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電波戦隊スイハンジャー

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神も仏も小人も天使も異星人も暴れるヒーロー戦隊もの
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#スサノオ

電波戦隊スイハンジャー#54

第4章・荒ぶる神、シルバー&ピンクの共闘

そうだ、京都行こう4

京都四条八坂神社の近く、「日舞喬橘流本部稽古場」と看板を掲げた日本家屋のお屋敷の前に聡介と光彦は居た。

聡介はいつもは着ないような、ブランドものっぽい黒のサマースーツ姿。抹茶色の風呂敷包みを小脇にかかえている。

呼び鈴を鳴らすとすぐに玄関ががらりと開いて浴衣姿の、歌舞伎の女形みたいな顔立ちをした青年が出てきた。

あれ?なんか

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電波戦隊スイハンジャー#89

第五章・豊葦原瑞穂国、ヒーローだって慰安旅行プロローグ、流刑の星

美《うま》し国ぞ…

青く輝くあの国は、何と云うのだ?

ああ、貴方の故郷では惑星まるごとを国と呼ぶのでしたね。

名前などは有りません。
この宇宙の辺境の果ての果ての惑星は、資源は豊富なれど生き物は愚か。
何万年も進歩がない。奪い合い、殺し合うことしか能の無い者たちです。

「私ども」はこの惑星を|地球と呼び棄てております。

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電波戦隊スイハンジャー#112

第六章・豊葦原瑞穂国、ヒーローだって慰安旅行

野上の姓5

「読んでみよ」とミコトが聡介の手に握りしめられた鉄太郎の手紙を手持ちの扇で指した。

聡介は肩身をすくめて6人の仲間を見回した。

5月のGWまでは「普通の人々」だった戦隊の仲間たちは、皆それぞれの覚悟を持って肯き返した。

言われるまま聡介は封筒から便箋5枚の長い手紙を声に出して読み始める…

聡介へ

緋沙子さんが野上の家を出たのは

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電波戦隊スイハンジャー#113

第六章・豊葦原瑞穂国、ヒーローだって慰安旅行エピローグ、海王の舞

「どうもすいませんねぇ、いつも息子がお世話になっとります…」

翌日の午後5時過ぎ、熊本の七城町の小高い丘の上にある古刹、泰安寺の住職で正嗣の父親七城正義は、

息子の職場の美術教師である室街子を前にえへ、えへと相好を崩しそうになるのを辛うじて抑えた。

今年24歳になる室先生は若々しい肌でいつも薄化粧。

カチューシャで長い前髪

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電波戦隊スイハンジャー#125

第七章 東京、笑って!きららホワイト隠の末裔たち2

「どうだ似合うか?」

と銀髪を腰まで垂らした男がにかっと笑った。

男は狩衣姿。衣装の白地全体に朱色の八雲柄の刺繍を施している。

両袖をふわりと広げて自分の衣装をどう?どう?と見せびらかして、こちらの反応を待っている。

ここは青々とした竹林。自分は笹の葉のじゅうたんに腰を下ろしている。

夢なのだな。

と自覚しながらこうやってスサノオと

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電波戦隊スイハンジャー#201 王弟殿下オトヒコ

電波戦隊スイハンジャー#201 王弟殿下オトヒコ

第10章 高天原、We are legal alien!王弟殿下オトヒコ

以下、
真性の高天原族にしてスサノオ大王の憑依体である野上聡介の証言。

自分の脳から記憶を吸い出される感覚?

うーん、そうだなあ…
厳密に言えば俺の記憶ではなくて俺に憑依スサノオの記憶なんだけれど。

28年も取り憑かれてっと俺とスサノオは夢を通してかなりの記憶を共有してるわけよ。

意識無意識を問わずスサノオが俺の脳

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電波戦隊スイハンジャー#202 辛苦みつつ降りき・前

電波戦隊スイハンジャー#202 辛苦みつつ降りき・前

第10章 高天原、We are legal alien!

辛苦みつつ降りき・前

愚かで冷たくて残酷で

過ちを繰り返し続けて歴史から学ぶことを滅多にしなくて

常日頃苦しみと怨嗟を吐き続けうさを晴らすることで辛うじて一日を生き延び、或いは自ら人生を破滅させる…

か弱き人間たちよ。

今そなたが思い描いている取り返しのつかない事を実行しようとする前に

せめて我の過ちの話を聞いてはくれぬか?

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電波戦隊スイハンジャー#203 辛苦みつつ降りき・後

電波戦隊スイハンジャー#203 辛苦みつつ降りき・後

第10章 高天原、We are legal alien!辛苦みつつ降りき•後

コロニーから漆黒の空間に十数台もの救護船が飛び立ち、生体反応の信号がする方角へ向けて宇宙服を着た軍人たちが

羽衣

と呼ばれる救護シートを一人につき三十枚も背中にくくりつけて事故で宇宙空間に放り出された民間人の姿を必死で探す。

何処だ…何処だ、何処だ!

軍人の一人は逸る気持ちを抑えてゴーグルに映る銀色の光を8時方

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電波戦隊スイハンジャー#204 邂逅

電波戦隊スイハンジャー#204 邂逅

第10章 高天原、We are legal alien!
邂逅

あれはユミヒコ王子1400才の誕生日の前日。

コロニーの空調に睡眠ガスを仕込んで女王をはじめ居住者全員を眠らせ、予てより王子が恒星間探索用に改造なさっていた戦闘機に主従二人乗り込んでコロニータカマノハラを脱出してからおよそ100年後。

45回めの冷凍冬眠から目覚めた思惟は開いたカプセルからゆっくり起き上がり、ぼうっとする意識と視

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電波戦隊スイハンジャー#205 大王への一歩

電波戦隊スイハンジャー#205 大王への一歩

第10章 高天原、We are legal alien!大王への一歩

一年に一度の空腹に苛立ちながら「彼」は次の貢物を待っていた。

(ええい、遅い!さっさと次の娘を持って来ぬかあっ!)

光の加減によっては虹色に輝く美しい鱗なのだがその全体像は残念ながら全長50メートル、幅3メートルの
獣身の上半分から八つに分かれた頭部を持つ醜い大蛇であり、およそ20年前から地下に熱い火の海が通い程よくあたた

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電波戦隊スイハンジャー#206 素戔の王

電波戦隊スイハンジャー#206 素戔の王

第10章 高天原、We are legal alien!素戔の王

薄青く澄んで晴れた秋の空のもと、

「ほーら、高い高ーい!」と父親に掲げられた乳児がきゃきゃきゃきゃきゃ!と弾けた声で笑う。

大きく開いた我が子の口の中にきらり、と光る白い粒を見た父親は子をあやす手を止めて抱き寄せ、

「見ろ、この子に歯が生えたぞ!」
と母親に向かって喜色満面で叫ぶ。

「あらあら、最近お乳を遣るとき痛いと思っ

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電波戦隊スイハンジャー#207 天と地

電波戦隊スイハンジャー#207 天と地

第10章 高天原、We are legal alien!天と地その日の午後遅く、

高天原族皇太子アメノオシホミミとその学友で元老長の愛息アメノオシクモネは、

二人の秘密の場所である宮中庭園の丘の上に一本だけ生えている広葉樹の根本に座り込むとお互いの布包みから手のひらにすっぽり収まるほどの保存容器の箱を取り出すと…

「いいかい?いち、にーの、さん!」

と二人同時に箱の蓋を開いた。

オシホミ

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電波戦隊スイハンジャー#216 終着

電波戦隊スイハンジャー#216 終着

第10章 高天原、We are legal alien!終着

「わが娘、智持着陸。高天原族全員無事地球降下を終えました…

って智持どうしたのそのお腹!?王子と結婚しただなんて一言も」

「御久しゅうございます、お父様」

再会を果たした娘の屈託ない笑顔に相好を崩す一方で思惟は、

娘の妊娠をいきなり知らされた父親のほとんどはそうしたいだろう相手の男を二、三発ぶん殴りたい目で婿のオシホミミを睨み

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