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ワカンダ・フォーエバーで●●●●●●が気の毒すぎる件

誰か教えてください。なぜこんなことになったのか。

ネタバレ注意です。

このnoteは『ブラックパンサー:ワカンダ・フォーエバー(以下WF)』と『ジャスティスの誕生(以下BVS)』の内容に言及します。

タイトルで伏字にしてるのは、、、

ずばりキルモンガーです。

映画WFで私が唯一納得できないのはキルモンガーの扱いです。

キルモンガーが気の毒すぎます。

WFに対する残念や不満はこちらの記事で書き尽くしましたが、どれも「まあ子供でもわかるエンタメ映画にするためだから仕方ない」と思えば納得はできます。

しかしキルモンガーの件だけは納得できません。

▼何が起こったか:

まず時系列で整理します。

①キルモンガーが神秘のハーブを焼き払う(1作目の出来事)

②シュリが神秘のハーブを復活させる(何年もかけて)

③シュリが神秘のハーブを飲む

④シュリが精神世界でキルモンガーに会う。
 そこでシュリは自身の本質は”復讐”だと悟る。

⑤シュリがネイモアと戦い、追い詰める。

⑥シュリが母親の幻覚を見る。
 そこでシュリは自身の本質は”平和”だと思い直す。

⑦シュリはネイモアに”降参”させる。

つまり④で出てきたキルモンガーが⑥であっさり否定されていたのです。

▼おかしいやろ:

6年間も研究してきて失敗続きだったハーブの再生。ひょんな経緯でタロカンから持ち帰ったヴィブラニウム含有の草を使って、ついに成功して、それを煎じて飲んで辿り着いた精神世界で、出会った人こそがキルモンガーだったのに。

いざ戦いの場面で、気の迷いから見た幻覚でママが出てきて、そこで思い直すって、どうなん?(笑)

しかも、なんか金ピカで神秘的なオーラを纏ってたよね、お母様。

これって…

まんまライオンキングやんけ。(笑)

そして、キルモンガーがシュリに伝えた宿命(復讐せよ)なんて、コロッと忘れて、さっさとネイモアを降参させて、飛行機で戦場に駆けつけたと思ったら、シュリが最初に叫んだ言葉は…

「ワカンダ・フォーエバー!」

…ってそりゃないよ。(笑止千万)

神秘のハーブで呼び出されたキルモンガーの面子が立たんやろ。

それまで命をかけて戦ってきたワカンダとタロカンの両軍に失礼やろ。

ネイモアの言葉はまだ分かるよ。剣を収めよ。わかる。

シュリの言葉は何なの?

「ワカンダは不滅なり!」

いや、マジでさ。

タロカン軍からしたら「ワカンダはお前らには倒されない」って煽り文句になってるし。

ワカンダ軍からしたら「さっきまで命を捨ててまで戦わせといて(そもそも俺達は戦争に反対だったのにシュリが命令するからやったのに)今さら何言ってるの」ってなると思うんですが。

この状況下で一番説得力がある行動は、ネイモアの首を切って、戦場の皆に見せつけることなんですよ。討ち取ったり〜って。

何よりもまず先に「ブラックパンサーがククルカンを倒した」って皆に理解させなきゃあかん。将棋で言うなら王手、チェスならチェックメイト。

別に斬首を見せないでも「ククルカンは我に降参した」って言葉で伝えなさいよ。

それをしないで、飛行機に2人で並んでたら、全員が「「「は?」」」ってなりまっせ。

▼BVSと似ているのか:

土壇場でママのことを理由に矛を収めたのでBVSと似ている、という言説もいくつか見ました。

まあ似てるっちゃ似てるけど、本質的には大きく異なると思います。

BVSでは、殺す相手が「マーサを救え」と言ったから、「なんでワシのオカンの名前を知っとんねん」となって、そこから「まあ、こいつだって母親が殺されるのは辛いよな」と思い直した。しかも自分の母親と同じ名前だったから、自分が抱えてる心の傷がフラッシュバックして、こいつの母親を助けることが”正しいこと”だと感じた。だから行動を変えた。大事なのは、相手の行動がきっかけでブルースが良心を刺激されたってこと。ブルースが”神に触れて善き心が再生した”という科学的に説明しきれない流れが神話的だとも言えます。

WFでは、殺す相手は何も言ってないのよ。ただ、シュリが自分で決心がつかなくて、キルモンガーに言い渡された自分の”復讐の宿命”に納得できなくてどうしようか悩んでたら、ふと母親の幻影が見えて、都合よく「あなたは殺しなんかしないわ」とシュリの妄想の中で言った。だから行動を変えた。大事なのは、全部シュリ自身から出てきた発想であるということ。要するに、シュリが未熟だったから決心が鈍っただけなのよ。

これって、自分が長年取り組んできた神秘のハーブを否定してることになりますからね。ハーブのおかげで超人的な肉体だけは手に入れたら、あとはポイ捨て。結局、伝統なんてクソ食らえよ、と言って喪服を焼くことにさえ反抗していた若者の危うさのままなのよ。これで歴史あるブラックパンサーを継承した気になってるのは結構ヤバイです。自分が属する社会の仕組みを理解してないガキの我儘じゃん。

こんな茶番に付き合わされたキルモンガーが気の毒すぎます。(苦笑)

▼要するにポリコレなのよね:

話を戻すけど。結局WFのクライマックスは、ライオンキングのまるパクリで、それの女性バージョンになっています。

父と息子 → 母と娘

しかも、言ってる内容も全く反対になってます。

お前は歴代続く王だから復讐を遂げろ → あなたはハーブが言い渡したような復讐はしないで平和の道を探しなさい

この二つを合わせると、もうフェミニスト()の主張と全く一緒ですね。

「男はダメ、暴力的だから。女は平和的に解決するわ」

別に、どんな映画で、どんな主張がされようと、それは作り手側のメッセージなので良いのです。たとえそれが私の信条と少しばかり違っていても。そういう考えだってあるよね、と白目剥いて聞き流せば良いだけの話です。

しかし、WFでは結局フェミニズムによるポリコレの咬ませ犬に使われただけの形になったキルモンガーが不憫でなりません。前作で悪役だったのに、わざわざ再招集されて、この仕打ちかよ。それ、死体蹴りやで。

ポリコレを優先するために、前作の悪役をダシに使い、ハーブのお告げという物語のソウルさえ無下に却下してしまう態度は、全く好きになれません。

いつかキルモンガーの魂が報われることを願います。

了。

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