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グラミー賞が選んだマイリー・サイラスと「花束を私に」:自己愛と他者依存の関係

みなさんこんにちは。
人間関係と成長マインドを科学する
COEDASのじゅんです
こういう記事をタイムリーに書けない所に
自分の怠惰な性格と伸びしろがあると思っています。

みなさんはご覧になったでしょうか?

CBS

今年のグラミー賞授賞式

「今年最も稼いだアーティスト」に加え
「最も多くのベストアルバム賞」も手にし
もはや完全な「Queen of Pops」に君臨した
無敵のTayler Swift

Grammy.com

一方で
「最も賞を取っているアーティストが
ベストアルバム賞だけ取っていない事実はどう考えてもおかしい」
と、妻のビヨンセだけでなく
主要な賞で黒人が冷遇されていると主張したJay-Z

Grammy.com

スティフパーソン症候群という難病の中
久しぶりに人前に姿を表したCeline Dion
など、話題はもりだくさんでしたが

People.com

今年最もインパクトを与えたアーティスト及びパフォーマンスは
間違いなくこの人でしょう。

Grammy.com

今年一番ストリーミングされた楽曲と言われる
Flowersを歌ったマイリー・サイラスMiley Cyrus
ベストレコード賞に選ばれました。
パフォーマンス中に「初めてのグラミー取ったぞー!!」と叫んで
背中を向けながら踊りだすパフォーマンスは
世界中の話題となりました。

個人的には最後のロックンロール的アレンジが大好き

ヒット曲は時代の鑑

と良く言われますが
この曲が今年一番ヒットした事
そしてグラミーを取ったことにも
時代性が大きく反映されていると思いました。

この歌「Flowers」の歌詞をご存知でしょうか?

I can buy myself flowers
花くらい自分で買える
Write my name in the sand
砂に名前を書くことだってできるし
Talk to myself for hours
何時間も1人で話せる
Say things you don't understand
あなたが全然わかってくれない話もね
I can take myself dancing
自分を踊りに連れ出す事もできるし
And I can hold my own hand
手を握ることも自分でできる
Yeah, I can love me better than you can
私は、あなたよりもずっと上手に、自分を愛せる

Flowers, Miley Cyrus、意訳は僕

サビ部分だけで予想がつくと思いますが
これは失恋ソングです。
恋人と別れた後、自分にこう言い聞かせて
前を向こうとする女性の気持ちを歌ったものです。

ここに、
非常に時代性が現れていると思うのは、
この歌が失恋して悲しいという歌でも
まだあなたの事が好きだという未練の歌でもない

という事

例えば
3年前の日本のヒット曲「ドライフラワー」における
「花」はあくまでも
旧来のメタファーである
儚さ、恋心、未練、弱さを象徴していました。

しかし、このFlowersは
このPVが表しているように
これまでの「当たり前」だった
失恋=悲しみにひたる
のでも、女性の繊細さや愛情を描くのではなく、

女(私)は強いんだよバカヤロー

とでも言うかのような
とにかくパワフルな姿を歌います。
しかも、
けして無理するでもなく
女性性を否定するでもなく、
美しく強い女性として
男に愛されなくても
私は自分を愛している、という
自己肯定の強い宣言になっています。
(失恋は完全な「設定」で
 歌のメッセージ性は「自己肯定宣言」にあります。)

このPVの無限のカッコよさ

これが7億回再生され
世界中の女性の自立心に火をつけたのです。

奇しくも自分の繊細な内面を晒し
「ヒーローになんかなりたいわけじゃない」と
しっとりと歌い上げたTayler Swiftとの対照

この曲も素晴らしいんですが、
今年の人々は、時代性は、Mileyを選びました。

今年のグラミー賞全体を見ても
Best Record, Best Pop Solo Artist:Miley Cyrus
Album of the Year, Best Pop Vocal Album:Tayler Swift
Song of the Year:Billie Eilish
Best New Artist:Victoria Monét
更にロックのベスト部門でもガールズバンドであるboygeniousと
とにかく主要部門を女性が独占
まさに「男はすっこんでろ」な時代なわけです。
映画も今年は「バービー」一色でしたしね。

同時に新人賞のVictoria以外は
全員結局白人という課題感もありつつ

さて、
ここまで来てようやく本題です。
グラミー賞のレポートがしたかったわけではなく
この歌「Flowers」がいかに「あなたの歌」か
伝えていきたいなと思っております。

この曲の中でも
至極のパンチラインである
I can buy myself flowers
花くらい自分で買えるわよ
は、言うなれば

自分の機嫌くらい自分で取れよ

気分が良いとか悪いとか
自信あるとかないとか
自分が好きか嫌いかとか
それは自分で選びなさい
いちいち他人に自分の幸せを頼ってんじゃねえよ
という考え方
これをロバート・キーガンの成人発達理論で言うと

パーソル総合研究所から図を借りました

自己主導段階

自己主導とは
周囲の考え、常識、慣習などを知ったうえで
それでも自分の価値観を優先して生きる状態を言います。
これは実際かなり難しい事であり
世の中のほとんどの人はその下の「他者依存」段階にあると言われます。
他者依存とは、周囲からの評価、世の中の基準と照らし合わせて
自身の考えや行動が左右され、結論づく状態。

単純に言うと、
他人と比べて優越感や劣等感を感じる人は、全員他者依存です。
褒められたら喜び、けなされたら落ち込む人も他者依存。
人と揉めないように気を使ったり相手によって態度変わるのも他者依存。
だいたいみんな他者依存。

他者依存で生きると何が大変か

以前「プロアクティブな生き方」で書いたように
自分の感情や価値観を「結果」や「周囲からの言動」によって決めると
常に不安定な精神状態で
この世の中を生きることになります。
https://note.com/junot/n/n73c1f7df217b

恋人に優しくされたり、愛されないと幸せじゃない。
良い結果が出たり、褒められたりしないと自分を愛せない。
それでは、いつまでたっても
自分の人生を生きる事ができません。
他者に認められたり、自分の価値を感じるために生きようとします。

ほとんどの願望は、傷の癒やし

コーチングをしていて確信してる事があります。
人々が言う「願い」は95%くらい
現状の痛みや不満を無くしたい
内容だという事です。

「FIREしたい」という人が一時期増殖しました。
この「贅沢しなくていいから
早めに財産を築いて働かずに暮らせるようになりたい」
という願望は、典型的な「痛み止め」の願望です。
今現在あなたが
・金銭的に満足できていない
・仕事を楽しめていない
・将来に不安がある
・結果人生が不自由に感じている
・だから自分も人生も肯定できていない
という悩みを無くす為の「FIREしたい」です

それは、あなたの価値観でも、夢でもありません。
現状の不満を表しているだけです。
価値観や夢は

人生に何一つ不満が無くてもやりたい事

を指します。

元彼がニートで暴力を振るうから
「新しい彼氏は働いていて暴力ふるわない人」
と言っているようなもので、
それは好みではなく、
必要最低限の望みです。
好みとは、それをクリアした人が100人いた中で
どんな人を選ぶかです。

自己主導とは
そういった「痛み止めの願い」に生きるでもなく、
他の人と比べて惨めに思いたくないから
経済や人気や見た目で評価されたい、でもなく、
そんなもの全てどうでもいいと思える程に
自分の好奇心や貢献心を満たす事。

周りに流されることなく
自分の道を堂々と歩ける事を指します。

私達COEDASはこれを
「個得だす」状態
と呼んでいます

くしくも本日はバレンタインデーですが
「友達が彼氏に花束もらっていたいいなあ」とか
「インスタで豪華なディナーしてる」とか
そんな事で卑下したり
逆に、そんな写真を一生懸命撮ってドヤったり
そんな事に左右されていないで

花が欲しけりゃ自分で買いなよ

とMiley姉さんは言ってるわけです。
他人に癒やされるのを期待するんじゃなく、
自分は自分で目一杯愛しなさいと。
あなたが幸せになるのに、本当に必要なのは、あなた自身だけ
というメッセージが込められての、

I can love me better than you can
私は、あなたよりもずっと上手に、自分を愛せる

今日も自分を愛してあげてください。
自分が好きな事に時間や気持ちを使ってあげてください。
それが満たされた時にきっと
あなたが本当にしたい事が見つかるはずです。

自分ではうまく見つけられない、
という人はぜひコーチングを試してみてください。

じゅんでした

サポートされたら、俺はその倍額を寄付する。倍返しだ。