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「フェーズが変わってもバリューが最大限発揮されるよう、柔軟に変化していきたい」航空会社からSESベンチャーへ飛びこんだCFOの挑戦

経理・財務の挑戦メディア『デンタツ』
16回目を迎えました!
 
ますますニーズが高まり好調な、SES(システムエンジニアリングサービス)業界。地方DXを推進し日本全国の活性化を目指す株式会社BTMの、懸川高幸さんにお話をうかがいました。
 
「誰と働くか」を重視してジョインしたBTM、
そこでのCFOとしての在り方などを語っていただきます。
 
担当はJAPAN FASの俵家と大沢です。
 
 

キャリアの先輩をご紹介

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株式会社BTM
取締役兼CFO

懸川 高幸 氏

公認会計士
2008年 有限責任あずさ監査法人 入所
2012年 事業会社(非上場) 入社
2015年 スカイマーク株式会社 入社
2020年 株式会社BTM 入社
 
※所属・役職は取材当時のもの
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「中途半端な人生になるよ」


――懸川さんは会計士の資格をお持ちですよね。勉強を始めたきっかけはなんだったのでしょう。
 

大学在学中、アルバイト先の社員の方から「社会に出るなら卒業前にやりきったほうがいい。中途半端な就職活動をすると中途半端な人生になるよ」と言われ、それが心に響きました。

私が在籍していた経済学部でやりきるとはなんだろう?と考え、経済学部で一番難しい資格として思いついた公認会計士に挑戦してみようと思いました。
 

――難関資格の勉強、きっと大変でしたよね?
 
とても大変でした。推薦入学で大学に入った私は勉強自体に不慣れで、ペースをつかむのに苦労し、肉体的にも精神的にもキツイ日々でした。
 
最初は大手予備校に通ってひとりでガリガリ勉強していたのですが、1度目の受験に失敗。2度目の受験に向けて少人数制のアットホームな予備校に変え、それが功を奏しました。

疲れたら気分転換のためにみんなで談笑したり、飲みに行ったり。うまくストレス発散しながら勉強を続けることができました。
仲間に助けられ運よく2回目の受験で合格できましたが、ひとりで続けていたら勉強をやめていたかもしれないです。 


監査法人は専門家集団 


――会計士には、ストイックな方が多い印象があります。
 

友人から「まじめ」「ストイック」と言われるので、私はもともとの性格でもあると思います。

高校時代は剣道部に所属していました。初心者で体が小さかったため、勝つためには他人以上に練習する必要があり、それが原点かもしれません。 


公認会計士は専門職で、監査法人が専門家集団という特性があります。
いかに事前準備をするかが重要で、準備不足が悪い結果につながることは多々あります。

事前準備の方法は教わるものではなく、先輩の業務を見て自身で考えるものです。まるで職人の世界のように。そのような専門家としての姿勢がストイックにうつるのでしょうか。

 
私も最初からそういった姿勢が身に付いていたわけではありません。入所して初めての期末監査の際、上司からきびしく怒られたことがあります。

もともと不器用なタイプではあるのですが、どこか学生気分が抜け切れていなかったのか準備の量・質がまったく足りておらず、その様子を見た現場責任者から1時間以上お叱りを受けました。

そのとき改めて、「プロフェッショナルにならないといけない」という気持ちになりました。仕事に向かう姿勢を教えてもらった出来事です。


――監査法人時代の仕事のモチベーションはなんでしたか??

 ひとつは、プレイヤーとしての成長実感です。徐々に難易度の高い仕事を任せてもらえるようになり、仕事の幅を増やしていくことがモチベーションにつながりました。

もうひとつは、クライアントからの感謝の言葉です。当時、監査の範囲内で経理部門の方へアドバイスやサポートをしていました。クライアントから感謝される経験をして、直接サービス提供するのっていいなと思いました。


約4年間、IPO支援の部署で会計監査や内部統制監査、上場支援業務などに従事しました。ハードワークでしたが、だからこそ得られた仕事への姿勢や業務知識、経験は今も活きています。


決め手は、共に働くイメージができたこと


――そこから転職を考えるようになったのは一体なぜですか?

 監査法人では3年ほどでプレイヤーとして一巡します。それからマネジメントを目指すか外に出るかを考えるのが当時の一般的な流れで、そのタイミングで転職を意識するようになりました。

2008年のリーマンショックの影響でクライアントの大半が業績を悪化させている状況を監査の立場から見ていて、「売上を上げるのに貢献したい」と思ったこともきっかけのひとつです。

売上貢献に必要なスキルは監査・会計だけではありません。会社がどのように運営されているのかを理解できていなかった私は、経験を積むために事業会社へ転職したいと思うようになりました。


幅広い業務に関われるよう一定規模の企業に行きたいと考えて、複数社の面接を受け、社員50人、売上規模40億の事業会社に入りました。

社長との距離が近いことと面接時の部長のお人柄からいっしょに働くイメージができたことが、決め手になりました。

――入社後は希望どおりの経験を積めましたか?

財務経理や総務、人事、経営企画と幅広く担当し、望んだ以上の経験を積めました。社長に信頼していただいたことで、MBA(経営学修士)で学んだことをすぐに活かせる環境もありました。

入社時は赤字だったのですが、人事制度や全社戦略を変え、借入をおこない、ヒト・モノ・カネ全方面から改善することで、2年で営業黒字に転換できたのです。

「経営改善ができた」という実体験が自信につながり、MBAで学んだ知識とあわせて総合的な経営能力が身についている実感もありました。

――事業会社に入ることで、会計士という専門性が薄れる感覚はありませんでしたか?

それは……ありましたね。監査知識が衰えている実感は、ありました。

ただ、同時期にMBAへ通い、経営知識が新たに身についていきましたから、それほど気になりませんでした。 


まだまだ貢献できる会社があるのではないか


――2度目の転職は、どのタイミングから考えはじめたのでしょう?

黒字化を達成し、一定程度経営改善が完了したタイミングです。一連の改善後は、決めた戦略を淡々と実行するのみになります。その流れのなかで転職を考えました。

MBAで受けた「こころざしの授業」のなかで自分が何をすべきか考えたときに、まだまだ貢献できる会社があるのではないか、と思ったこともきっかけのひとつです。

会計士資格に加えて経営も身についた自分の強みが一番活かせるのは、IPO上場準備会社かなと思いました。

そんな時にスカウト経由で出会ったのが、民事再生中だったスカイマーク社です。

ここでも、いっしょに働きたいと思えたのが入社の決め手です。
会計系の方が退職されたタイミングだったそうで
「困っています。今はこういう状況です。いつ入社出来ますか?」
と熱心に状況をご説明いただいたのを覚えています。

入社後に知りましたが、倒産後に専門職として入った一人目が私だったそうです。 

――必要とされていたのですね。しかし、迷いませんでしたか? 

あんまり……けっこう飛びこむタイプというか。振り返ると、人があまり選ばない道でも、気にせず進んできたように思います。

スカイマーク社は社員約1800人、バックオフィスだけでワンフロアあるような大企業で、制度やオペレーションがどうなっているのか興味がありました。

――IPOベンチャーとは規模が違いますね。大企業での経験はどうでしたか?

大変勉強になりました。オペレーションひとつとっても、完成されていて。こうやって構築していけばいいんだな、と会社を大きくしていくロードマップを持つことができました。

業務量が多く要求水準も高かったので、IPOの準備含め経営能力をさらに高めることができて自信にもつながりました。


出会いから数時間で理念に共感。そして転職へ


――BTM(現職)への入社はどのようなきっかけで?

前職でのIPOが一段落したときです。スカイマーク社は2015年度で民事再生を完了し、以降新型コロナの影響で上場を中断しましたが、IPO準備を順調に進めていました。

準備もそろそろ終盤という頃、知人から複数社を紹介していただきました。そのうちの1社が、現在勤めているBTMです。

それまでお会いした他社の経営陣でいっしょに働きたいと思う方はいなかったのと、充実した日々を送っていたこともあり、そのままスカイマークで働くつもりでいました。

ところが、BTM代表の田口と初めて会って数時間話をしただけで、「いっしょに働きたい。この人を応援したい」と思えたのです。

創業者としての想いや企業理念に共感し「この会社を大きくして、理念を実現したい」と思い、転職を決意しました。


――素晴らしい出会いですね。特に共感されたのはどんな点ですか?


BTMは、地方企業・自治体のDXを目標に東京以外の地方でエンジニアを採用・育成している会社で、ミッションは「日本の全世代を活性化する」です。岡山県生まれの代表・田口が肌で感じていた、「地方には機会がない。選択肢が少ない」という原体験から生まれた経営理念です。

ミッションと地方創生に共感する仲間を増やしていくことを、田口は重視します。採用面接にもかならず参加してミッションの重要性を語り、採用後は人を信じて仕事を任せ、もし失敗しても挑戦を許す。

そんなあったかい雰囲気のなかで地方創生を推し進めています。

代表自らそれを推し進めている、というのがいいですよね。 

――懸川さんは現職でどのような業務・役割を担っているのでしょうか?


入社後すぐに開始したのは業務整理です。前職での経験が役に立ちました。細分化されていなかった業務を経理や総務、財務、経営企画に切り分けて必要な人員数を採用し、管理部門を適切なカタチに構築しました。

 それから、どこを改善すると利益が増えていくのか、バックオフィス側から企業の損益構造などを分析して業績向上のサポートもおこなっていて、監査法人時代に思っていた「売上を上げるのに貢献したい」を、実現できています。

 現在は、取締役として管理部門の統括をおこなっています。


BTMを成長させていきたい


――「ベンチャーへの転職」で感じたことは?

BTMに入って、かつてないほどの濃い経験をして、自身が成長できていることを実感しています。

もっとも成長したと感じるのは、全体管理の能力でしょうか。前職でも管理職ではあったのですが、大企業でリソースは整っていたので基本はメンバーがやってくれて、そんなにマネジメントしなくてもしっかり成果物があがってきました。

一方ベンチャーだと、メンバーリソースが潤沢ではなくメンバーが初めて経験する業務も多いので、作業進捗状況を含めた全体管理をおこなう必要があります。

私自身もこれまで経験していなかった総務や法務も新しく管掌することになり、より広い範囲を効率的に管理し抜け漏れがないよう、全体として成果を出していく能力が向上しました。


――ベンチャー・スタートアップに向き不向きはあると思いますか?


積極的な人がやっぱり向いているのかな、と。できあがった仕組みを着実にこなすよりも自分で整備していくことが好きだという人は、構築していく楽しさを感じられると思います。

制度や仕組みをイチから構築することで理解が深まったり、より良い検討をおこなうことで経験値が増えたり。できあがった会社で淡々と業務をこなすよりも、きっと成長できますよ。

あとは一般論として、ベンチャーのほうが伝統的な大企業よりスピード感があるので、日々発生するイベントに対処することで対応力や経営能力が磨かれ、底力がつくと思いますね。


向かない人は……ベンチャーに限らず自身の方向性が明確になっていない人ですね。「なんとなく入ろう」という気持ちだと、苦労が多い割に成長を感じられず苦しいかもしれません。
積極的に学ぶ意識と、自身の方向性が明確であるといいですね。
なんとなくでは入らないほうがいいかなと思います。


成長の機会にあふれている


――懸川さんの今後の展望などをお聞かせください。


代表・田口の想いである地方創生を全力でアシストしていきます。

会社の規模に応じて、経営者として求められる能力は変わっていきます。
これまでは私の能力が最大限発揮出来るフェーズへ身を移してきましたが、フェーズが変わっても最大限のバリューを発揮できるよう、これからも学び続けて、自身を柔軟に変化・成長させていきたいと思っています。 

――ベンチャー・スタートアップに興味があるという方へメッセージをお願いします!


ベンチャーに入って感じたのは、思ったよりリスクが無いということです。
入社前はベンチャー=ハードワークというイメージだったのですが、現職でハードワークだなと感じたことは無く、実際に働いている時間も減りました。

とにかく人に恵まれていて、みんなに助けてもらっているのもありますが、総じて尾ひれが付いているウワサも多いなと思います。


成長の機会は、あふれています。

成長すれば次のステップが見えてくるので、目標はあるけど不安で足踏みしているという方は、勇気を出して一回飛びこんでみたら良いと思います。

ぜひ、チャレンジしてください。

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懸川さん、ありがとうございました!


株式会社BTM|
http://www.b-tm.co.jp/

「日本の全世代を活性化する」をミッションに掲げて、地方企業・自治体のDXを行い「IT×地方創生」の実現を目指す。全国11箇所の拠点を持ち、1人でも多くの地方エンジニアがスキルを磨けるよう、機会提供の場を広げている。


※写真はすべてBTM渋谷オフィスにて撮影
※写真撮影時のみマスクを外していただきました

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