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青い希望を求めて

また一つのシリーズが終わりました。
シリーズテーマは"海"と""列車"、そして"特別な存在"です。
今回の物語は、自分を見失った主人公が微かな記憶と目標を基に旅をするお話になっています。このキャラクター、かなり古いもので私が中学生の頃に生まれた子をベースにしています。…まぁ、フレーバーテキストという体で書いているので明確な描写がないからどんなキャラクターなのかは文章で表現していないわけですが…。今でも自分の中で生き続けている大切な子、特別な存在の一人です。


01,独り希望の夜を往く

今回の旅の始まりは列車に乗り込むところから。汽車に乗り込み夢の中に旅立つようなイメージで書いた曲です。やわらかく暖かく希望に満ちた旅立ちってきっとこんな感じ。
主人公の彼は普段はっきりとした意識はなく、朦朧とした意識の中でふわふわと生きています。どういうわけか今回は意識がはっきりしている様子。
「自分がここにいる意味も、名前さえもぼんやりとして思い出せない。ただ断片的な記憶が散乱する頭の中に、海に浮かぶ港町の情景がこびりついている。昔も今も僕は旅が好き。本能に付き従うように彷徨っている今でさえ、色々な場所を旅しているほどに。今回はしっかりとした準備が出来たんだ。素敵な旅になるだろう。」

02,コーヒーと深夜の長考を

この列車、サービスは充実しているご様子。主人公はコーヒーを注文したようです。列車での長旅に備えて本の用意もしていたようですが、気持ちが高ぶっている所為か到着まで何をするか決められません。…こういうのって悩んでいる時間も楽しいですよね。
「本、展望席、探索…どれもこれも魅力的。持ってきた本はお気に入りばかり。展望席もこの列車の目玉らしく下車するまでには一度は見に行きたい。この列車を歩き回って探検すれば、新たな出会いがあるかもしれない。あぁ、楽しく悩むこの時間がなんとも愛おしい。…もう少し、コーヒーを楽しみながらここで過ごしていよう。」

03,羽休めに童話でも

大人になってから読む童話の素晴らしさに一時溺れておりました。この曲は自作曲の中から2曲、童話っぽい雰囲気の曲を混ぜています。1分6秒の部分は『御伽噺の雪の花』、1分23秒の部分は『猫と月の夢の国』です。
彼が列車に持ち込んだ鞄の中には何冊か本が入っています。彼はそれを童話集だと思っているようですが、実際は彼自身が書いた日記です。記憶喪失に近い状態でもあるため、自分の日記だと認識できなくなっています。
「歯車の物語はお気に入り。主人公が花を求めて遺跡を探検する物語。どこか頼りない主人公が一生懸命に先へ先へ進む様が好きなんだ。…あと、なぜだかわからないが、この主人公を見ていると…とても胸が苦しくなる。この感情は何だろう。」

04,淡い希望の交差路を往く

シリアスな曲を目指しました。もともとはボーカル曲を作りたくて書いているため自身が歌いやすい音域、テンポで書いています。…歌詞がうまく作れなくて、結局いつも通りのインスト曲になったんですよね。作詞センスがほしい…。
曲のタイトルに対して物語は感傷的。朧気な記憶が微かに感情の揺れと共に思い起こされる、そんな話です。
「車窓から見える過行く景色に寂しさを覚え、感情の中に漂うおぼろげな記憶が微かに蘇る。輪郭しかない記憶は内容まではわからない。それはいつか歩んだどこかでの記憶。きっと楽しい、幸せな記憶。だから一人で旅する今がこんなに寂しく感じるのだろう。」

05,宵闇に浮かぶ港町の回廊

ボーカル曲を目指して書いた曲その2です。こっちは早い段階で歌うの諦めてインスト曲として書き直したのでだいぶピアノが遊んでいます。和風…ですかね、これは。…まだボーカル曲は諦めていないので、良い歌詞が書けたらいつか歌いたいですね。
曲タイトルに出てくる回廊は物語にはかすりもしないのはご愛敬。
「あの町の至るところに飾られた鈴は魔除けだったはずだ。古い風習が多く残るあの港町は独特な雰囲気が漂っている。住人達が体に刺繍を入れているのも町の風習の一つだ。…彼は特に大きな刺繍を肩にいれているから、会えばすぐにわかるだろう。」

06,潮風に称えられた戦士

爽やかな戦闘曲です。地味に打楽器の構成に力が入っています。軽やかに翻弄してくる敵をイメージしているため全体的な音作りは軽く、でも強敵感は出したかったので打楽器で重さを追加。結果こんな曲になりました。
物語は出会い頭に銛をぶん投げてくる旧友との再会です。…いきなり殺意むき出しなのは、きっと避けるだろうという信頼からか、はたまた過去の因縁か。記憶の曖昧な主人公には知る由もありません。
「頭上を過ぎていった銛は駅の柱に突き刺さった。彼はどこから取り出したのか、二本目の銛を手にこちらに近づいてくる。…頼むから何か言ってほしい。もしくは表情の一つでも作ってほしい。無言無表情で銛を片手にこちらに近づかれるとさすがに恐ろしい。」

07海中書店『センカ屋』

中華か、中東風か…異国感漂う曲になりました。出来上がった後に改めて聞き、アラビアンな雰囲気を感じた曲です。もともとは悪魔城シリーズの月下の夜想曲に登場する蔵書庫のイメージで書いていたんですが、なぜかこんな感じに纏まりました。不思議ですね。
先ほどまで戦っていたはずの旧友は、主人公を引き連れて町の奥へ、下へと連れていきます。まるで町にやってくることを知っていて、主人公の目的も知っているように。
「センカ屋。その店は初めて来るはずなのに、なぜか強い懐かしさを感じた。見たところ店員はいない。この店に連れてきたはずの友人も気が付けばいなくなっていた。警戒すべき状況のはずなのに、なぜか私はこの店で本を読みたいという衝動に襲われた。」

08,深海に沈殿する記憶

ブクブクと泡の音を使いたくて書いた曲です。雰囲気はすごく出た気がします。このシリーズの一番のお気に入り曲ですね。38秒くらいまで曲を進めないとメロディは流れないので、インスト慣れてない人にはつらい曲ですね。
深海の奥底で忘れられた記憶達が沈殿して形作られた場所がある。そこは生き物が潜るには深すぎて、誰も足を踏み入れる事が出来ず決して思い出される事はない記憶の墓場。
「この場所は何なのだろうか、この本は何なのだろうか。この本は間違いなく僕が書いたものだ。筆跡も、内容も、身に覚えがある。間違いなく僕のものだ。気が付くと辺りは真っ暗になっていた。何も見えない。ぶくぶくと水の中に沈んでいくような音だけが耳に届いた。」

09,海底で錆付くメカニカルラビリンス

機械的な迷宮、そしてプレステ時代のゲーム風の曲を目指して書いた曲です。幼少期に遊んだプレステのゲーム、私の心に強く残っている作品がたくさんあります。そんな作品たちを思い出しながら書きました。…うーん、プレステのゲーム語りいつかしてみたいですね。
「自分の生い立ちもここまでの歩みもすべて思い出して、得たものが後悔だなんて…。でも考えれば分かった事かもしれない。すべて僕自身が望んだ事だった。こんな体になったのも、記憶や意識を彼方へ追いやったのも。思い出した僕はもう逃げられない。逃げたくない。」

10,壊れた迷宮の裁定機

ボス戦風です。イントロで迫力を出しつつ、メインメロディ自体はシンプルに。単調な機械との戦闘をイメージしているため、派手にならないように書きました。私の書く世界の構造上の問題で、あまり敵キャラクターに意思を持たせたくないんですよね。趣味や嗜好マシマシの私の世界、これもどこかで語りたいですね。
「重火器の鈍い音がする。部屋を進むたびに躊躇なく打ち込まれる弾丸を交わしながら足を進めると、最奥の部屋に鎮座する管理機構の本体が見えてきた。それは一見小さな熊のぬいぐるみ。部屋中に配置されている物々しい武器の数々とぬいぐるみという対比は異様としか言いようがない。相変わらず、趣味は悪いようだ。」

11,海上へ続く鯨の行路

ボス戦後のおまけステージイメージです。メロディアスで、それでいて癖の強い曲になりました。テーマは曲タイトル通り鯨です。鯨が知っている海上へ続く秘密の行路を通って深海から海上へ行くイメージで書きました。イントロは鯨をイメージしており、Aメロからは癖の強い高難易度ステージのイメージです。
物語は前向きに、過去の後悔を置き去りにして前に進みます。本から取り戻したのは記憶の一部で、深海の建物の最奥部ですべてを取り返したようです。これからの事を考えながら、焦らず海上を目指します。
「無意識に口から言葉が漏れていることに気が付いた。どうやら取り戻した記憶が口から漏れていたようだ。何年、僕はこの世界で彷徨っていたんだろう。鯨の行路はまだ続く。行路の所々に散乱する遺物が、僕記憶が本物である事を裏付ける。夢物語のような世界で、霧散していた現実的な記憶を取り戻して、さぁこれからどうしようか。」

12,海上を往く列車に揺られて

このシリーズ最後の曲です。いわゆるエンディングになります。
列車に揺られて新たな旅立ちに胸を躍らせる…けれど先ほどまで居た町にまだ居たいという気持ちもあってもう少し留まっていたい、そんな思いを曲にしてみました。前向きで寂しさ漂う曲になったかなと思います。ゲーム風なんで無駄に盛り上がる曲ですが、こういう曲すきなんですよね。
「地上の友人は相変わらず口数がすくない。でも、それが彼が僕を信用しているからだということを思い出した。すべての記録と記憶はもう僕の中にある。もう無意識だとか、曖昧だとかそういうのは終わりにしよう。列車での旅は少し延長して、かつての僕のやり残したことをやり遂げよう。」

以上12曲でした。

拙い文章で語る物語であるため、伝わりにくい部分も多いとは思いますが読んでいただけると嬉しいです。

最後まで読んでいただきありがとうございました。
他のシリーズの曲も聞いていただけると嬉しいです。


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