに"エスキース"とマッチした素晴らしい額縁となりました。

額縁はあくまで絵を映えさせるだけのサポーターにすぎない、というレベルでしか絵を見ない人が大半でしょう。
絵を見てて、「この額縁すごいっ!」なんて言う人に、少なくとも私は出会ったことがありません。笑

ただ、そんな額縁にも、モノによってはその額縁に製作者の魂が籠っていることもあると。
普段私たちが見ている何気ない風景やモノにも、色んな人が関わって形になっていると考えると、大企業で小さな部分を担当している自分の仕事でも、誇りを持ってやるべきだなと考えます。
とは言っても、人間、結局目に見えるものが全てという感覚で生きているので、中々影の立役者になりたいと思うことはできませんが。

一方で、私も工学部卒でエンジニアをやってることもあり、1から自分の手でモノを作り上げるというのは素敵な経験だと共感します。
そもそも作り上げる技術があることがまず素晴らしいのですが。
製作過程では夢中になり、文字通り時間を忘れます。
この、「時間を忘れる」という経験は中々できるもんじゃありません。
仕事でこの感覚を覚える人は本当に幸せなんじゃないかなと思います。
(業務量が多く忙しすぎて忘れるという嫌なパターンもあるかもしれませんが、、、)

私の夢は、将来自分の事業を起こして、好きなことをやって人生を謳歌することです。
世の中そんなに甘くない、そんな声がすぐに飛んできそうですが。
ただ、社会に出て3年目の私でもその難しさは感じます。
決まった時間に出社し、日々の業務に追われ、残業をし、給料日と週末を楽しみに日々を耐え忍ぶ。
(私自身今の仕事・会社は第一志望なので、楽しくやっている方ですが、それでも嫌な時があるので、本当にしんどいと思っている人たちは、よりその毛が強いのかなと)
難しさを感じる一方で、思いの外そこから抜け出すことは物理的には簡単で、辞める遅くとも2週間前に退職願を出して、「お世話になりました。」と言うだけです。
もちろんお金の心配や周りにどう思われるか、という悩みはあると思いますが、見通しが立たない怖さというのは、一方で悪くなる確証もないということです。

話は逸れましたが、私が言いたいのは、自分の作りたかった額縁を、自分自身の手で作り上げて満足する、達成感を味わう、といった人生はストレスに耐え忍ぶ会社員の人生とどっちが素晴らしいのかな、と考えてもいいのではということです。
幸福度は年収800万円の層がピークで、それ以上だと下がるというデータもあるので、幸せって意外とお金じゃなかったりするもんです。
まぁ、そのお金も持ってみないと分かりませんが。
このタイプの話をし出すと止まらないので、またの機会に。

02-C: 3章 トマトジュースとバタフライピー

みなさんはバタフライピーって知ってますか?
この青い飲み物らしいです😨
飲んだことないので感想は控えますが、マメ科の植物のハーブティーで、眼精疲労にもいいらしいです。

この章は2人の漫画家師弟が主人公です。
昔から頭の中にどんどん漫画の構成やキャラクターが浮かんできて、小さい頃から漫画家を志してがむしゃらにやってきた48歳のタカシマさん。

漫画界で若くして名誉ある賞を受賞し、メディアからも大注目のイケメン漫画家、にも関わらず、そんな名声には全く興味がなく、感情の抑揚がないクールな26歳の砂川さん。

記者からのインタビューを受けた際にタカシマさんが頼んだトマトジュースと、砂川さんが頼んだバタフライピーがこの章のタイトルです。

この章で作者が伝えたかったことは、本当のアーティスト・表現者というのは、自分自身が目立つこと、自分自身に富や名声が集まることには興味がなく、自身が生命を与えこの現実世界に生み出した"作品"が、目立ち、賞賛され、どんどん生命を帯びていくことが本望であり、最も喜ばしいことだ、ということだと感じました。

私はアーティスティックな才能を持ち合わせていないので作品への思い入れを体感したことはないですが、みなさんも自分の中で楽しい物語や自作のキャラクターを思い浮かべたことは1度はあるんじゃないでしょうか?
ただ、それらは往々にして生命を与えられることなく、現実世界には出てこず、誰の目にも止まらないまま私たちの頭の中で消えていくんです。
なんだかちょっと寂しいですね。

確かに、自分の頭の中を表現することができて、それが世に知れ渡って、人々に賞賛されたらすごく感動すると思います。

自分の身の回りにある作品たちも、同じような目線で、幾多もの想いが込められてるんだろうなぁ、と思って見てみると、美術館なんか行ってもより深い楽しみ方ができるかもしれませんね🙌🏻

02-D: 4章 赤鬼と青鬼

この章では、50歳で輸入雑貨店に転職した女性の話が描かれています。
1年前に、交際していた彼とも別れ、ここから自分のやりたい人生を歩んでいくぞと頑張っていたそんな時、パニック障害だと診断されて落ち込む主人公。

実はこの辺りで、この女性は第1章で登場したレイの30年後なんじゃないかと思っていました。
「タイトルに2度読みたくなる!」って書いてあったのもあって気を張っていたから気づいたのかもしれませんが(笑)

さて、人には色んな人生があって、最近はそれがより多様になってきていると感じます。
結婚率や出生率の低下、同棲婚や事実婚の認定論争、転職・起業、昔に比べてみんな自分の生きたい人生を望んでるなと。
私はそんなみなさんのやりたいことをやる人生を実現するために、一緒に頑張れるコミュニティを作ることが当面の目標です。

夢に立ちはだかるものはたくさんあります。
友達、同僚、先輩、両親、家族、恋人、、、日本という国において、(特に一般的な王道のレールを走る人生を歩んできた人において)困難にチャレンジする際に、身近な人が立ちはだかることは多いと思います。
それを振り切って夢を目指す、説得するように頑張る、夢挑戦をを諦める等色んな選択肢があると思います。
しかし、本当にあなたのことを大切に思い応援してくれる人であれば、本書のブーのように最後は一緒になれると私は信じています。
たとえ1度離れてしまっても、最終的には一緒に寄り添ってくれると、、、ちょっとクサいですかね(笑)
私は昔尊敬していた人に「挑戦を応援してくれない人とは距離を取らないと、挑戦しない人になってしまうよ。」と言われたことがあります。
(実は少し怪しい団体の方だったのですが、、、)
しかし、夢のために大切な人間関係を切る必要は無いと思います。
挑戦を後押ししてくれないのは、あなたの本気度が伝わっていないだけで、本気で頑張っている人を悪くいう人は中々いません。
ましてや、あなたが大切にしてる人がそんな人なわけありませんよね🫶🏻

02-E: エピローグ

エピローグでは、ブーとレイは2章で額縁の作製を依頼したカップルであり、3章でタカシマさんと砂川さんがインタビューを受けた喫茶店を営む夫婦であり、4章で別れて最終的に復縁した夫婦であったということが明かされます。
この本は、"エスキース"という1つの絵を軸にしたブーこと蒼とレイこと茜の2人の物語だったのです。

私は最後にどんでん返しが待っているタイプの小説がとても好きです。
最後にどんでん返しをくらった瞬間に、それまで読んだ小説がバーっと新しい色を帯びて再度輝き出す感じが、なんというかすごく気持ち良くてワクワクするんです!

各章に対しての感想はこれまでに述べたので割愛しますが、あまり小説が得意でない人には、私はこういう心温まるかつどんでん返しが待っているような本を紹介したいなと思いました。
(こんな素敵な本早々ないですけどね!)

03: まとめ / Conclusion

普段ビジネス書ばかり読むようになったここ数年ですが、小説はやはり良いものだと改めて思いました。
というより、そもそも同じ読書でも、学習を目的とするビジネス書と娯楽を楽しみにする小説では、全く違うなと。
"学読書(がくどくしょ)"と"楽読書(がくどくしょ)"みたいな言葉があってもいいのに(笑)
小さい頃から好きな"読書"は今も私にとって大事な趣味の1つです。
いつかは人を感動させるような本を出してみたいな。
子供に読ませるような伝記的な作品を書いてみたいな。
、、、なんて思ったり。
やりたいこと、夢は尽きませんね💫

今回の記事の反省は、、、
序盤は気合い入れて書いてたけど、終盤の章はエネルギー切れで短くなってしまったこと!笑

では、また!

Have a great day,

iPadのApple Pencil使って描いてます🖋


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