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【リーダーの仕事】サッカークラブの監督に会いに行く

サッカークラブの監督と、会社の社長。一見関わりがないように感じる2つの職業ですが、互いに組織を率いる「リーダー」です。

そこで今回「リーダーの仕事」についてお話を伺うべく、社会人サッカークラブ「ジョイフル本田つくばFC」トップチームの副島秀治(そえじま ひではる)監督に会いに、小林社長が改修工事中の万博グラウンドを訪れました。

副島秀治さんについて:
1980年、長崎県出身。ジョイフル本田つくばFCトップチーム監督。日本サッカー協会公認B級ライセンス保有。日本ベネックス小林社長とは高校時代からの友人。

ジョイフル本田つくばFCについて:
1976年、筑波大学のOBや大学院生を中心に、「大心苑サッカークラブ」として発足。1978年より「ジョイフル本田サッカー部」に提携先および名称変更し、茨城県リーグに加盟。2006年より、つくばFCと提携し、チーム名を「ジョイフル本田つくばFC」に名称変更。茨城県つくば市を拠点とし、現在は関東社会人サッカーリーグ1部に所属。将来「Jリーグ」参入を目指している。日本ベネックスは当クラブのスポンサーを務めて3年目。

【担当・編集:木下 (社長室) 】



1.つくばFCを応援する理由

画面左側:小林社長 右側:副島監督


ーー:
まずは、つくばFCさんのスポンサーになったきっかけを教えてください。

小林:
副島さんから久しぶりに連絡があって、1回つくばFCを見にきてほしいと。そのときは監督じゃなかったよね?

副島:
そう、そう。強化部長だったかな。

小林:
それで見に行くことにしたのがきっかけ。実はうちの会社も、つくば市にはそれなりに関わりがあって。以前はつくばにも工場があって、長崎との2拠点体制でやってた(1997年~2008年)。

最近では太陽光の発電所をつくば市で開発する計画もあるし。何かと関わりがある場所なんです。それでいて高校の同級生がいる、ということで(笑)。

副島:
うん(笑)。

小林:
我々はスポーツ、地域支援も積極的にやっていきたいと思っていて。太陽光発電所の開発は、地域の人たちの理解がないとできないから。だからいろんな理由が合致して、スポンサーをすることに決めた。もう何年くらい前?

副島:
3年前かな。

小林:
そのとき20年ぶりくらいに会ったよね。



2.強いチームをつくるために

ーー:
強いチーム、組織をつくる上で必要な条件とは?

副島:
強いチームの条件か…。難しいな…。

「チーム」という言葉である以上、集団組織としてしっかり成り立ってないと、絶対に強くはなれない。一人ひとりがいい能力を持っていても、集団で同じ目標に向かっていかないと、強いチームにはならないなって、率直に思うね。

小林:
何十人も選手がいるなかで、どうやって一つの目標に導いているの?

副島:
まずは、わかりやすく共有すること。例えば、「JFLに昇格する」を目標としたときに、それを共有して、そのためにみんなで何をするか、目標から逆算して考えていく。当たり前のことだけどね。

ただ、目標を直接的に練習の中で毎回言うのは、ちょっとくどいと思ってる。目標のために「いま何をするべきか」は、毎日伝えた方がいい。

小林:
それはあるね。一回言ったからみんなに伝わっているかといえば、絶対そんなことはなくて。同じことを何十回も言ってようやく、五割伝わるみたいな。

副島:
うん。一人ひとりタイミングも違うし。

わからないまま自分勝手にやっているやつもいれば、既に気づいて自分からやるやつもいて。どこかのタイミングで選手ひとり一人が気づいてくれれば、いい組織、いいチームになる。でもその辺りは強制ができないから。自分たちがどれだけ導いていけるか、かな。

小林:
会社だとサッカーみたいに「JFLに昇格する」とか、わかりやすい目標は立てづらい。かといって「売上100億円」とか言われてもね…。ベクトルを一つにするっていうのは難しいよね。完璧に一つになれなくても、何か共通の「旗印」は欲しいなって思う。

ちょうど今、我々も企業理念を一新しようとしいて。今年創業65年なんだけど、まずは会社の歴史を紐解いて「日本ベネックスはこういう会社です」っていうのを、誰でもわかるような簡単な言葉で表現しようと。

それをみんなに覚えてもらって、徐々に浸透していくような、そんな形にできればと思って。くどいくらいにくり返し言っていくしかない。


副島:
サッカーには「プレーモデル」っていう言葉があって。プレーするためのモデルだから「ピッチ上の何か」っていう感じに聞こえるかもしれないけど、そうじゃなくて、クラブの価値観、理念みたいなもの。

クラブがある地域の歴史、特殊性から紐解いて、どういう価値観を大切にするか方向性を決めていく。つくばFCだったら、つくば市の歴史から掘り起こして、自分たちはこういう地域だからこういうプレースタイルでやっていこうとか、そういうことをやるんだけど。さっきの話と同じだよね。

ただ、サッカークラブの場合は、地域のシンボルでなければいけないというのが一つ要素としてある。

小林:
つくばFCでプレーするには、つくば市のことは当然、知っておかなきゃいけないんだ。

副島:
まだうちも完全にできてはいないけどね。もともと理念はあるんだけど、それをもう少し具体化したい。理念だけあっても、みんな理念の捉え方がそれぞれで、自分の都合のいいように解釈すれば、それはそれで成り立つから。



3.リーダーとは?

ーー:
リーダーに必要なものとは?

副島:
監督の立場からいうと「すべての責任は自分にある」と捉えること。それは絶対に必要。それがなくても、リーダーにはなれるかもしれないけど、監督としてものごとを考えるときに、まずこれを考える。

いろんなことを決断しなきゃいけない立場だけど、だからといって独りよがりになるのは良くない。選手、スタッフも含めていろんな話に耳を傾けるのは、すごく大事だと思う。

小林:
そうだね。

副島:
自分ひとりの責任だからといって、突っ走っても、たぶんうまくいかないんじゃないかな。

話を聞いて結局その通りにするかどうか、最終的にはわからないけどね。それを含めて決断をしていくっていうのが大事。

小林:
たしかに。どんな理不尽なことが起ころうと、それは自分のやったことだと受け止めるのは必要かな。

受け止めた上で、前向きに組織を動かして、結果を出していく。いつも簡単なことだったら楽なんだけど、予想しないことが次々と起こるから(笑)。だから逃げないことだね。

副島:
あきらめないことは、リーダーにとっては大事だね。あと、何が起こっても、何もないかのように振舞うのは、大事かもしれない。

小林:
あまり顔に出さない(笑)。

副島:
そう、そう。「このひと大丈夫かな?考えてるのかな?」って思われるくらいで、いいんじゃないかな?(笑)。

小林:
早くその領域にいきたいな(笑)。



4.選手・社員へ「なぜ」を説明する

ーー:
選手、社員と接する際に気を付けていることは?

副島:
相手がネガティブにならないように意識してる。なるべくポジティブになるように。

おれの場合「ダメなものはダメだ」って言って、指摘するタイプじゃないから。むしろそれは苦手な方かも。

結局、何か問題や課題があるときに、何が必要かというと、間違いを指摘することじゃなくて、課題を解決するために、何かトライしたいって思うこと。

そう考えたら、ポジティブな働きかけにしたほうが、みんなその一歩を踏みやすいよね。

小林:
怒るとき、言わないといけないときもあるけど「なぜ」って理由をちゃんと説明することは、心がけている。

それと仮にミスがあったとしても、次に繰り返さないためにはどうしたらいいのか、できるだけ自分で考えさせる。「社長がダメと言ってる」からやらないのは、嫌だなと思っていて。

なるべく自主的に判断してもらうようにしてる。

副島:
理由って大事だよね。

小林:
全体像、背景をすり合わせることも大事で。仕事をする上で、全体像がわかってないと、いろいろズレる。一部分の「点」しか見えてないと、全体像が見えてる人からすれば、「ちょっと違うな」ってことがよくあるから。

だからまず社員には、全体像を教えた上で「こういう理由だからこうやろう」って話すのが大事かな。

副島:
選手を起用するときも、交代するときも、絶対に理由がないといけないし。

小林:
あぁ。それはみんなに説明するの?

副島:
基本的にはしない。聞いてきたら必ずするし、たぶん気になるだろうなっていう選手には先にする。

小林:
なるほど。たとえば、ずっとスタメンで出てた人が落ちたときとか?

副島:
そう、そう。こういう理由で外したとか。スタンスとしては伝えないけど、ただ顔色とか、様子とかで判断してる。

小林:
聞いてくる選手ってけっこういる?

副島:
うーん…。そうでもない。シーズン始まって、ころころメンバー替わってるから(笑)。

小林:
サッカーは11人(試合に出られる人数)って、決まってるからねぇ。

副島:
そう。ベンチに入れるメンバーも7人で合わせて18人。そこから交代で試合に出られるのも5人だし。

小林:
メンバーを決めるとき、けっこう迷う?それともスパッと行く感じ?

副島:
どうなんだろう…。けっこうスパッと決めるかも。

小林:
それって直感?

副島:
最後は直感。戦術、対戦相手、交代のこと…いろんなこと考えながら、迷うけど。でも最終的には「これだ」ってパッと決める(笑)。

小林:
へぇ。

副島:
「この選手、練習ではどうだったかな」と考えたときに、パッと出てきた印象がいい印象だったときは、そいつを試合で使ったりするかな。

開幕から1~2試合、活躍した選手が、シーズン途中から全然出られなくなって、メンバーにすら絡めなくなって。でもこの間、久々にスタメンで出たら点取ってくれて勝った。

そいつをスタメンにするって決めたのも、試合の前々日。直感でスタメンにしたら、結果出してくれた。最終的に直感って大事だなって思ったね。

小林:
そういうとき、嬉しいよね。

副島:
嬉しい(笑)。ありがたいよね。そうやって結果残してくれると、周りもの選手も頑張ろうって思えるし。交代選手も含めて結果出してくれるとすごい助かる。



5.伸びる選手はまず聞く

ーー:
伸びる選手、人の特徴とは?

副島:
まじめかどうか、かなぁ。あと吸収力。吸収力っていうのは、聞く耳がちゃんとあるかってこと。聞いて自分で何か変えよう、成長しようと思って、まじめにそれに取り組むことができるか。それだけじゃないかな。

あと、聞いたものを自分で消化できる、これも能力だと思う。

小林:
ビジネスだと最初からどんな仕事をやらせてもピカイチって人は、あんまりいなくて。最初はできない。できないときに、その状態のままでよしとするか、誰かのせいにしてそこで止まってしまうか。

一方、あきらめずに食らいついて、まずはできる先輩の真似をしてやってみるとか、その気持ち一つで変わるからね。

副島:
そういうのはあるよね。

小林:
才能っていうよりは素直さ。なんでも吸収してやろうっていう意欲を持っている人が、グイグイ成長する気がする。特にビジネスではね。サッカーだと、技術と体力がそもそも必要だけど(笑)。



6.リーダーは孤独でいいんじゃない?

ーー:
「リーダーは孤独である」とよく聞きます。実際は?

副島:
孤独…。うん、孤独だと思う。孤独になるんだと思う。何かを決めないといけない人はある程度、自分の世界に入っていかないとブレる気がする。「孤独で別にいいんじゃない?」ってところもあるし。

だからといって孤独が好きなわけじゃないけど(笑)。

小林:
副島さんとは逆で、自分は孤独が好きな方。もともとそんなに喋るタイプじゃないし、喋らなくて済むんだったら、黙っていたい。だから孤独でもいいかなぁって(笑)。

でも、嫁からは「めっちゃ喋るようになったね」って言われる。社長になって、喋らざるを得なくなってるから(笑)。孤独でさみしいとかは無いかな。

副島:
(笑)。お互いそんな喋るタイプじゃないよね。

小林:
うん、うん。いわゆるリーダーキャラじゃないから。社長になったころは、「リーダーキャラにならないといけないかな」って思ったけど、つくってもしょうがないと思って、自然とこうなった。リーダーキャラじゃなくても、何とかなるよ(笑)。

副島:
それが一番いいよ。



つくばFCの新しい”わが家” 万博グラウンド

ーー:
改修している「万博グラウンド」について教えてください。

副島:
万博グラウンドは、もともとは育成世代の子どもが練習する場所。改修工事前は、半分は天然芝で、半分は人工芝だった。2006年にできたので、人工芝もボロボロになってきて、そろそろ改修しなきゃいけないよねって5~6年前から話してた。

小林:
へぇ。

副島:
その中で、シューレや、Tフィールドができたことで、いくつか拠点はあって。でもトップチームの拠点や、クラブとして広がりを出すための新しい事業をやる場所、みんな(トップから育成世代)が集まれる場所がほしかった。

それがようやく実現できるタイミングになったかなと。完成は9月下旬ごろかな。

小林:
来たときは何にもなかったけど、いま奥の方ちょっと人工芝敷いてるね。

副島:
そう。あと人工芝を敷くだけだから。来年ここで新しく学童の事業とかもやる予定。地域の子どもが集まれるような場所にしたいなと。

小林:
長期的にどういうチームを目指してるの?

副島:
まずトップチームは、応援してくれるサポーター、観にきてくれるお客さんたちに「応援したい」と思ってもらえるチームにしたい。そのためには、観ていておもしろいものを提供しなきゃいけないんだけど。

勝負の世界なので「勝った・負けた」はあるけど、負けたとしても、がんばっていいプレーして、サポーターが喜んでくれるような試合をしたいし、応援してくれる地域の人たちの活力になりたい。

つくばFCの試合を観に来たあと「次の日も仕事がんばろう」ってなるような、そんなチームにしたい。


9月末、ついに完成した万博グラウンド。たくさんの人の想いがつまっています。
完成した新万博グラウンドに、弊社もバナー広告を掲出しています!
子どもたちが学習するスペースもクラブハウス内に完備。
サッカー以外の屋内スポーツができるスペース。『すべての人が、生涯、素晴らしい環境でスポーツを楽しめるようにする』というつくばFCの理念を体現しています。


おわりに

リーダーといえば「圧倒的な個性と力で周りを引っ張る」なんてことを思ってしまいますが、実際にはさまざまなタイプのリーダーがいます。今回お二人の話を聞いていると「タイプが似ている」そう感じました。まず集団、組織が先にあり、個は剥き出しにしない。互いに口をそろえて「リーダーキャラじゃない」と言う。それでも組織を引っ張っている秘訣はなにか。「ハートは熱く、頭はクールに」これなのかもしれません。

今回、万博グラウンドやその他の拠点をご紹介してくださった、つくばFCの皆さま、副島監督、お忙しいなかご協力いただきありがとうございました!



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