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千葉ロッテに学ぶ、若手が活躍するチームのつくり方


ロッテの若手選手は、なぜこんなにも活躍できるのか?

2022年4月10日、千葉ロッテマリーンズの佐々木朗希投手と松川虎生捕手の若いバッテリーが「完全試合」*を達成し、他にも髙部選手や茶谷選手など多くの若い選手たちがシーズンを通して躍動し、チームを盛り上げました。

*「プロ野球における完全試合を達成したピッチャーとキャッチャーの最年少(合計年齢)」としてギネス世界記録に認定。佐々木が20歳5か月、松川が18歳5か月で、合わせて38歳330日。

千葉ロッテマリーンズオフィシャルサイト


その秘密は若手の育成術にポイントがあるのではないか?だとすれば、どういう育成をしているのか?育成術はスポンサー企業として学ぶべきところがあるはずだ‥‥。

そこで今回「千葉ロッテに学ぶ、若手が活躍するチームのつくり方」というテーマで座談会を開催しました!

【担当・編集:木下 (社長室) 】



1.「人」に合わせた育成を

画面左から芥川さん(製造部部長)、小林さん(社長)、松下さん(社長室)。3名ともロッテのユニフォームを着ていますが、誰もそこには触れず会話がスタート。



小林:
今年、佐々木投手が投げるのを見に行ったんだよ。完全試合の次の次くらいの登板を。完全試合以降、球場の盛り上がりも一段と増していたなぁ。

芥川:
クライマックスシリーズには出られませんでしたが、パリーグは最後まで混戦でわくわくしました。

小林:
みんなで応援してたんだけどね。最後は残念だった‥。でも今年も楽しませてもらいました。

本社エントランスに飾っている、佐々木投手の直筆サイン。来社された方がいつも驚きます。


――:

では早速、本題に。ロッテの若手育成について調べてみました。あくまで仮説ですがポイントは2つ。

短期的に優勝争いをするチームではなく、中長期視点で「常に優勝争いをするチーム」をつくるべく「育成」を柱にするという球団の明確なビジョン。
そして、型にはめずに個人の能力、特性に応じた育成のプログラム開発。

この2つではないかと考えました。

*1:2021年3月策定。千葉ロッテマリーンズ 理念
*2:佐々木投手は入団1年目は1軍の試合には出ず、体づくりに専念。2年目もフル出場しないで経験を積ませるなど育成計画に基づいてじっくりと育成し、3年目で快挙を成し遂げた。一方松川捕手は入団1年目から開幕からスタメンで使うという思い切った策を取った。ほとんど正反対といってもいいプログラムを松川捕手には適用した。

https://media.alpengroup.jp/media/detail/baseball_220502_01.html


小林:
なるほど。うちも育成の方向性としては原理原則に当てはめるというより、個別にカスタマイズする方かな。

一人ひとり得意分野と苦手分野があって、最初に得意分野を伸ばした方がいい人もいるし、最初に苦手分野を克服した方がいい人もいる。

自分は新卒のとき、得意分野の仕事は一切やらせてもらえず、とにかく「苦手なことを潰せ」みたいな教育を受けた。

松下:
そうなんですか。

小林:
例えばExcelを使って収益モデルをつくるとか、明らかに得意なのに最初の1年目はさせてもらえなかった。喋りが苦手だからプレゼンをやらされたり、プレゼン資料つくったり。

「得意なことは後でやればいいから」って。いま思えばちゃんと大切に育てられたのかも。

松下:
うちでこれから本格的にやっていく人事制度「メンター・サポーター制度」は、ロッテの個別にカスタマイズされた育成に通じるところがありますね。

一人ひとり性格もちがうので、一律で同じ教育をしても伸びる人、伸びない人がいます。個々人の特徴を捉えた上でどういうサポート、育成をしていくのかを考えるのが大事です。

芥川:
新卒においては「社会人の基礎」となる部分は、共通でしっかり育成します。

小林:
基本的なビジネスマナーとかね。

芥川:
はい。基礎があってこそのスキルだと思うので。



2.個人の成長=会社の成長

――:
井口前監督は「勝つことと育てることは正反対」と公言しています。ビジネスにおいてこの2つは両立できますか?

小林:
完全に両立できるというか、そもそもベクトルが同じ方向を向いているイメージ。 個人の成長は会社にとってメリットがあるし、会社をさらに成長させてくれるから。

松下:
はい。

小林:
1週間単位で見た場合、新人よりも「仕事ができる人」に業務を任せた方が効率はよくなる。ただし、その「1週間」には最適だけど「1年」で見ると間違いなく弱くなる。

だから育成することは、会社にとって絶対プラス。これは間違いない。

芥川:
会社も若いうちから打席に立たせることはできるけど、仮にミスをしても「負ける」ことはないじゃないですか。プロ野球と違って勝負に直接影響することがないですよね。

松下:
取り返しがつかないようなミスになる前に、止めることもできますし。

小林:
本当にそう。打席に立って三振するけど、会社は勝てるみたいな。

芥川:
だからまずは、早いうちから打席に立たせてみる。成長する上で失敗はつきものですから、たくさん打席に立つことが大事な気がします。空振りしたっていいんです。



3.会社を変える、若いチカラ

――:
若手の活躍が会社にもたらすものとは?

小林:
会社は新しいことに挑戦しつづけることで、変わっていく(成長していく)ものだと思っていて。新しいことって結局、若い人から出てくる。会社が変わり続けるためには、若い人のアイデアと実行力が必要。

若い力で組織に新しい風穴を開けて、ベテランも負けずに新しいことに挑戦する。組織の硬直化を防いでくれるよね。

松下:
まったく同意ですね。わたしたちの方が経験はありますけど、感性のところは敵わない。我々が考えつかないようなアイデアを持っていますから。

芥川:
それと組織に緊張感をもたらしますよね。マンネリ化した組織は守りに入りがちですが、若手が活躍することで刺激になり、ベテランも「このままじゃまずいな」って思いますし。若手の活躍が会社の雰囲気をガラッと変えると思います。

――: 
その上で若手のどこを伸ばすべきですか?

芥川:
自主性です。どれだけ「チャレンジしてみよう」と思わせられるか。

うちは「チャレンジせず成長しない人」より、「失敗しても成長する人」の方を評価します。ベネックス・ベーシック*の1つ目も「いい仕事は、自分から始まる。」となっていますし。

*ベネックス・ベーシック
すべての日本ベネックス社員が共通して持つべき5つの価値観を明文化したものであり、日々仕事をする上で大切にしている5つの心構え、行動の基礎となり、未来へ進むよりどころとなるもの。

https://www.japan-benex.co.jp/company/philosophy/


松下:
わたしはまだベネックスに入社して2ヶ月半ですが、「新しいことにチャレンジする姿勢」を大事にしていると、すぐにわかりました。この風土はこれまでいた会社と明らかに違いますね。

この2ヶ月半の間にいくつか新しいことを提案してみましたが、一度も頭ごなしに否定されない(笑)。ちゃんと聞いてくれて、すぐに実行させてくれる。この組織風土をもっと若い世代にも浸透させていきたいと思っています。

小林:
結局、成長って「打席に何回立ったか」に比例するから。プロ野球選手はずっと三振だとクビになるかもしれないけど、会社はずっと三振でもクビにはならない(笑)。

「100打数10安打」と「10打数1安打」同じ打率1割でも、前者がよくて。どんどん失敗して、ちょっとずつできることが増える。それでいいんじゃないかなと。

ただ、やるべきことをやらないで「失敗すべくして失敗する」のはよくない。一生懸命やるべきことをやった結果、失敗するのはプラスだよね。

――:
現在、当社で活躍している若手の特徴は?

小林:
自分なりの正解をもった上で質問してくる、ってことかな。「これどうしたらいいですか?」じゃなくて、「こうだと思うんですが、これでいいですか?」みたいな。仕事一つひとつに自分なりの仮説、答えがある人。

仮にそれが間違っていたとしても「なぜか」がわかるから、次につながるよね。「こういうロジックでこっちを選ぶべきじゃなくて、こっちだった」って気づける。

すると、次に同じようなことがあってもバッチリ対応できる。考えていない人は、その「答え」しかわからないから、次も同じところで戸惑う。つまり、成長している人は、一つひとつ自分なりにちゃんと考え抜いているよね。

芥川:
あぁ。そうですね。

小林:
あと、人から仕事を奪う人。

もちろん実績がないのに、いきなり大きい仕事をやろうと無理をするのはよくないけど。周りを見て、先輩が忙しそうにしてるなって思ったら「その仕事手伝っていいですか?」と自然に聞ける人は可愛がられるし、伸びるよね。

松下:
それが自然に言えるような雰囲気も大事ですよね。

小林:
そうだね。そういう声をあげたら、応えてあげたいっていうか。結果的に仕事のクオリティが少し落ちるかもしれないし、時間が3倍かかるかもしれないけど、それでいい。効率が悪くても、やる気がある若い人にやってもらう方がいいかな。



4.安心して挑戦できる環境

――:
若手を育てるための制度などあれば教えてください。

松下:
新入社員の成長サポート制度で「メンター・サポーター制度」があります。

メンター制度では新入社員の配属先以外の先輩社員が1人つき、定期的に面談を行い、気軽に相談や悩みを聞くメンタル的なケアをします。

サポーター制度は、新入社員の配属先で年齢が近い先輩社員が1人つき、スキル的な部分を教えたり、業務や目標の進捗を共に確認したりする役割です。

「スキル」と「メンタル」両方をサポートしながらどんどん挑戦できる環境を整えています。

メンターとサポーターを務める社員は、月一でわたしと情報交換し、成長度合いを見ながら、育成方法をその都度考えていきます。

小林:
特に新卒で入ってくる人たちは、あらゆることが初めてなので、不安はたくさんあるはず。結構、小さいことに悩むと思うので、そこら辺もサポートしてほしい。安心して仕事に打ちこんで、安心して成長してほしいよね。

――:
この座談会、キレイに締まった感じありますね(笑)。

小林:
え、まだやるの?(笑)。

――:
もう少しだけお願いします(笑)。

まだやるの?と言いつつ、話し始めてくれる小林社長


小林:

ロッテの話に戻るけど、佐々木選手、松川選手以外にも20歳そこそこで活躍している選手が多いよね。この選手たちが大爆発したらどうなるんだろうって楽しみじゃない?

芥川:
そうですね。若くていい選手がいっぱいいますからね。

小林:
うちも早くそういう状況にしたいなぁ~(笑)。

一同:
(笑)

小林:
若い人たちが爆発した姿を見るの、すごく楽しそうだよね。その人たちに早く会社を追い出してほしい(笑)。

芥川:
若い人たちが主役の会社は勢いがありそうですね。

小林:
そうなってくれれば、もうぼくの仕事は終わりかな(笑)。



おわりに

ロッテの育成について話し合う中で、共感する部分と、自分たちは「まだまだ足りないな」と痛感する部分がありました。ロッテのような「若手が活躍するいいチーム」をつくる上での大事な2つのポイントを、今回の座談会で出た話に沿ってまとめてみます。

ロッテが教えてくれた2つのポイント

【1.ビジョンを示す (新しい常勝軍団になるべく「育成」を柱にする) 】

→当社も会社の成長には若い力が必要ということは共通認識としてある。「個人の成長は会社の成長」という基本的な育成の考えを、会社全体にもっと浸透させなければならない。

【2.それぞれの特徴に応じた育成プログラム】
→「メンター・サポーター制度」によりメンタルとスキルをサポートしながら、挑戦できる環境を整える。原理原則にはめず、個人の成長度合い、特性に応じて柔軟なプログラムをつくり育成していく。

これからもロッテのように、若手が活躍するいいチームを目指し、一歩一歩取り組んでいきたいと思います!そしていま、日本ベネックスで一緒に挑戦してくれる仲間を募集しています。(インターンシップも募集しています!)

詳しくはこちら↓


最後に、今シーズンも熱く戦い抜いた選手、球団関係者のみなさま本当にお疲れ様でした。結果としては振るわなかった部分もあるかもしれませんが、これから先のマリーンズが楽しみです。「新たな常勝軍団」になるマリーンズ、期待しています!本当にありがとうございました。


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