池未裕輝

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池未、社長になるってよ

僕は本日をもって社長になる。法人化はもう少し先だ。 やあ中学時代勉強が出来ないからって馬鹿にしてた人、元気かい? やあ高校時代、弄りよりは程遠い、いじめをしていた部活のゴリラみたいな先輩元気かい? やあインスタに自分で買ってもないくせにお金持ちアピールしたそこの子元気かい? やあ面白くないのに出しゃばるだけでしゃっばって周りに気を遣わせた人元気かい? とか言って復讐をしたいわけじゃない。 僕だって松本人志のように前の話を掘り起こされたら、終わるような話なんてのは幾ばくか

    • 希望の正体は。

      プラスチックのように軽い日常が今日も終わる。 退屈に殺された春。 「外に出なよ」 2回目の大学受験を失敗し、春に取り乱して髪の毛が伸びに伸びた僕に、君は吐き捨てるには遠く、かといって抱きしめる程ではないニュアンスで話しかけてきた。 僕は桜が嫌いだ。人の出会いと別れの季節にだけ咲いて散ってる、ただそれぽっちで持て囃されているだけなんだから。 そんな花に何を期待している。それを見て酒飲んでそんなに楽しいかい、そこのサラリーマンよ、そこのインスタに載せることしか考えてない女性

      • 10-FEETに抱きしめられて。

        いつぶりだろうか。 10-FEETを見るのは。 見に行けなかったのは、蔓延した疫病のせいだろうか、それとも苦悩の割りに実りのない日々に満足して非日常を避けていたのかもしれない。 いつぶりだろうか。 フェスへ参戦するのは。京都、太陽ヶ丘に訪れるのは。 僕の脳はダメっぽい、全然覚えていない、何年前とか正しい記憶がない。 そんな時はやっぱりスマホ。僕の脳より確実に覚えている。 10-FEET を最後に見たのは18ー19のCDJ。その時、僕は人目も憚らず大号泣してた。この話はまた

        • 宿罪

          初恋の人のウェデイング姿はそれはそれは美しくて、隣に居る事が出来たならそれはそれは最高なのだが、それはそれは権利がございませんでした。 泣く泣く遠くで見るのが精一杯でした。虚しいより清々しい、そう思っていたのですが、美しい美しい新婦と目が合いました。少しドキッとしましたが私はすぐ顔を下に向け目線から逃げました。すごく恥ずかしい人間だと思っております。その後も少しなぜか視線と人の居る気配がし恐る恐る顔をあげるとそこには先程舞台に立っていた新婦じゃありませんか。 またまた、目が

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        • 僕の心情
          5本
        • ショートショート
          14本

        記事

          死に様を選ぶなんてせこいぜ

          仲は悪くないし、むしろ仲良い方ではあった。でも奥深くは関わってないのかもしれない。でも君の事は記憶の擦り傷にでもしてでも刻んでおくから。 小学校は隣で中学から一緒になった。クラスも一緒になったけか。足早かったよな。まー俺のがはやかったけど。彼女の事いじってたけな。他にもいろんな話したよね。深い話ではないが浅い話ではない。二人にとっては笑える話。 中学よりも20代後半からのがよく連絡するようになったね。 野球が好きだった事、中日ファンだった事、プロスピよくやってる事、そして

          死に様を選ぶなんてせこいぜ

          YCC_山便り

          恩師とは呼ぶには少し違う、でもなぜか記憶にはずっと残る先生がいた。 高校3年の時だ。 僕は平々凡々かというとそうでもなく、かといって不良って訳でもなく、ちょうど平々凡々と不良の間の人間である。 だからこそ、先生達の目につき怒られる事はしばしば。 その時の担任にはよく怒られた。体育会系とも言えないしすごくおじいちゃんでもない、それでも体育会系よりはおじいちゃん寄りの先生であった。 声に特徴があり、金切り声といったらいいのだろうか。 うまく思い出せないが、とにかく特徴的な声

          YCC_山便り

          海よりも君に飛び込みたかった

          送信 ぬるくなった風に夏の終わりと秋の始まりを感じました。それは私の後悔の始まりでした。 夏、18歳、花火。全てが当てはまったけど、全てがあてはまらなかった。 言えばよかった言葉、当てはまる数は数多く。一言で君とのこの夏が変わることなんて知ってたよ。それでもその一言が言えなかった。私は勇気がなく平々凡々な人間だ。 10年前の私よ聞こえはしないけど届いて欲しい。 その一言全ての人生は変わる気はしないけど。大きな後悔は消えるはずだ。私は臆病で億劫で弱いけど、きっとあなたなら変

          海よりも君に飛び込みたかった

          再週回

          私には用がないパチンコ玉、私には少し大きいサイズのTシャツ、私には好かれないであろうタバコ、総てを遺骨のように、大事に手に取りゴミ袋に集荷した。 洗濯機の近くのカゴの中は2分の1の量に減っており、冷蔵庫には飲めないビールが残ったままで、何度も交わったベットには使わない枕が一つ出来ていた。 もう一つの声はなくなり、会話は行われない。そしてTVが垂れ流す、笑い声だけが無情に響く。 小さな小さな、キッチン兼流し台ではカレーの鍋が少しカビを生やし洗われるのを今かと待っている。 そん

          愛を追え 

          序 先の見えない暗闇の中、懐かしい記憶が大袈裟に輝き出し、今を物足りなく感じさせ心を苦しめる。  東京へきて9年弱、良い事より後悔の方が多かった。たくさんとは言えないが異性とも付き合い、散々笑って、それ以上に泣いた。  今私は何度も胸を刺されている。暗くて何で刺されているかも分からない。鈍色か黒色か、いやもっとむさくるしい色なのかもしれない。とにかく汚系統で胸を刺された。ただただ痛い。せっかくの綺麗な赤も名前も分からない色になり溢れていく。刺されるだけでは終わらず、首を

          愛を追え 

          シンデレラガールには会えずシンデレラボーイにもなれない

          法定速度があるならそれを超えるような車作るなんておかしい。 スピード違反で捕まった時の僕の言い分である。人を責めるのではなく、システムを責めろよ。人の欲望を叶えてしまう車のシステムがよくないんじゃないか。 スピードを出せてしまうのがおかしいんだ。 その日はパチンコに勝ち、車内の音楽のボリュームをあげ気分良く帰っていた。 帰宅したらゲームをし、Amazonでポチッとどうせ必要無くなるものを買い、自慰行為、と予定を掻き立てていた。 そんな中、かすかに社内の音楽とは別の音が流れ

          シンデレラガールには会えずシンデレラボーイにもなれない

          「平凡だけど退屈じゃない」という幸せを掴めなかった僕。

          「平凡だけど退屈じゃない」という幸せを掴めなかった僕。 いつも後悔ばかりだ。どの選択肢も間違っている気しかしない。取捨選択を変えていたら、今の僕はまだ少し輝けていたのだろう。 しかし、こんな考えもある。 結局は僕は僕なのだから、どの選択肢を選んでもここに戻ってきているんだろうと。 飲みかけの炭酸と脱ぎっぱなしの靴下と少し汚れたコントローラー。部屋の中の空気はいつも重く、外からの光は差さない。 生きてるだけ、息してるだけ。起きて海外ドラマみてランニングしてスマホみて寝て起き

          「平凡だけど退屈じゃない」という幸せを掴めなかった僕。

          「二十七、二十八、八」

          8歳になった話 僕は歳を1つとった。27から28へ。 Twitterの僕は28歳になった日に8歳になり、使う言語や単語が減らした。 歳をとったのに20もの数が消えた。 え? って思う方だらけだと思う。 ぼくはよこもじやむずかしいことばをつかうことにつかれました。 みんなブロックチェーンだの、NFTだのdefiだの、難しい言葉を使えば賢いと思い、周りもいいねでちやほやして、それをみて、ぼくは疲れたんだと思う。 だからひらがなとカタカナと小学2年生が使う漢字ぐらいでツ

          「二十七、二十八、八」

          短編小説「愛こそはすべて」

          All You Need 「おじいちゃんやおばあちゃんに戦争の話を聞いてきてくだい」 小学生だったぼくに出された宿題でした。 殺風景な和室、盆栽だって掛け軸だって置かれていないのに、なぜかアコースティックギターだけがありました。むしろそれしか置かれていないのに賑やかな部屋でした。その賑やかの大半の正体は陽気なじいちゃんであった。 ただ、ぼくの一言で部屋が急に重くなったように暗くズシっと重力が掛かったよように感じました。 「こんな宿題出たんじゃけど、話聞かせてくれん?」

          短編小説「愛こそはすべて」

          短編小説「僕の町」

          そこに有ったものが無くなっていた。 だからといって無から有がすぐ生まれるわけではない。 変な名前の空港に僕は久しぶりに降り立った。 東京じゃ飲みの席でこの空港の名前を当てるクイズなんてして盛り上がったし救われた。その時はありがとう。 小さな町の無人駅に着いた。車掌がいないんだからずっと働き方改革を地方からしている。 歩いて家路へ向かうとなんだか懐かしい道に和む。ただこの懐かしさは内に秘め、酔いしれ噛み締めた。しかし懐かしいだけでは行かないのがこの町だ。 なんとなく知っては

          短編小説「僕の町」

          短編小説「僕はくしゃみを。」

          秋にくしゃみを。センター分けメガネ上司は僕を理由もなく怒っていた。今日も僕は意味もなく謝まっていた。それだけで仕事は終わった、気がした。 無人のレジ機でスーパーの割引アジフライ弁当と発泡酒の支払いを慣れた作業で済ませ、日が変わる前にと、構造上1人しか住む事が出来ないボロいアパートへの帰路を急ぐ。酷暑は夜も続き汗が止まらない。金木犀の香りが今日はすごく甘ったるくうっとしい。 早くクーラーで涼しさを浴びたい。 でも、急いでる時にこそ絶対って言うほど起こる。アクシデントなのか、

          短編小説「僕はくしゃみを。」

          短編小説「コインランドリーと匂いと習慣」

          僕のコインランドリー僕はコインランドリーの匂いが好きだ。生暖かく心まで洗浄されるあの匂いが好きだ。オレンジのような青いようなあの匂いが大好きだ。 毎週金曜日夜八時、ルーティーンのように通うコインランドリー。 「あ、そこ洗濯出来ないわよ! その代わりあなたが忘れかけた愛を感じてた瞬間が見えるから、1回だけよその代わり」 少しネジの外れたおばさんが僕に言った。そんな言葉を気にするほど他の洗濯機が空いていない。あ、でもおばさんの化粧がやけに濃かったのが気にした。僕は洗濯できない

          短編小説「コインランドリーと匂いと習慣」