第5話 土器と畑
スカシは家づくりを手伝ってくれた越冬ツバメたちに感謝の気持ちを伝えた時、アリンコチエ、サルモノクレタ、モスラモスルイとコモグラたち、アムノアミエ、モリノウタヒメと森の妖精コーラス隊、など、この島で出会った仲間たちともっと楽しく交流したいと考えていた。
そこで、みんなで共有できる畑を造って、いろんな作物を育ててみようと『オオクワハタ』を手に取った。
アリンコチエ
「土にスカシの意思を伝えるようにクワを入れてみよ。きっと、
その思いが届くじゃろう。 島の自然や仲間たちも収穫を楽しみに
しながら、協力してくれるじゃろう。」
スカシ
「意思の力で石から道具を造った時と同じようにするんだね。
やってみるよ。 ありがとう。」
スカシは最初の一刀を『トウモロコシ』と念じた。すると、モグラたちが
トウモロコシ用の畝(うね)を造っていく。
そして次々に、サトウキビ、キャベツ、ハクサイ、ダイコン、ダイズ、
ムギ、キビ、アワ、ホウレンソウ、ジャガイモ、サツマイモ・・・と畝が
造られていった。
一通り耕し終わったところに、つがいのワタリガラスがやってきた。
ワタリガラスはスカシが念じた通りに、畝ごとに苗や種を蒔いていった。
テレレレッテレー♪
スカシの無人島クエストに、つがいのワタリガラスが加わった。
新しい仲間に名前をつけましょう。
スカシはオスが「トオカラス」、メスが「チカカラス」と名前を付けた。
そして、地下水が湧きでたため池から桶に汲んだ水を、種まきが終わった畑にまきながら、すくすくと元氣に育つように願った。
そのころ、地中ではアリンコチエとその仲間のアリたち、モスラモスルイとコモグラたち、彼らの仲間の様々なムシや微生物たちが、作物の成長に必要な水分や栄養を運んでいた。生きた自然の営みが、活気にあふれたエネルギーが循環していた。
地上では、太陽のエネルギーがさんさんと降り注ぎ、お日様も作物の成長を暖かく見守っていた。
スカシはサルモノクレタと一緒にリンゴで軽い昼食を済ませると、土をこね始めた。土鍋や食器や“かめ”、ハーブ茶用の土瓶、それに自家製ミソを造るためのすり鉢も造るために(すりこぎは老木さんから切り落とした枝を加工して造った)。塩づくりに必要な漏斗や鍋や容器も造った。
そして造った土器を並べて3日ほど天日干ししたあと、土かまどで焼を入れれば完成・・・という予定。
こうして、土器の完成と作物の成長を楽しみにしながら一日が終わろうとしていた。スカシは出来立てほやほやの浴場で、サルモノクレタと一緒にゆったりと湯船につかり、ほっと一息つきながら疲れを癒した。そして、日が暮れると、サルモノクレタに腕枕をして眠りに就いた。
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僕 「きびだんごって、岡山の昔の名前の吉備国のお土産っていう
意味で、きびだんごって言うの?」
父 「そうじゃない。キビというイネがあの土地では自生していて、
縄文と言う時代から地元では食料になっていたんだ。稲穂は
黄金(こがね)色に輝いて美しく、父さんがそこにいた時も、
キビを炊いて主食にしていたくらいだ。噛めば噛むほど味が出て
うまいぞ。
その炊いたキビをギュッと握ったのが“きびだんご”で
畑仕事や醤油蔵で働く職人さんたちが弁当にしていたもんだ。」
僕 「縄文時代からイネって作ってたの?」
父 「ネットで調べてみろ。」
調べてみると・・・下記サイトは一例です。
(https://www.pref.okayama.jp/site/kodai/632621.html)
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この物語はフィクションであり、作者である私の妄想から
産まれた空想物語です。したがって、登場する人物や名称などは
実在のものとは異なりますので、ご注意願います。
つづく
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