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薄井秀夫
2020年5月5日 12:19
おおらかな日本人の信仰 日本には、こうした「なんとなくの仏教徒」が多いのであるが、そもそも仏教徒というのは、どのくらいいるのだろうか? 文化庁の『宗教年鑑』令和元年度版によると、8433万人が仏教系宗教団体の信者ということになっている。日本の人口は、1億2615万人だから、人口の67パーセントが仏教徒だということになる。 ちなみに神道系宗教団体の信者は、8721万人の信者があり、この二つ
2020年5月2日 11:46
言うまでも無いが、仏教は、紀元前五世紀頃にインドで生まれたお釈迦さまが、人生をよりよく生きるための教えを説いたことに始まり、アジア全域に広がっていった世界宗教である。 ところが現代日本の仏教は、このお釈迦さまが説いた時代の仏教とは、かなり様相が異なっている。その最大の特徴は、人が生きるための活動より、葬儀など人の死に関わる活動に大きな比重があることである。そうした現状を象徴する言葉がある。そ
2020年4月27日 15:01
実は全日本仏教会では、このイオンとの間に騒動があった約十年前にも、似たような問題が起きている。 それは平成九年六月二十一日の朝日新聞の朝刊に、浄土宗宗務総長で作家の寺内大吉氏(ペンネーム/本名は成田有恒)と宗教学者の山折哲雄氏の対談が掲載されたことがきっかけだった。 対談のタイトルは「戒名はいる? いらない?」である。 対談では、それぞれの立場から、戒名の意義や歴史などについて
2020年4月25日 16:50
イオンとアマゾンが仏教界と対立した問題で、この両者が異なることがもう一つある。 イオンの場合は、イオンのお葬式が僧侶を派遣していることは、あまり表に出していなかった(実際は行っている)。ところが、アマゾンの場合は、僧侶を派遣することそのものが商品として提示されたということだ。 もちろんアマゾンが直接に派遣しているわけではない。前述の通り、株式会社よりそうという会社がその業務を行い、アマゾ
2020年4月21日 15:16
仏教界がイオンと対立した五年後、今度は、仏教界とインターネット通販サイトのアマゾン・ジャパンとの間で騒動が起きている。 平成二十七年十二月八日、アマゾンに、法事(年回法要)を行う僧侶を手配できるという「お坊さん便」というサービスが出品された。最初はアマゾンとお坊さんという組み合わせが新奇なこともあって、ネットニュースで取り上げられ、SNSなどで話題になっていたという程度であった。 ところ
2020年4月19日 11:29
いったんここで、このイオンと全日仏の対立の論点について整理したい。 お布施というものがよくわからない、お布施をいくら包んでいいのか判らずに不安を感じる、といった意見は、以前からずっと言われてきたことである。 金額がわからなくて不安ということだけではなく、お布施は高いというイメージもある。ただし、何が高いか安いか、ということは、主観的なところもあるので一概に言えないし、そもそもお寺によって金
2020年4月17日 11:25
全日仏では理事会などで、このイオンによるお布施の目安のホームページ掲載について「営利企業が、目安と言いながらも、布施の料金体系化をはかっていいのか」といった意見が出ていた。そこでさらに加盟各宗派から意見を集約した上で、ホームページ上からお布施の「目安」の削除を求める意見書をイオンに提出したのである。 全日本仏教会の戸松義晴事務総長(当時)によると、「布施をどう考えていいか分からないとい
2020年4月15日 10:08
ところが、葬儀社が葬儀費用をいくら明朗会計にしても、葬儀社にとってはアンタッチャブルとも言える、葬儀社が口を出せない領域がある。それは僧侶に渡すお布施である。 日本では、ほとんどの人が仏教で葬儀を行う。近年は、直葬といって、宗教者を呼ばない葬儀が増えているといわれているが、それでも宗教者を呼ぶ場合、約九割が僧侶を呼び、仏教で葬儀を行っている。 僧侶を呼んだ場合、当然、お布施を包まな
2020年4月13日 16:02
現代の仏教は、たびたび企業との軋轢をおこしている。企業の利益重視の考え方と、仏教の教義重視の考え方は、基本的に相容れないものである。利益重視と教義重視という対立項を並べてみると、一方的に企業側が悪いように見えるが、そう単純な話でもない。 ある事件では、仏教側の姿勢が批判され、企業側の姿勢が一般社会の支持を集めるということすらあった。それは平成二十二年に起きた、流通王手のイオンと公益財団法人全
2020年4月11日 15:26
仏教は生きるための教え?「葬式仏教」、この言葉を聞いて、皆さんはどういう思いを持つだろうか? ほとんどの人は、葬式仏教という言葉によいイメージを持っていない。「仏教は、本来、すべきことをせずに葬式ばかりやっている」「仏教は、葬式で金儲けばかりしている」「葬式仏教は、仏教の堕落した姿だ」 そんなことを思い浮かべる人がほとんどでは無いだろうか。この「葬式仏教」という言葉が使われる時、必ずそ