「峰村」/“minemura”

小さな書く会社で制作と演出をやる人の、仕事と暮らしと演劇の隙間の記録。 https:/…

「峰村」/“minemura”

小さな書く会社で制作と演出をやる人の、仕事と暮らしと演劇の隙間の記録。 https://jogga.jp/

最近の記事

仕込みが好きだ

あしたは小屋入り。演劇公演の仕込みをすべく朝からイベントスペースへ。演劇のクリエイションにおいて、この小屋入りのタイミングが個人的にいちばん気持ちが昂る。仕込みが好きなんだ。壮大な不安を抱きながら安全に進める。 きょうから地元の美術学校で文章講座が始まった。教え始めて3年目の夏だ。1年目の学生も、2年目の時の学生も、全員名前と顔を覚えている。卒業してから会うことはないが、近しい業界にいる子も多いようだ。向こうは忘れていてもわたしゃ覚えています。今年のクラスの実態はまだ掴みき

    • 「自分は大丈夫」という感覚

      外食すると、食べ物の中に髪の毛などが入っていることにサッと気付く方で、この前は蕎麦を食べていたら小さなステンレスたわしの破片が入っていたし、その前はカレーを食べていたらビニール袋片が入っていた。それを店員さんに言うか言わないかは置いておいて(私はもうそういうのに慣れてしまって何とも思わないので言わない)、外食は結構そういう異物って入ってるんだなぁと思っている。だから、たまたま気づいてるけど、割と食ってるんだろうな、とも。ちなみにきょうのランチは何も入っていなかったというか、気

      • 紅茶奪還大作戦

        セブンイレブンのネットプリントを活用している。自宅からアプリ経由でサーバーに印刷物をアップして、QRコードを発行して、セブンイレブンに行って、QRコードを印刷機にかざせばうぃーんと出力されるという便利なサービス。 きょうそれをやろうと思ったら小銭がないことに気づき(紙幣が使えない仕様)100円の紅茶を買ってお金を崩してから印刷に挑んだ。で、なぜか買った紅茶を印刷機横の名もなき棚というか、名もなき段差というか、そこにぽんっと置いて、そのまま印刷終わりで稽古場へ帰ってきてしまっ

        • 人の夢中に

          あるひとつのことに強烈に打ち込んでいる人に対して「何目指してるの?」「どうなりたいの?」「どこに向かっているの?」って聞く人のことを野暮って呼ぶんだと思う。割といますけどね。毎朝ランニングしてるとか言うと「なに、どこ目指しちゃってるわけ?」みたいに冗談ぽく。冗談は鼻の下の溝くらいにしとけと思う。何を目指してるかなんてわかっていない。ただやっていて、その先には多分何かがあるのだろうけど、それが何かはわからずもとにかく掘り続けている、そんな感じで日々色々とやっているわけだ。人の夢

          暮らしの隙間に劇がいる

          演劇を作っていく中でギュンっと気持ちが昂ぶる瞬間はいくつかある。そのひとつは小道具の出来栄えが良い時だ。とある小道具の仕上がりが抜群に良くて、半ば作品が完成したかのような気分になった。カネはかかっていないが、それでもきちんとしたモノができることもある。 そろそろ本番の影がチラチラしてきて、演劇のことだけを考えていたいのだが、やはり仕事と暮らしの中のさまざまなことを考えながらその隙間を劇で埋めるような日々だ。腹が減ってキッチンをウロウロしていたらきゅうりがあったので丸ごと齧り付

          暮らしの隙間に劇がいる

          「ひとりでがんばる」を学ぶ

          来週から地元の美術学校で集中講座全8回。書くことと、そこから派生するさまざまな不安と期待をお伝えしていく。今年でお世話になって3年目。1年目の学生も、2年目の学生も本当に素直で、貪欲で、思っていたよりコミュニケーションが上手で、何よりGoogle検索ばかりしていた。授業で伝えたことをすぐさまGoogleで調べたりする。「キャッチコピーとは」という授業をやった直後に私の真ん前で「キャッチコピーとは」と調べる。わかる。生身のどこかの知らないおじさんよりも身近なGoogleなのはわ

          「ひとりでがんばる」を学ぶ

          ラジオが生む誇り

          企画・構成・演出をやらせてもらっている某メーカー提供のラジオ番組が、初回放送からまもなく1年。毎回社員の方に登場してもらって、企業の活動や取り組みについて話してもらう広報番組を続けたことで、クライアントの社内にはラジオに対する新たな価値が生まれてきたという話を聞いた。 番組に出演することで、自分の存在を知ってもらえる。「ラジオ出てたね」と認識してもらえる。「喋るの上手だね」「良い声だったよ」「面白いテーマだったね」と褒めてもらえる。声をかけてもらえる。家族に少しだけ自慢ができ

          ラジオが生む誇り

          子供銀行と書いてある

          SNSで「新札ゲット」という一言とともに、新札の写真を公開している方がいて、その新札にはハッキリと「子供銀行券」と書かれているのだけど、そこからが人間の面白いところで、その「子供銀行券」の文字など読むことなく反射的に「どこで手に入れたんですか?まだ市場に出回っていないはずですが」というコメントがワイワイと溢れていた。そう。だいたい文字は読んでもらえないというのはお決まりだ。で、そこまではまったくよくある話だし、きっと本物のお札と勘違いする人も多いんだろうなあと思っていたら、な

          子供銀行と書いてある

          片付けの本が片付かない

          デスクの上にハンドタオルが4枚もある。手は2本なのに。誰だ置きっぱなしにしたのは俺です。グラスがいくつも置きっぱなしだったり、とにかくそういう整理整頓はもう無理なのだと諦めている。えいやで片付けても秒でごちゃごちゃになる。事務所として借りている場所(現在は芝居の稽古場)なんてひどいもので、大家さんにバレたら噛みつかれるんじゃないかってくらい大変なことになっている。モノが多すぎて、狭くなってきた気がする。退去する時どうするんだろう。一気に捨てるしかないのだろうか。それを考えると

          片付けの本が片付かない

          自信がないこと

          肉うどんとちくわ天、おにぎりを注文して食べた。うどん専門店での話。あっという間に食べ終わってさて行こうかなと思ったら、隣りのお客さんが店員さんに「あのすみません、ちくわ天も頼んだけど来てません」と言った。ハッとなった。俺のところもちくわ天が来ていない気がしたからだ。肉うどんとおにぎりで満足してしまって、ちくわ天を注文したことを忘れていた気がした。と同時に、しっかり食べた気もするのだ。真っ先に食べて、そのあとに肉うどんとおにぎりを食べたような気もする。相当自信がない。もっと言え

          人の話を聞くだけ

          人の話を聞くだけのメディアがラジオだ。双方向とか、共有とか、ソーシャルのような、時代っぽいけどしゃらくさいことも遥かに多いそれらの要素がほとんどない。基本は人の話を黙って聞き、音楽を黙って聴く。その自ら聞きに行く、しかも聞くだけというところに猛烈なときめきを抱いているし、そこに癒やしが潜んでいるし、人の話を聞けない人が増えてきた気がするのはラジオを聞いてもらえていないからじゃないかという気すらする。黙って聞け。そんなどっしりとした佇まいがラジオにはある。パーソナリティにハガキ

          人の話を聞くだけ

          うまいの知ってる

          朝発で東京へ。色々あってランチを食べ損ね、ようやくお腹に入れたのが夕方。とんかつ屋でロースカツ定食を食べていたら、後から来て隣りの席に座ったおじさんもロースカツ定食を注文していて、食べながら「あーうめー」「このロースカツ定食うめー」としきりに言っていた。知ってる。あんたより先に来て先に食べてるからうめーの知ってる、と思った。別に私に言っていたわけではない。お連れの後輩おじさんに向かっての発言だ。それを踏まえた上でやはり思った。知ってる、と。なぜわざわざ空席だらけなのに隣りに来

          うまいの知ってる

          どこかで犬が鳴いている

          夏の公演にご来場頂くお客様の割合、演劇と関係のない人が増えている。嬉しい。演劇人同士の行って来いではなくなりつつある。前々回あたりからその割合が徐々に増してきて、本当にありがたい。 そうなった場合、割と大事だなと思うのが折込チラシだ。ありとあらゆる種類の折込チラシがあって、その中から好みのチラシを見つけてもらって、観劇にまでつながればいい。そうでもしないと、演劇公演の情報は本当に届きにくい。地域演劇ならなおさらだ。演劇と無縁の人がせっかく足を踏み入れてくれたのだから、演劇面白

          どこかで犬が鳴いている

          中華丼の夢

          ラーメンと中華丼をさらりと注文した人に出会った日。定食屋で。入ってきて座席に座るか座らないかの流れで「ラーメンと中華丼のセット」と言った。中華丼を店で頼む人が実在するのだ。中華という概念にも近い大雑把な括りの丼。カツ丼はカツが乗っているからカツ丼。うなぎはうなぎ。私は私。うちはうち、よそはよそ。では中華丼には何が乗っている?大陸の夢だ。あんかけの如く一筋縄ではいかない、渦の夢。うずらの夢。夢丼とでも言おうか。そんな丼を、座席に座るか座らないかの流れで注文する夢男と出会ったのだ

          文案家の鈍臭い役割

          ある企業のコーポレートメッセージを作るために、事務局の皆さんと朝からメッセージのネタ出し会を実施した。言葉作りは、コピーライターが「ほれこんなんでどーだい」とやるよりも、言葉を求める皆さんと長い時間同じ場所に詰めて、泥水を啜り合いながら、これでもかこれでもか、まだかまだかともがきながら言葉の断片を吐き出していくやり方が座り良い。そのかけらをまとめるのが我々みたいな平場の文案家の役割だ。とにかくスマートにやらないことだ。血と肉を分け合って出来上がったメッセージは、自分の肉体のよ

          文案家の鈍臭い役割

          眼鏡のレンズの

          なぜ眼鏡のレンズが汚れるのかわからない。触っていない。だのにレンズが汚れている。今日はいよいよ汚れ過ぎてよく見えていなかったのか、エビマヨのおにぎりと小エビのおにぎりを買っていた。あっちもこっちもエビだった。こうやって書いているいまだってリアルタイムで眼鏡のレンズがじわじわと汚れているかもしれない。レンズを触るタイミングなどないのになぜ汚れるのか。まつ毛を疑っている。瞬きするたびに、サファっとレンズに触れているのではなかろうか。いや違う。なぜならレンズの外側が汚れているからだ