5日目②-2:マメ地獄とEstellaエステーリャ
いやー歩いてる。そして暑い。
もう太陽に取り憑かれた男、
いいように大陽に遊ばれてる男と
成り下がったオレは、
もう思考がエンストしてる。
。。。足裏が痛い。。。
冗談じゃなく前回(5日目②-1)の一句が
ずっと頭をぐるぐるしてる。
『桃買って、ナイフ齧って、歯が欠ける』
もう、後悔とか、反省じゃなくて、
何だろう言語と記憶のシナプスが
そこにしか接続してない。
多分、こういう時に鼓舞する言葉の
『頑張れ! 』とか
『もう少しだ!』等と同じ意味の
言葉として格上げしている。
。。。足裏が痛い。。。
ひたすら。いけどもいけども。
『桃買って、ナイフ齧って、歯が欠ける』
もう息をするのと同じレベル。
身体中を赤血球が酸素を運ぶのと同じレベル。
生体維持のアルゴリズムに組み込まれたらしい。『桃買って、ナイフ齧って、歯が欠ける』
。。。足裏が痛い。。。
さて。途中差し掛かったLORCAロルカでの話。
なんか細長い形の町だ。
一軒のアルベルゲの軒下に入る。
ここは1Fがバルになっている。
宿泊でなくても一服は出来る。
丸眼鏡が似合うよく笑う髭の兄ちゃんが
ゆっくり休めと声をかけてくれる。
ビールを注文してから兄ちゃんに聞いてみた。
目的地のエステラまでどれくらいだい?
『2時間くらいじゃねぇかなぁ』
そうかぁ、まだそんだけあるかぁ。
なんと!今日はもう30km程歩いてる。
正直ここで迷う。泊まるか、行くか。
。。。足裏が痛い。。。
多分、僕の顔に迷いとマンガみたいに
露骨な濃い疲労の色が出てたのだろう。
店の奥から人影が近寄ってくる。
情熱のスペインサンシャインに照らされ
屋外に目が慣れたままなので、
なかなか僕の目には姿が良く見えない。
その暗闇の中から中年の女性が現れたのを
やっと目がとらえた。
女将だ。兄ちゃんの母親らしい。
女将が僕に言う。
開口イチバン
『あんた無理だよ疲れてるからウチに泊まりな』
すごい。強い。的を得たこのセリフ。
ビッグマザー。
もしくは一世風靡した占い師。
スペイン砂漠に一輪の母。
しかし、なんだろう。なぜだ?
そのセリフで僕は
『エステラまで行こう』と即決した。
もしくは女将の気遣いが叱咤激励となり
逆に鼓舞されたか、
いや、無意識のどこかで
『客呼びの営業されてる』と
あまのじゃくに考えて飲まれてたまるか
という意味不明の意地が勝ったか。
何にか全くわからないけども
『意地でもエステラまで行ってやる』
とスイッチが入ったのだ。
いずれにしろ言える事は、
僕はもう大陽の奴隷か
灼熱サイボーグとなっているんだ。
ビッグマザーにお礼を言って、
笑顔の髭兄ちゃんに日本煙草を
1本あげたら喜んでくれた。
。。。足裏が痛い。。。
いやーずーっとさっきからボソボソ言ってるけど。
『足裏が痛い』異常に痛い。これはあれだ、皮膚を無視して足の裏の神経が直で地面を捉えてる。
痛すぎる。駄目だ見ない方がいい。
今、靴を脱いだらもう履けなくなる。
見ずして確信してる。
この痛みはもうやられてる。
。。。。。いや!とはいえ痛い!歩けない。
駄目だ処置しよう。
途中に公園があったので日陰を探し
ベンチに荷物を放り投げ救急セットを掻き出す。
うわぁ、靴下が脱ぎずらいぃぃぃ。
張り付いてる!ギエェええ!
痛い!でかい!豆のレベルじゃない!
火傷だ!。
うぉぉ!ひぃひぃ言いながら
処置をなんとかする。
ガーゼってすごい。
ガーゼってなんでこんなにすごいの?
本当に心底思う。ガーゼもすごいし
絆創膏を考えた人はすごい。
いや、痛いんだけど、だいぶ歩ける。
そんなこんなでエステーリャに到着。
文字通り足を引きずりながらアルベルゲに。
ロルカの兄ちゃんが言ってた通り
エステラは大きめの街だ。
広場にはたくさん親子が居て
子供は好き勝手に遊んでいる。
旅人や観光客も多い。
建物のすぐ背後にそびえる丘や、
起伏にとんだ街の地形。
その丘に繁った緑とたくさんの街路樹。
街の中心部にも川が流れてたりして綺麗な街だ。
飯だ飯だ!今日は食べるぞ!
このカミーノにはレストランで
嬉しいオプションがある。
カミーノの旅人専用のお得なセットがあるのだ。
実際のところ一般客も普通に
食べれるところもあるのだろう。
ただ、このカミーノの旅人はまず見た目で判る。
日焼けやらボサボサ感があるからだ。
服装も外出用だったり、
こ綺麗にしててもいかにも
『私は今すぐ走れます!』
みたいな格好が多いからね。
レストラン側も実は旅人か否かは、
チラ見で判断してるのかもしれない笑。
Ensalada mixta ミックスサラダ!
bistec medio ステーキ ミディアムで!
たしか水曜どうでしょうで食事について言っていた。どの回だったかなぁ。
ヨーロッパ制覇か、リベンジか、完結編か。
『食事が良ければその国が好き』
これは名言だと思う。
確かに背景とかを理屈的に考えても料理って手間がかかるし料理を美味しく出すっていう欲求をキチンと丁寧に具現化するって根本的な品性とか社会性の成熟が基礎としてあればこそなわけで特にこんな疲れた日なんかハモウサイコウニウマクテ、
ナンダ、カンダ、、、、
いいから喰え喰え!飲め飲め!!!
そんなんいいから満たすんじゃぁー!
フレンチフライ大好きなんじゃぁー!
最高かよ!肉最高かよ!
と、ビールとワインで気分良く、
今だけは足裏の痛みもアルコールで
麻痺しながら夜の帳をくぐり抜け宿へと帰ります。
6日目:イノシシ踏んでけ! LosArcosロスアルコスへ続く
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
【Twitter】
十骨 jukkotsu (@ukiyo10rock)さんhttps://twitter.com/ukiyo10rock?s=09
【Instagram】https://www.instagram.com/p/Bu56idAgRDY/?igshid=g5p9v04af6cv
この記事が参加している募集
【十骨jukkotsu】 illustrate+アート=Artrator 時代を飾る『 Let show up your generation 』 【HP】 https://qqg984xd2.wixsite.com/ukiyo