「峰村」/“minemura”

小さな書く会社で制作と演出をやる人の、仕事と暮らしと演劇の隙間の記録。 https:/…

「峰村」/“minemura”

小さな書く会社で制作と演出をやる人の、仕事と暮らしと演劇の隙間の記録。 https://jogga.jp/

最近の記事

7人の西田

事情でテレホンカードが必要になり(どんな事情)テレホンカードの束が引き出しにあったなと思って引っ張り出したら、西田ひかるのテレホンカードが7枚も出てきた。こっちを向いてVサインをする西田ひかるが7人。7つのVサインと7人の西田ひかる。2024年春だもの。西田ひかるをイチから説明する必要があるのかもしれない。西田ひかると石田ひかりを混同しかけた青春時代。そんな存在の西田ひかるのテレホンカードが7枚だ。デスクに並べて写真に収め、そっと眺めたりしている。まるで好きではないけれど、7

    • 卵と射幸心

      仕事で他県へ行き、帰りにスタッフとふたりで卵かけご飯の専門店で昼を食べた時。こだわりの卵を手に取ったらずっしりしていて思わず「うわ重いよ」と言った。スタッフも卵を手にしたら「本当だ」と言う。しっかりした卵は重いのだなと思いながら割ったら、黄身が2つ出てきた。うわ!と声が出て、スタッフもうわ!と声を出しながら卵を割ったら、また黄身が2つ出てきた。またうわ!と言った。卵2つに黄身4つだ。卵の黄身が2つ出てきたということだけで相当興奮した。連続で出ることで射幸心を完璧に煽りにきた卵

      • 「気をつけて」という声援

        きょうはマラソンをしてきた。前半の20キロは快調、後半は地獄を見た。聞けば完走率も例年に比べて低かったとのこと。気温、湿度、黄砂などなど割とハード目な環境だったかもしれない。とにかく本気でリタイアするか悩みながら走るのは初めてだった。しなかったけど。走り切れて良かった。 走り切れたひとつに沿道でひとり応援をするおばあさんが「がんばれ」「負けるな」「もう少し」という言葉ではなく「気をつけて」だったのがあるかもしれない。「気をつけて」。イケイケどんどんの高揚感も、リタイアで悩むモ

        • 「ここ以外にもがんばっている人はいます」

          あるひとつの職種の皆さんが集って、お酒とともに知識や技術を交流するような場がありますよね。同業者にしかわからないあるあるとか、悩みとかを話しながらっていう。 そういう会っていうのはやはり、全員が集まれるわけではない。声が掛からない人だっているわけです。当然ながら。それはその会の主催者とのつながりがそもそもないとか、最近その仕事を始めてまだ日が浅いとか。さまざまな理由でそこにいない。わかる。当然ある。 そういう会というのは今の時代、だいたいリアルタイムないしは数時間遅れくらいで

          以降について

          打ち合わせは15時以降なら大丈夫と言われたので15時に設定したら「多分間に合います!」と返事が来た。しまった。そっちの以降か。またやってしまった。これでもう何度目だろうか。移動時間や準備時間を含まない「15時以降」だったか。真に受けてしまった。16時にすべきだった。 15時以降のその中には移動時間も含んだ余裕のある15時以降なのか、体が空くタイミングが15時であって移動などの時間は含まれない15時以降なのか。以降と言われた途端に私は頭を抱えてしまう。やはりそこは少しの余裕を

          今川、大判、自慢

          午後からの収録現場に差し入れをいただいた。 自慢焼き。長野県上田市の商店街で売っています。言うところの大判焼き。今川焼き。回転焼き。皮がやや硬めですこぶる美味い。うっかり中身を撮り忘れるくらいに美味い。そして何よりうっかりなのが、今日のランチが少し足りなくて、わずかな空腹を満たすべくたい焼きを食べたことを自慢焼きを齧った瞬間に思い出したことだ。つい数時間前にまったく同じ材料の形違いな物を食べていたのであった。構わん。ごちそうさまでした。実はまだひとつ残っていて、食べるかどう

          今川、大判、自慢

          うどんわけわからん

          近所のうどん屋で温かいうどんを頼んで、替え玉できますと書いてあったのでお願いしたら「冷たいのと温かいのどちらにしますか?」と聞かれた。温かいうどんの替え玉を頼んだのに。聞けば汁も一緒についてくる替え玉だという。しかも冷たいでも温かいでもどっちでもいいのだそうだ。そんな商売あるのか。カウンター越しに詐欺られてんじゃないかこれ。 試しに「じゃあ冷たいので」とお願いしてみる。だって温かいうどん頼んで、そのおかわりが冷たいうどんって、それ別のうどんを食べられるってことじゃないか。夢う

          うどんわけわからん

          服わけわからん

          暑いんだか寒いんだかわからん。Tシャツで家の中をウロウロしてたら少し肌寒い気がしたので長袖に着替えたら何となく暑い気がして、厚手のTシャツを引っ張り出したらどうも心もとない。改めて薄手の長袖Tシャツに着替えて出かけようと外を見ると風がビュービュー吹いているじゃないか。やはり上着は必要だろうということでウィンドブレーカーを羽織ったら暑い。自分が持っている上着の中の最薄であろうこのウィンドブレーカーで暑いのだから、もう何かを羽織るという選択肢はなくなった、と思ったら薄手かつ風を通

          手のひらをじっと見る人を見る

          4年計画で携わっている仕事の2年目が始まった。そんな新たなスタートの日。 撮影終わりの移動で通り過ぎた住宅街の中の民家のひとつが一瞬カレー屋に見えて、「いまそこにカレー屋なかったですか?」という話になる。サーッと通過しただけだから自信はない。ないが、目の端っこに「CURRY」と書かれた小さな看板、そして湯気が立ち込めるカレーらしき絵も見えたような、見えなかったような気がした。CUURY(きゅうり)だったかもしれない。自信はない。本当になんということもない住宅街に突然カレー屋が

          手のひらをじっと見る人を見る

          どうしたって素材っぽい

          東京大学の安田講堂ってところがあって、ご存知の。きのうそこ行ってうわー安田講堂だーってなって写真を撮影したけど、どう撮影したって「素材感」が拭えないという状態になった。「安田講堂の素材写真」だ。有名な場所は概ねそうなりがちなんじゃないかと思う。東京タワーの写真を撮影したら「東京タワーの素材写真」っぽく絶対なる。ピクスタっぽくなってしまう。もうそれの呪縛から解き放たれることはないのかもしれない。とにかく昨日の安田講堂の写真はどんな角度でどんな工夫を施しても安田講堂の素材だった、

          どうしたって素材っぽい

          狭いスーパーマーケット

          東京に来た。ランチに調子乗ってカレーのナンを2枚食べたらお腹が痛くなり、久々のピンチを迎えた。目指したトイレが行列で、通りの向かい側にコンビニがあったので駆け込むもトイレがない。そうか。都会のコンビニはトイレを貸してくれないと聞いたことがある。これだったか。 かなり遠いが駅まで行くのが賢明かと思った矢先に建物と建物の隙間を埋めるように2階建てのスーパーマーケットがあることに気付く。ここならどうだと飛び込むと多目的トイレがかろうじて2階にひとつあり、事なきを得た。 トイレ前はも

          狭いスーパーマーケット

          誰がどこに住んでいるのか

          東京に住んでいた頃はあいつは中野だ、やつは目黒だ、あの野郎は月島だ、というように誰がどこに住んでいるということを概ね把握していて、何ならもう少し細かい場所もざっくり知っていたけど、長野に引っ越してからその感じがまったくないことに今日気付いた。誰がどこに住んでいるということをほぼ知らない。今朝もかれこれ10年近い付き合いの友人と話していてひょんな流れから「うちこの通りのひとつ先なんだけどさぁ」と言われて初めて住んでいる町を知った。それまでこの人がどこに住んでいるのかなんて考えた

          誰がどこに住んでいるのか

          頭を抱えながらしゃべる

          年に1回くらいしか会わない人と先日会って、今年のその人との仕事が始まった。私その人のことが割と好きで、何が好きってしゃべってる時に無意識に両手で頭を抱えているその様子が好きだ。「あーもうダメだー」みたいなポーズをずっとしながらしゃべる。全然ダメな話じゃないけど、傍から見たら常にもがき苦しんでいるように見える人だ。今年も期待を裏切ることなく、会った瞬間からもう頭を抱えていて、そのままのポーズで「ご無沙汰してます」と言われた。あとその日は私たまたま帽子をかぶっていなくて、昨年会っ

          頭を抱えながらしゃべる

          ワンチャン休みじゃない

          「ワンチャンその日バイト休みじゃないかも」というミステリアスなフレーズをすれ違った高校生が言っていた。ワンチャンとはワンチャンスのことであって、チャンスがあと1回あるからワンチャンスなのだけど、ワンチャンスその日はバイトが休みではないらしい。チャンスとはいったい何だろう。「ワンチャンその日バイト休みかも」ならわかる。そうではなくて、休みじゃないけどチャンスなのだ。あるのかないのかないのかあるのか見に行こうのやつだ。マーチったらチッタカター行進だのやつ。なんだチッタカターって。

          ワンチャン休みじゃない

          両手を解放する人

          首と肩と顎をうまいこと使ってスマホを挟み込んで、しゃべりながら手には雑誌を持ちページをめくっている人を見た。曲芸だと思った。ものすごく手慣れているというか、首慣れている、肩慣れている、顎慣れているその姿。いつもやっていなくてはあそこまで自然な風合いでスマホを挟み、両手を解放することはできない。首と肩と顎の手化を目の当たりにした。いわゆる電話の受話器ならまだ厚みもサイズ感も挟みやすいかもなと思うけど、スマホのあの薄さを挟むのはなかなか難しいのではなかろうか。現にものすごく顔は真

          両手を解放する人

          散歩とカメラの相性

          朝ふいに散歩しようと思い立ち、30分だけ近所を歩き回った。いつもはストレッチをしたり、ランニングをして目を覚ましているけど今日は散歩。昔の小さなデジカメを片手に近所を歩く。カメラを持つだけで単なる散歩にカメラの目線も備わるから、30分なんてすぐ終わってしまった。漫然と歩くのも悪くないが、被写体を探す目で町を見るのは発見の連続だ。意外と何でもフォトジェニック。 最近好んで持ち歩くのはPENTAX Q10というレンズ交換ができる小さなカメラ。12年前のカメラだけどまだまだ面白い。

          散歩とカメラの相性