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『読むアートはいかがですか?』14

皆様こんにちは。12月に入りましたね。キリリとした空気の中での吐息は白くなってきましたか?2019年の残すところの日々を、何をすべきか考えつつ、紡いでいきたいと思います。

ヨコハマトリエンナーレ2020

この『読むアートはいかがですか?』3でも少し触れさせていただきました。横浜で3年に一回開かれる、現代美術の国際展覧会です。さぁ、来年に迫ってきました。今から追いかけていこうと思います。

AFTERGLOW -光の破片をつかまえる

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さて、先日はそのヨコハマトリエンナーレ2020のプレイベント、"エピソード00"へ足を運びました。久しぶりの横浜で、少しエモさがでてしまいそう。懐かしさいっぱいです。

相変わらず、横浜は、美しい。

今回のトリエンナーレでアーティスティック・ディレクターに迎えられた"ラクス・メディア・コレクティブ"。インドを拠点に活躍する3名のアーティスト集団です。

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彼らのキュレーションの特徴として。

「テーマ」ではなく、「ソース」から発想することを特徴としています。「ソース」とは時代や文化的背景の異なる実在の人物の生き方や考え方を例示する資料であり、会話のネタとなり、思考の素材となるものです。ラクスはこれを自分たちが思考の過程にある開幕前の段階からアーティストや関係者と共有することによって、周囲の人を巻き込みながら、展覧会の世界観を作り出していこうと試みます。

周囲を巻き込みながら、世界観を作っていく。その過程に私は自分がしたいことを重ねました。いうは易し。行うは難し。今、内面性含め、苦戦中。

彼らの言うように、先に"テーマ"を作ってしまうことで、形にこだわってしまう。そこからスタートということになれば"拡がり"という可能性を狭めてしまう。

そうではなく、彼らはその数ある"ソース"に視点を置き、個々の表現を各々が伸ばすことで作られる世界観を作ろうとしている。

ここだけ見ても、その継続的な世界観の広がりにワクワク。

ちなみにプレイベントは、今回のエピソード00を皮切りに、何度か繰り返される予定だそうです。その度に共有を繰り返し、世界を創っていく。

SOURCEBOOK

昨日はこちらをいただきました。ラクスの世界のはじまり、はじまり。

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ラクスは、ここにある「ソース」に、独学すること、ケアすること、自ら世界を把握し、自ら光を放つことへのヒントを見出しています。そして、光が遠く異なる時間や場所へとつながるように「ソース」から思考を広げていきたいと考えています。

この中には、アートを中心に巡る世界観が散りばめられていました。宗教、科学、生命、占星術、文学やテクノロジー。世界はすべて、つながっている。

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パフォーマンス「Présage(予兆)」イシャム・ベラダ

色々なパフォーマンス、インスタレーションがあったのですが、最後の作品を。

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何が始まるのだろう。ベラダ氏の手元には色々な素材が置かれており、小さな小さな水槽のようなものも。

スクリーンに映るのは、何もない"無"。そこには生命の起源"ソース"である水が存在していました。

突如、細かな砂のようなものが入ってきます。

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さらに、色を纏った有機物が降ってきました。

そこから加速度的に、さまざまな命とも思えるような物質が各々成長していきます。

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"ドクドク"

"ボコボコ"

"ぷつぷつ"

"ひゅるり、ぽき"

そんな耳には聞こえない音が、目で見て入ってきました。生物ではないけれど、生物のようなもの。

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見事に世界が出来上がっていきます。しかし、最後にはこうなる。

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いつかは真っ黒になり、汚されるのかもしれない世界。しかし、また最初から創られます。

何度も何度も、世界は創られる。それがこの世界の"理"なのだと思いました。

アートは自分の中にある、表現のタネを反映してくれるもの。美しいと思うものを美しいという心を持っていると、自覚させてくれるもの。

そして、美しさの中に見る"平和"を実感させてくれるもの。

均衡、バランス、調和。

それらを美しいと思う私たち人間には、DNAに乗って幾万年もの太古の時代から受け継がれてきた血があると、再確認させてくれます。

次のエピソード01を楽しみに。



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