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思索と創作

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言いたいことは、物語にする。
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#日記

書けない。

書けない。

僕は今、文章が書けない。この夏で3年目に突入する。
きっと、ここでいう文章とは「文章」と書き表したほうが適切かもしれない。自分の「文章」を読むと、気持ちが悪くて仕方がなくなる。特に小説の、人間やそれに準ずる輩の言葉に、気味悪さというか、魂のようなもののない、虚ろなものに思えて、拒絶反応が起こるのだ。
ひとえに自信のなさから生じるものだと思うし、もはや完治なんか期待しちゃいけないのかとも思ってしまう

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霧がかる夕焼けと湘南平

霧がかる夕焼けと湘南平

西の空が茜色できれいだった。
こんな日はドライブをしようと地元の田園を走らせていたら、湘南平に霧がかかっているのに気がついた。

湘南平。
標高約180M、平塚の西南にある山の名前だ。
正しくはその山の頂上を指す名称で、千畳敷とも呼ばれる。一帯が平らで、散歩やキャッチボール、季節によっては花見をする地元の人たちが訪れる。

このちいさな山の麓で育った僕にとって、それこそ「親の顔より見た」と形容でき

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「生まれてきてくれてありがとう」という言葉に、違和感。

「生まれてきてくれてありがとう」という言葉に、違和感。

「誕生日おめでとうと言われるのは嫌なんです。歳とっておばさんになってく感じがするじゃないですか。だから誕生日が嫌いだったんですけど、『生れてきてくれてありがとう』って言われたことがあって、それで、ちょっとだけ誕生日も悪くないかなって思ったんです」

数年前に、そんな感じのことをラジオ番組のパーソナリティが言っていた。
いつものようにドライブ中のことで、そのときは「こんなふうに思う人もいるんだな」程

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灰皿を囲んで煙草を吸えない。吸いたいけれど。

灰皿を囲んで煙草を吸えない。吸いたいけれど。

僕はおそらく、煙草を吸うのが遅い。
「おそらく」というのは、他人が嗜む様子を見る機会がそれほどないからだ。でも数ヶ月に1回程度、見知った方と共にする機会があって、自分が半分ほど進んだ時点で相手は1本終えている。自分よりゆっくり嗜む方と相席したことがないので、「おそらく」煙草を吸うのが遅い、と思うわけだ。

煙草をはじめたのは、大学を卒業して1年後、当時勤めていた仕事に疲弊して、「夜逃げ」をしたあと

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合法ジャンキーの手記‐モンスターエナジー片手に

合法ジャンキーの手記‐モンスターエナジー片手に

あらかじめ言っておこう。これは個人の経験であり、飲めば全員が同じ心地になるとは限らない。
ゆえに、これは僕個人の話であり、好き勝手に書く。

モンスターエナジー、変化を自覚する飲み物モンスターエナジーというドリンクは、飲むと身体に変化を生じさせる。
鼓動のたび心臓が詰まるような感覚が生じ、体温が上昇し、視界があかあか鮮明になり、感覚が過度に研ぎ澄まされる。
ハッキリ異常とわかる感覚に包まれ、いわゆ

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産声をあげる日-ある文芸評論家から作品の感想をいただいた話と、恩師の話

産声をあげる日-ある文芸評論家から作品の感想をいただいた話と、恩師の話

先日、ある文芸評論家と文通する機会があった。
自身の作品を読んでもらい、感想をいただくことを前提とした文通である。

ことの発端は、1本の電話からだった。

先週土曜日の朝、電話が鳴った。電話帳未登録の番号であった。
その日は仕事で、ちょうど出勤準備に追われていたこともあり、応えることができなかったがしかし、ひっきりなしにスマホは揺れつづけるのだった。
仕事の休憩時間に入るまで、2時間おきに不在着

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備忘録、忘れたときのために備える。

備忘録、忘れたときのために備える。

京アニが燃えた。

僕は灰になった。雨に濡れてびたびたになった灰になった。

温泉街の郊外の無料駐車場にいる。雨が車の天井を叩いている。また強まってきた。飛騨は警報が発令されている。

谷を見るとあかあかとした霧に包まれている。温泉宿の照明だ。

あかあかとした炎。焼死体。性別不明。ああ、もうそんな情報はいらないよ。僕はただ目をつむることしかできない。赤い霧は見えなくなるけど、雨音はどこまでもどこ

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