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Tony 1 僕の海外ゲイライフ

僕の2人目の彼氏がトニーだ。知り合ったときはタイの一流銀行に勤めていた。韓国人に間違えられるほどの東アジア顔。身長が185センチあり、中々素敵。彼との出会いは……
今日はバンコクの発展場のゲイサウナに行こうと思う。半同棲中のタイ人彼氏はいるが、他の男も食べてみたい欲求がムラムラしてきた。バンコクのチャイナタウンにそのサウナはある。バンコクに住むようになって2年。土地勘も備わってきて、今日も移動はバスだ。
バンコクのバスはある程度システムを理解し、バス番号を把握すれば、結構便利な乗り物だ。
電車も快適だが、窓からの景色を眺めながらのバスでの移動も、人々や街並みも観察出来て楽しい。
エアコンバスは30分弱でチャイナタウンに入ってきた。バスを降りると今日も南国の熱風が僕を包む。鬱陶しいがこの後のサウナが楽しみでテンションが下がることはない。中華料理の店からの僕の大好きな匂いが鼻をくすぐる。帰りには何かを食べながらお酒も良いなと思う。そのサウナは今はもう無い。この2、3年後、家事で全焼してしまったのだ。お客さんが一人亡くなっている。人気のサウナだったので、その後再建されると思っていたが、結局そのままになってしまった。
サウナは大きい建物の4、5階2フロアを使った大型の施設だった。サウナ、ジム、仮眠室などの施設の他にレストランもあって、長時間滞在することもできた。どちらかといえば40以上の客が多く、僕はそういう男を好む30代ぐらいのタイプの子を物色に何度か訪れている。
受付を済ませ、シャワーを浴びて一通り館内を巡る。土曜日だが夕方までは少し時間があるので、まだ客の入りは半分という感じか。ダークエリアで何人かに腰に巻いたタオルの上からケツを撫でられたが、暗すぎて全く相手の顔を確認できないので、こちらからは応えず明るい屋外の休憩エリアに戻った。
屋外の日陰は気持ちの良い風が吹き抜けて心地良く、ローカルビールを飲みながら、通り過ぎる男達をそれとなく目で追っていた。。若くてもロコのタイ人が多く、タイプの中華系は皆無だったので、もう一度、館内物色巡りに出発しようかなと思っていた時、少し遠くに目が止まった。その対象は色白の背の高い、かなり私のストライクゾーンの中心に近かった。彼も同様にひとりで遊びに来ているようだった。テーブル二つほど隔てた場所で近くのテレビのスクリーンに目を向ける彼を、僕の目はじっと捉えていた。
メガネをかけた顔立ちもなかなか好みで、どうモーションをかけようかと考えていた。彼が立ち上がった。彼を追った。すぐ近づくのはいかにもなので、少し距離をとって付いて行った。時々、目が合ったような気もしたが、何事もなく元の場所に戻ってしまった。
二度目も同様に後を追った。すると気づいたのか動きが早くなり、追ううちに見失ってしまった。少し探したが見つけることができず、個室エリアをぶらぶらしていると彼がいた。一度彼の前を通り過ぎ、その先で折り返してまた彼に近づいた。目が合った。軽く目元で挨拶すると彼もにっこりと返してくれた。彼に近づき、向き合いながら彼の腰にそっと触れた。すると彼も両腕で僕を包んでくれた。彼の胸に右頬をうずめるようにしっかり抱き合う。彼が応えてくれたことが嬉しくて、この時間に酔いしれた。
彼が抱き合いながらエスコートしてくれるように、近くの個室に導いてくれた。個室というよりは迷路の奥まったような場所まで行って、僕らはさらに強く抱き合って、どちらからともなく口付けをした。彼のたくましい胸が腕が心地よく、お互いに貪り合うように激しく口付けを交わした。彼が自分の腰のタオルの次に僕のタオルも剥ぎ取って、その場の長椅子を少し大きくしたようなベッドに倒れるように重なった。彼はキスも上手で、経験の豊富さをすぐに感じさせた。彼のキスは口の次に体にも降りてきて、僕のすでに大きく興奮しているものを口で優しく包んでくれた。お互いの身体を舐め合いキスを繰り返し、恍惚の時間が過ぎていった。僕は久しぶりの欲求を十分に満たしてくれる彼の愛し方に満足していた。タイ人ですか?英語で尋ねると、彼はイエスと答えた。一緒にビールを飲みましょうと誘うと彼もにっこり頷いた。
もう一度ねっとりとキスをして、個室エリアから屋外に移動した。長椅子に並んで腰掛け、彼に肩を抱かれながらビールで乾杯した。彼の笑顔はチャーミングで可愛らしくさえあった。
名前はトニー、35歳、銀行マン、郊外の実家に両親と住んでいる事など、お互いのことを話し合った。
トニーもお酒が好きそうで嬉しかった。電話番号を交換して近い再会を約束した。マンションの部屋に戻っても、トニーのことで頭も胸もいっぱいだった。同棲相手の彼が帰って来ても、トニーのことは話さなかった。彼は僕に他の彼氏を作ることを許してくれていた。彼の事も好きだったが、新しいトニーという年下に巡り会えたことに、僕は言いようのない興奮を覚えていた。明日にはメールを送ってみよう。僕はもう次回の逢瀬に心を踊らせていた。

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