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成功するチームを目指そう:半沢直樹でなくても陥る「権力の罠」

こんにちは
コーチのじゅんです。
企業やスポーツチームを成長させる
コーチングサービスの会社も運営しています。

これまで1vs1のコーチングをテーマにしてきました。
徐々に「組織」についての話も書きたいと思います。
結局の所、
個人と組織両方に成長が無いと
本当に大きな変化は起きない
と思うからです。

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困ったらググれ

という一般論は
組織に関しても正解です。
なんせ、世界有数のデータドリブン企業が
データを基に「成果をあげるチーム」について
研究し、めちゃめちゃわかりやすくレポートしてくれています。

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彼らが導き出した答えがこれ↑です。
チームが成果を出す5大要素、
しかし、その基盤となるのが「心理的安全性」であると定義しました。

心理的安全性(Psychological Safety)とは
その集団において
思ったことを口にしたり
リスクのある行動を取っても
大丈夫だと思える環境の事です。
安全性が低いチームでは
人々は自分の意見を主張せず
なるべく問題を起こさない事をゴールにします。

この言葉を最初に使ったのは
ハーバード大学組織行動学教授Amy Edmontsonさん。
彼女がTEDで披露したエピソードは、あまりにも「あるある」でした。

ある夜勤看護師の一人が
ある患者への薬物投与量が多いのではと疑問を持ち
医師へ確認の電話をしようと思いました。
しかしその時、彼女の頭に
前回電話をした際に怒られた事がよぎりました。
医師にまた「そんな事もわからないのか」と言った
文句を言われる事を恐れ電話をかけるのをやめました。

ある軍隊においては、隊員の1人が
上司の判断が間違っている可能性を感じましたが
何も言いませんでした。

最近大企業に雇用されたばかりの役員は
議論されている計画が危ういと思いながらも
長年勤める他の役員が熱心に推すため
その計画を承認しました。


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それがもたらすのは沈黙

Amyは語ります。
「心理的安全性が保たれない状況において、
部下が選択するのは例外なく「沈黙」です。
余計な事を言うよりも
黙って上司に従う方が安全な事は
誰もが本能で知っているのです。」

それは「悪いニュース」も
「素晴らしいアイデア」も沈黙にしてしまいます。

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誰も
無知だとは思われたくないので質問せず
無能だと思われたくないので弱さやミスを見せず
面倒だと思われたくないのでアイデアを提案せず
後ろ向きだと思われたくないので批判する事をせず

ただ、沈黙を選びます。

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うちは大丈夫

と思っている社長、管理職、チームの監督やリーダーはいないでしょうか?
認めたくないでしょうが
「そう思っている人の組織ほど危ない」
のは事実です。
いじめと一緒ですよね。
無いと上の人間が思っている事ほど危ういことはない。

心理的安全性は以下のような質問で測ることができます。

1,チームの中でミスをしても、非難されたりはしない。
2,メンバー同士で、困難や難しい問題を指摘し合える。
3,メンバーに自分と考えが違うことを理由に拒絶する人はいない。
4,このチームでリスクのある行動をしても安全だと思える。
5,他のメンバーにいつでも助けを求めることができる。
6,チームに自分を意図的におとしめるような人はいない。
7,このチームでは自分のスキルや才能が尊重され、活かされていると感じる。

当たり前ですが
これを社員やチームメンバーが思っている事が大事です。
比較的上層にいる人間が思っているかどうかではなく。

スポーツメンタルコーチの柘植陽一郎さんは
先日僕にこんな話を聞かせてくれました。
「今でもやるせない気持ちになります。
ある高校の女子バスケ部で
ミスをした選手に大柄の監督が
顔を30cmも無い距離まで
近づけて怒鳴っているんです。
あんな事をされた選手に起こるのは
感情のシャットダウン。
まだそんな現場が存在するのが現実です。」

残念ながら僕にも
思い当たる節が多すぎるくらいです。
子どもたちの多くは
そういった指導者の下
スポーツを楽しむ事を諦めさせられます。


企業ではどうでしょう?
今どき怒鳴る、殴るは無いでしょうが
より簡単に心理的な恐怖を与えることができるのです。

社長、上司は
あなたの査定、雇用、評価に影響力がある事を
誰もがわかっているからです。
そのパワーバランスがある状況では
心理的安全性は簡単に失われます。

その方が楽だから By管理職

その方が圧倒的に楽です。
立場を使って自分の考えを押し通す方が。
部下の意見をねじ伏せるほうが。
大抵、経験も知識もロジックも強いので
何か言おうもんなら徹底してやりこめられます。

そうして組織の「治安」は守られます。
治安ではなく、権力構造ですが。

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ここでポイントとなるのは
「部下が正しい事を言っているか」ではない、という事。
例え、どんなに的はずれな事を言っていても
思ったことは言っていい
正直でいていい
という環境が作れるか
どうかです。

現実部下の言うことより上司の方が的を得ているでしょう。
目線もより高く論理的でしょう。
しかし、そこでやりこめたり
「その程度の意見を」みたいにしたり
無視したりすれば
部下はその度に黙ることを選びます。
何も考えずに「はい」だけを言う人になります。

そしてそんな環境を作っておきながら
「部下に自主性がない」
「自分で考えない」
「積極的に意見を」「イノベーションを」
とか宣わったりするのですよ
管理職という人々は。

その方が楽だし、自分のプライドも守れるから。

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しかし、これは単純に管理職が悪い、という話ではありません。


構造的問題

があるとすれば
日本には上下関係という仕組みが身にしみすぎています。
それこそ子供時代から上下関係をベースに生きています。
先生に気をつけ&礼
中学生にもなれば先輩に敬語
部活でもしたなら奴隷扱い
そのまま大学サークルも続け
新入社員として礼儀から教えられる。

単純にそれが悪い、という話ではなく
「心理的安全性とは相性が悪すぎる」
んです。

これは、めっちゃ困りましたね。
かのGoogleが結論づけた
「あらゆる集団において最も大事な事」
と日本の伝統的システムが全く合っていない。

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無理ゲー

なんですよね。
子供の頃から上下・上下・上下で育っていて
いざ大人になったら
「先輩は敬うけど意見はちゃんと言って
常識は守ってイノベーションは起こせ」

なんて言われてもですよ。
だから、心理的安全性はバズワードになっていますが
現実的に非常に難しい。

しかし正直
今ここに立ち向かわない集団は寿命が長くない
時代に来ています。

生産管理型、労働集約型
のビジネスが次々とテクノロジーによって
不必要になり、
代わりに変化への柔軟性、独創性
個人の影響力が増大している時代になりました。

残念ながら
権力をベースにした集団は
構造的に不利。

心理的安全性を基に
個人の能力・モチベーションや
チームの相互作用を最大化する事は
集団における必須科目になっています。

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じゃあどうしたら?

という話は、
長くなったのでまた今度。

現在心理的安全性や組織の幸福度を上げる
ワークショップも提供しています。
ご興味ある方はこちらまで↓


コーチのじゅんでした。

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