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読み物「奇跡の在り方」

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むかし書いた舞台の台本を小説風に連載中。 車椅子の少女と幼馴染みの少年に起きた奇跡。完結しました!是非読んだ方は感想聞かせてください。
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2020年3月の記事一覧

奇跡の在り方3

奇跡の在り方3

前回のお話しはこちらから。

庄之助の承諾を得て、正彦は葉子の部屋へと向かった。そして、部屋のドア越しに葉子に話しかけた。

「葉子ちゃん、正彦だけど何かあったの?」

「正彦君……。」

「何かあったのなら教えてよ。」

「そんなこと言えない。」

「聞かせてよ。」

「嫌なことばかりなの。」

「いったい何が?」

「全部よ、皆冷たい目で見るのよ?どうして?どうして私だけこんなめに…。正彦

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奇跡の在り方4

奇跡の在り方4

前回のお話しはこちらから。

10年後。

小さな公園の見える病室の窓から、激しく蝉の鳴き声が聞こえている。病室のベッドには女性が横になっている、桜庭葉子だ。表情はすぐれないが、とても美しい女性へと成長していた。

コンコン

病室にノックの音が響いた。

「はい。」

ドアが開き、女性が入ってきた。

「葉子さん、ご気分はどうですか?」

彼女は山岸名津美、この病院の看護

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奇跡の在り方5

前回のお話しはこちらから。

スレイブ、ソード両名は死神である。この世界での死神の役割は、亡くなった人や生物の魂を天界と呼ばれる場所へ導く事。

死神ソードは新米で彼にとって桜庭葉子は初めて担当する魂であった。このソードの様に新米の死神は初めて担当する人間の魂には1ヶ月前から傍につき、亡くなるまでを見届ける様に義務づけられていた。これは人間と言うものを知るため、理解するため。そして、扱って

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奇跡の在り方6

奇跡の在り方6

前回のお話しはこちらから。

「私の姿が見えるのですか?」

「ええ、見えてるわよ?あなたはいつからそこにいたの?」

「え!?いや、あの……。」

ソードは自分の姿が葉子に見えている事に驚きを隠せない。

「ふふ、おかしな人ね。」

「あの、私は……。」

ソードは言葉に詰まった、死神と名乗るには時期が早すぎるからだ。しかし、姿を見られてしまった以上名乗らない訳にはいかない。

「私はソ

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奇跡の在り方7

奇跡の在り方7

前回のお話しはこちらから。

ソードが去った病室は蝉の鳴き声だけが響きわたっていた、しばらくすると病室にノックの音がした。葉子の父、庄之助が見舞いにやってきた。

「入るぞ葉子、どうだ?体調は?」

「お父さん、ええ、今日は調子がいいわ。」

「そうか、それは良かった。退屈していたろう?」

「いいえ、いままでお話し相手がいたもの。」

「ほう、誰か来てくれていたのか?」

「ええ、死神さんが

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奇跡の在り方8

奇跡の在り方8

前回のお話しはこちらから。

天界にあるビルの一室。ソードがスレイブに報告書を提出している。その報告書をみたスレイブは眉を顰めソードに問いかけた。

「そうですか、見られてしまったのですね。」

「はい、理由は分かりませんが急に姿が見えた様です。」

ソードは本当に分からないといった表情をしている。

「原因はおそらく彼女本人でしょう。」

「どういう事ですか?」

「彼女は死ぬ気なのかも

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奇跡の在り方9

奇跡の在り方9

前回のお話しはこちらから。

先程まで無邪気な笑顔を見せていたソードだったが、急に元の無表情に戻りスレイブに問いかけた。

「先輩。」

「はい?」

「死神の役目ってなんなのでしょうか?」

「え?」

「人間がただ死ぬのを見届け、魂を連れてくる。それだけが私達の役目ですか?」

「……。魂を導く、それが私達の仕事です。」

「本当にそれだけですか?」

「……。」

「何かもっと大切な事が

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奇跡の在り方10

奇跡の在り方10

前回の話しはこちらから。

7月8日、葉子の病室。

ソードはいつもの様に葉子の病室へと訪れた。すでに看護師の山岸が葉子の病室へ来ていた。

「それじゃ、何かあったらナースコール押してね。」

「はい。」

病室を出ようとする山岸に葉子が問いかける。

「名津美さん。」

「はい、どうかしました?」

「そこに誰かいますか?」

葉子は部屋の隅を指さした。

「そこって、部屋の隅?

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奇跡の在り方11

奇跡の在り方11

前回のお話しはこちらから。

笑顔の葉子は話しを続けた。

「ふふ。そう言えば、死神さんはどうしてこんなにも早く私の所へ現れたの?」

「先程も言ったように、本来なら貴方は私の姿はまだ見えていないはずなのです。」

「そうだったわね、姿見えないままでも私の傍にいるの?」

「はい、今回だけは特別でして。」

「特別?」

「はい、私にとって貴方は初めて担当する人間なんです。」

「初めて?初仕

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奇跡の在り方12

奇跡の在り方12

前回の話しはこちらから。

「はい、10年経った今の彼に会うのが怖いなら、10年前の彼になら会えるんじゃないですか?」

「あの頃の彼に……、本当にそんな事できるの?」

「方法がある事は知っています。」

「正彦君に会える……。お願い、会いたい!」

「わかりました、早速方法を調べてきます。」

「調べる?どこで?」

「天界にも、こちらの世界で言う図書館があります。そこに魂を過去に飛ばす方法が

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