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治験DXスタートアップでの挑戦―将来の自分のためにやっておきたかったこと―

経理・財務の挑戦メディア『デンタツ』
12回目を迎えました!

クラウドサービス『Agatha』を開発・提供する治験DXスタートアップ企業のアガサ株式会社で、4つの役職を兼務する小林伸吾さん。

ファーストキャリアは料理人、経験社数はアガサで6社目、そして2児の父としての顔もお持ちという興味深いご経歴。

前職でのIPO準備時のエピソード、小林さんからみたベンチャー・スタートアップ、キャリア観の変化などを語っていただきます。

デンタツ011石倉さんと同じく弊社JAPANFASが転職のお手伝いをさせていただきました。担当はJAPAN FAS俵家と大沢です。

プチリニューアル「経理・財務の挑戦メディア」デンタツをよろしくお願いします!


キャリアの先輩をご紹介

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アガサ株式会社
コーポレート部 部長

小林 伸吾 氏

2006年  大手ITサービス会社(東証STD)入社
2012年  大手ポータルサイト運営会社(東証PRM)入社
2020年        HR Techベンチャー入社、IPO達成 
2022年  アガサ株式会社入社

※所属・役職は取材当時のもの

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仕事では、誠実さを大事に


――まずは小林さんについて、教えていただけますか?


友人からは……「ふざけているね」と言われています(笑)。プライベートはずっとふざけていたいのでふざけています。
仕事では誠実さを一番大事にしていて、論理的(感覚、感性よりもロジック重視)なタイプだと思います。

――学生時代、キャリアについて具体的に描いていることはありましたか?


何かになりたいとかは、全然考えていなかったです。
学校に行って、バイトして、遊んで……でしたね。大学1年生のときに麻雀を覚えて、麻雀をやったりとか。ふつうに友達と毎週末遊んでいました。

大学生時代にファミリーレストランのキッチンでアルバイトをしていて、「料理楽しいな」で、なんとなく料理人になりました。

2社目は投資用ワンルームマンションの営業という成果主義の会社で、自分ならできると思って入ってみたものの、全然駄目だなというのをひしひしと感じさせられて……。

当時の彼女(※現在の奥様)との将来を考えていくと、スキルをちゃんと身に着けて安定した職に就きたいと思い、3社目はバックオフィス業務の職を探しました。

たまたま1社目~2社目のあいだで「簿記ってなんだろう?」と思い、日商簿記3級をとっていたので、経理職種で受けようかと。

2社目〜3社目の転職活動中も勉強をして、日商簿記2級を取得しました。

ハローワークで探して、未経験でも採ってくれたのが3社目の大手ITサービス会社です。

経理財務キャリアの始まり


――3社目、経理財務キャリアの始まりですね。


ほんとに……よく採ってくれたなぁと(笑)。
ほんとに、感謝しています。

経理の仕訳入力、請求業務、そして開示業務を経験させてもらえたのは非常によかったです。
開示では、経理の状況だけでなく有価証券報告書全体の作成を他部署と連携して対応しました。

ただ、売上請求業務や売上高の計上は処理できるようになったけれど、費用計上や税務はやれていないよね? というところがあって、債権管理ばかりではなく費用面も経理処理も経験しておきたいなと思うようになりました。


未経験の業務に携わりたい


ですから、3社目〜4社目の転職はチャレンジの要素が強かったです。

チャレンジ=今できていない業務に携わりたい、というが想いがありました。
将来、もし会社がだめになったときに、今の経験が他社で通用するのかな? というのが不安でしたので。

あと、グループ会社で連結決算をやりたいなと思ったんです。連結会社で資金もあって資本が安定している、東証一部上場企業で探しました。

「東証一部上場企業」が条件だったので、ガンガン書類選考で落ちながらも探していました。転職したときは29歳でした。


忖度しない上司との出会い


――そして4社目、東証一部上場の大手ポータルサイト運営会社へ入られたんですね。そこで大きな転機があったということですが、そのあたりを教えていただけますか?


それまでは「上司に忖度することがいいことだ」と思って行動していたんです。上司が「これ以上はいいから」という話になったら、その理由を深く追求しないで処理していました。

でも、私のあとに入社した年上の方から「なぜこういうふうに処理しているの?」と、質問攻めにあいました。
その人がどんどん出世していって入社から1年足らずで自分の上司になり、「なぜ? なぜ?」というのをよく聞かれるようになりました。

その人が出世していっていたので、「あ、これが正しいんだな」と思ったんです。

それは今でも大切にしているというか…なぜその行動をするのか? という視点に気づけたことがよかったと思っています。その方と出会えたことも。

「将来の自分」のために


――その後、望んでいた上場企業から未上場ベンチャーへ転職されたのですね。方向転換のきっかけは一体……?


このまま年を重ねたときに、たぶん経理部長……うまくやれば執行役員まではなれるだろうなとは思っていたんですけれど、その先ってあるのかな? と。

今まで経理畑で会計、財務、税務と実績をもとに数字をつくっていくことはしてきたけれど、管理会計や事業計画の策定など経営企画の仕事をしていなかったなと思ったのです。
このままでは、自分で数字をつくっていくということができなさそうだなと気づきました。

ではどのようにキャリアを積んでいけばいいのだろう? と考え、
ひとつのかたちとしてCFO(最高財務責任者)があるなと思いました。

CFOになるには何が必要だろうかと考えたとき、経営企画やファイナンスの経験が必要だろうなと思い、CFO不在で経営企画ができる会社を探しはじめました。
「将来の自分のために、経営企画を経験しておきたい」と思ったんです。


はじめはベンチャー・スタートアップにあまり興味はなかったです、正直。

ベンチャーへ転職した元同僚からいろいろ話を聞いて、「1回ビズリーチに登録してみたら? 自分の市場価値とかもわかるし」と言われて、
「じゃあ1回、登録だけしてみるか」と。

まだまだ辞めるつもりはなかったんですが、登録してみたらいろいろなオファーをもらって、けっこうニーズはあるんだなと気づけました。


未来の数字に携われる会社に行きたい


――転職活動の軸は何かありましたか?


いろいろ受けてみていいところがあればそこに決めよう、ぐらいの気持ちで、事業計画・管理会計の部分、未来の数字をつくるところに携われる会社という目線で探しました。

上場企業の経営企画か、カオスなフェーズでまるっと数字関係の仕事――管理会計・財務会計・経営企画――ができるだろうベンチャーのバックオフィス職だったら、当時の自分でもバリューを出しながらやれるかなと思いました。


そういう2軸で転職活動を進めていったのですが、上場企業の経営企画は、面接を受けても……未経験だからやっぱり通らないんですよね。

エージェント経由で応募して採用されたのが、5社目のベンチャー企業でした。

――ベンチャーといってもフェーズや規模感などさまざまです。そのあたりはどう考えていましたか?


正直、知識が無いのであまり気にしていなかったというのが本音です。

5社目の人たちと話をしてみたら、事業に対して情熱を持っていて、会話のスピード感があり、「優秀だな。こういう人たちとだったら仕事をしていて良いアウトプットが出せるかな」と思って、入りました。

そしたら、n‐1期(※)だったと(笑)。

※IPO準備のスケジュールは証券取引所の上場審査に申請する決算期を申請期(n)としてとらえ、その直前の期をn-1期、直前前期をn-2期というように表現します。

引用:株式会社MS-Japan|IPOPRO|上場までの道のり|https://ipopro.jp/roadtoipo/


上場準備についてあまり詳しくは知らなかったです。Ⅰの部を作る、とは本を読んでなんとなく知っていましたが、ほぼ全然何も知らない状態だったといえます。

バリュエーションって、何? 上場とはどんなことをするんだ? みたいな状態でした。

結果は、スケジュール通りに上場できました。
すごくいいプロダクトと優秀な人材が揃った会社に入社したなって思いましたね、手前味噌ですけど。

実際には綱渡りでしたが……。入社2ヶ月後にキャッシュフロー計算書を急遽作って、それが審査でも使われるので、「悩ましいなぁ」と思いながら対応したことは感慨深いです。

IPO準備と、達成時の心境


――IPO準備でとくに大変だったことをお聞きしたいです。


回答期限がタイトな中で膨大なアウトプットを提出するのは、大変でした。

審査期間中は「100項目の質問を1週間で回答してください」とくるので、いそいで担当を割り振って、自分の担当部分の回答を作って、それを関係者で集まってすり合わせして、証券会社ともすり合わせながらブラッシュアップしていくので、やはり時間がかかります。

それが日常業務にプラスで発生するので、とにかく時間が足りなくて大変でした。

――それを乗り越えてのIPO達成時の心境は?


正直ホッとしました。上場をひとつの区切りとして転職しようと考えていたので。

ただ、もしも上場が延期したら延期したで、上場するまでやりきる、という気持ちでした。

n‐1期だと、良くも悪くもある程度整備されていて手を動かせる範囲が少なかったため、次は予実も整備されていないくらいカオスな状態から事業をやりたいな、と思っていました。

現職との出会い


――そして、現職のアガサに入社されたんですね。


はい。転職は3つの軸で考えていました。

・やりたい事業フェーズ(コーポレートにイチから携われる)
・プロダクトが良く、成長しそうな会社
・経営者との相性

アガサのプロダクトは、日本だけでなく海外でも展開できる点と、代表の鎌倉の人柄で決めました。

バリバリにトップダウンで決めていくタイプではなく、鎌倉が苦手な分野は任せてもらえそうだと感じたため、私でもアウトプットが出せるんじゃないかなと。経営者の足りない部分を自分でカバーできそうだなと思いました。

入ってみて、想像以上にハードな部分はあります。思ったよりも全体が整っていませんでした。組織体制の部分も予実の部分も。

――現職での担当業務を教えてください。


現在は、コーポレート部部長/コーポレート部内の財務経理マネージャー/社長室室長(≒sales部長)/社長室内の営業管理グループマネージャーを兼務しています。

コーポレート部全般の管理と会計周りの精度向上、トップラインを伸ばすためのsalesKPIの定量化と予算達成のための施策の検討、実行を進めています。

コーポレート部の管掌に集中できればよいのですが、組織体制が整っておらず、社長室(セールス)の比重が大きいです。

今後は、社長室目線で事業の見える化と、トップラインを伸ばすために当社で足りていない点の解像度をあげることに取り組み、コーポレート部目線では予実の精度を上げていきます。

――転職した感想はいかがですか?


”良い意味”で改善すべきことが多いので大変ですが、チャレンジできる・チャレンジさせてもらえており、満足しています。

意思決定も任せてもらえていて、代表の鎌倉と2人で話して決めることも多いです。
相性は、悪くないんじゃないでしょうかね? 鎌倉が伝えるべきメッセージと私が伝えるべきメッセージを分け、会社としての目標は鎌倉が伝えて、細かい数字のところは私が伝える、みたいな役割ができてきています。

――複数回の転職……ご家族の反応が気になりますが、うかがっても大丈夫ですか?


そうですね……あの、まぁずっと怒られていますね(笑)。

4社目への転職時は、内定が出てから報告しました。
まぁそこでひと揉め……してます。

5社目は内定が出る前に話しましたが、怒られました。

6社目は早い段階で話はしていましたけど……ハイ。


現職では基本リモートワークで、子どもの送迎をすることもあります。現状は仕事の割合が多いですが、誕生日などの重要なイベントは優先度を上げて調整しています。


自由にスピード感を持って意思決定をしたいならベンチャーへ


――小林さんから見て、どんな方がベンチャー企業に向いていると感じますか? 


フットワークが軽く、論理的で、圧倒的当事者意識をもって行動する人が成功する人かなと思います。当事者意識がない人は、大手・スタートアップどちらからも良い評価はされないでしょう。

多くの上司は当事者意識を持っている人に仕事を任せたいと考えるでしょうから、指示待ちはやめたほうがいいですね。

あとは、本質に向き合って会社をよりよくしようというマインドを持っている人に向いています。0→1を作るフェーズなので、自らアウトプットを出していきたいという人に向いているのではないでしょうか。

若い人のほうがベンチャー企業には挑戦しやすいし、若い人こそ1社目に大手企業に行ってから2社目でベンチャー企業を経験をすることは、すごくいいことなんじゃないかなと思います。

「早く偉くなって、意思決定する権限を貰って行動したい」「どんどん偉くなってやる!」みたいな意思を持っているほうが、成長する企業と同じ方向を向いて行動しやすいと思います。

自由にスピード感を持って意思決定をしたい人には向いているかな、と。

社内政治を気にせず気楽に仕事に注力したい人にはベンチャーをすすめたいです。


――それでは最後に、スタートアップ・ベンチャー企業に興味を持っている方へメッセージをお願いします。


向き不向きがあるし、「全員スタートアップにきたら最高で幸せになれる」とは言いませんが、成長意欲が旺盛な人、本質を追求する人、ロジカルで行動力があり結果にこだわれる人は絶対向いているし、早い段階でダイナミックな仕事ができます!

資本は少なくても良質なプロダクトで世界を良くしたい!私が世界を変えるんだと燃えることができる人はぜひスタートアップにjoinしてください!

――――――

小林さん、ありがとうございました!


アガサ株式会社|https://www.agathalife.com/


「臨床研究の手続き業務をテクノロジーで改善することで、一日も早く患者さんに新薬を届けることと医療費削減に貢献する」をビジョンに掲げ、臨床研究・治験の文書管理クラウドサービスを自社開発し、医療機関・ライフサイエンス業界に提供しています。国内利用ユーザー15,000名を突破し、海外8カ国にも展開中。

※写真は全てアガサ株式会社旧オフィスにて撮影(2022年6月に新オフィスへ移転)
※写真撮影時のみマスクを外していただきました
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