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「根っからの悪女」

 母が言ったように段々と妻は金だけの人間になっていく。
 これじゃ、離婚したいと考えるのは普通であろう。
 わたしの給与が振り込まれると、すぐに妻は全額を下ろし、自分名義の口座にお金を移す。
 わたしには、お金を移し終わった空の通帳を見せるのだ。
 はっきりいって、わたしは、月にいくら稼いでいるのかわからない有様だ。
 さらに悪いことに、わたしには現金を一銭も渡してくれない。

 妻は、洋服を買ったり、高級な衣装を買う。
 わたしには、事実、100円玉もくれないのだ。
 だから、わたしは、現金の代わりではなく、現金がないので仕方がなしにケジットカードを使うのである。娘が気に毒に思ったらしく、外出するときは5000円をくれる。必ず、ママには内緒ね、という。
 わたしは、もう我慢の限界である、この生活に何の意義があるのかと思う。
 今日、妻に離婚したいといった。仕事は全部やめ自己破産をする。だから、ここの住宅には住めなくなるし、自動車などの贅沢品は差し押さえられるであろう。
 もう、わたしは老人だ。それでいいと思っている。人生を清算し、弁護士と主治医に頼み生活保護手続きを取る。
 こんな、病気がちな老人が、工事現場の仕事なんかできはしない。
 こういうことを、はっきりと言いきれたのは「うつ病」になっているからかもしれない。


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