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3分で読める物語

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今日もお疲れ様でした。ほっとい一息。 つきながらぜひ、3分だけ読んでみてください。 明日も、頑張ってみよう。 ポジティブな気持ちで眠れるような そんなお話集です。 実は、裏… もっと読む
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記事一覧

諦めたくなる夜

諦めたくなる夜

これは絶望なんかじゃなくて
自分の弱さを知ったということ。

何もできない自分に
気付いたということ。

それでいて、
何からすればいいかわからないということ。

世界一の作家になりたかった私は
どの映画も見れなくなった。
どのミュージカルも、どの劇も。

目の前の全てが
すでに才能の結集したチームが作り上げる
最高のエンターテイメントだった。

私が、一人でできることが
勝てる世界はどこにもなか

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からあげマニア

からあげマニア

から揚げが昔から大好きだった。一体いつからだろう。
「からあげマニアのカラッと日記」を更新し始めたのは。

あげる記事がない、と思うと
ネットで有名な唐揚げ屋さんに行っては、そのレビューを書いて、ブログを更新していた。

とりわけ今日はなぜか、
あげる記事がないと思ったのは同じだったが、ふと我に返っていた。

憎たらしい過去だ。
昔はもっとアグレッシブだった。
やりたいことはとことんやる。

空回

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花贈り

花贈り

私の夢は、
愛する人からお花をプレゼントされること。

ロマンチスト?と言われるかもしれないけれど
憧れるじゃん?そりゃあ。

何を憧れたっていい。何を目指したっていい。
人生はそう、自由だ。

私は気ままに生きると決めた。
外に一切出られない、出てもマスクを外せない
そんな世界がやっと終わって
世界に色が弾け出す。

私の色が、弾け出すのだ。

パリにヴェネツィア、バルセロナ。
どの街も、その街

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からっぽサンタ

からっぽサンタ

「やってしまった…。」

サンタはうなだれていた。
秋から始まるおもちゃの準備
大忙しのサンタさん
プレゼント入れる大事な袋
ほつれに気づきやしなかった。

今日は12月24日の夜。
一軒目に到着するまでは順調だった。
袋を取ろうとした時に、大変なことに気づいた。

袋のほつれが広がって
破れた穴からおもちゃが全部
袋を飛び出し消えてった。

「おもちゃが、一つもない…。」

困ったサンタは考えた

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それでもシンデレラは

それでもシンデレラは

1.-主人公-

慎ましく生きるシンデレラは、
王子様や貴族たちとパーティに行くような、華やかな世界など噂話でしか聞いたことがなかった。

テレビもスマホもないこの絶対王政の時代のフランスに、そんな世界を映像として想像しうるはずもなかった。

強欲な義姉とも違い、心優しいシンデレラは
その招待状に、好奇心こそ"そそられる"ものの、何とも形容し難い”怖さ”も感じていた。

仮にいきなり、一国のトップ

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すてきなペットにニャりたいニャ

すてきなペットにニャりたいニャ

「ホントに見た目も可愛いし、動き一つとっても愛嬌があるよなあ。」

三毛猫のレオは、鼻高々だった。
「オイラ世界一かわいい猫になって、都会のペット屋さんで大金持ちに飼ってもらうんだからな!」

「レオちゃんならなれるよ!」
「ホントに羨ましい!応援する!」

1-真似をする-

オイラ、本当はすごくなんかないんだ。
みんなはあんまり知らないだけで、”NyaoTube”で勉強してるんだ。

カリスマ

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コーヒーザウルス

コーヒーザウルス

「苦いのやなんだよなあ。
ステゴサウルスの背ビレは苦い。

おなかとせなかが ひっつくくらい
おなか空かせて 歩いていたら
せっかく獲物を見つけたのに
ステゴサウルスじゃテンション下がる。

これ、マジでティラノサウルスあるある。」

ぶつぶつ呟きながら、歩いてる。ティラノサウルスのポニーは、田舎暮らし。
街に行ったことがなかった。

ある日、お母ちゃんが地響き起こしながら猛ダッシュで帰ってきた。

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地球万博

地球万博

1-世界の扉-

「ナイアガラの滝、迫力すげえ!
なんだよこの龍みたいに長いお城!」

アルトは、画面の中の世界に胸を躍らせていた。

「ママ!パパ!オレが大きくなったら、絶対世界旅行に連れてってあげる!」

それがアルトの口癖だった。

2-うねり-

大学生になったアルトは、
国際交流や平和教育を学ぶため、留学の準備を進めていた。

突然、彼のナイアガラの滝が映る待ち受け画面に現れた通知と共に

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カフェオレ

カフェオレ

なんかもう、目標探すのも面倒くさくなっちゃって。

春になったとはいえ、夜は冷えるな。
ベンチで話そうと言ったのは、私だけど。

1-失望-

私は失望されると思いつつ、重い口を開いたが、彼から返ってきたのは予想外の言葉だった。

「いいねえ。すげえなあ。」

え?いいの?

彼は、なんでも表面的に褒めるような人じゃない。
何が良くて、何が大事かをきっちり伝える人だし、意見が違う時は、私の意見を尊

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背中

背中

画面を閉じろ。

上にスワイプするたびに、感動もしないコンテンツが次から次へ、やってくる。

画面を閉じたいのに、こいつが時間と脳を蝕んでいく。
なんだか気分が悪い。何時間見てるだろうか。

1.-ケンカ-

「スマホばかり見ないでよ」

カオリとケンカしたばかりだった。

でも、俺は悪くない。
お前がスマホばかり見てたのが先だ。

俺は、お前がスマホを見始めるまではスマホを見ないって決めてる。

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ケンタウロスのけんたくん

ケンタウロスのけんたくん

茂助(もすけ)「なあ、今晩合コン行かへん?」

けんた「行かへんわ。俺ケンタウロスやぞ」

「俺行くねんけど、一人これんくて、人数足りてないねん」

「俺はそもそも単位が人かもわからんねん。匹かもしれん」

「…けど話すの得意やからカバーできるやろ」

「カバーしきれてないな。ケンタウロスやぞ」

「えー。頼むわ。俺多分今日あんまり喋られへんと思うから、盛り上げ手伝ってや。」

「なんで喋られへん

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初打席

初打席

もうすぐ俺の、公式戦初打席がくる。

1-壊れる-

1ヶ月前。

たまたま、3年のユウさんのいない日だった。
7番ショートで、代わりに俺の名前が呼ばれた。

チームスポーツは向いてない。
仲間と座席を争い合うなんて、したくない。

負けるのは辛い。
でも勝つのは、仲間を負かすこと。だからもっと辛かった。

そんな俺が、呼ばれた。

ああ辛いなあ。
活躍したいのに、活躍なんかしたくない。

誰が3

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ハガネの花

ハガネの花

「お前、タレントの〇〇の振る舞い真似してるだけだろ?

ハガネってお前ホント、オリジナリティねえよな。」

1-トゲ-

カンタの言葉は、胸の奥までグサリとトゲが刺さったみたいな感覚だった。

「うるせえな...
お前みたいに正論かざして悪口言って、何も生産してないヤツに言われたくねえんだよ。」

口ではそう言い返した。

でも正論言って、言い負かそうとしてるのは

オレも一緒だった。。。

2-

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絶望のハック

絶望のハック

1-バカ-

フリーターだってのに、バイトを辞めた。

オレを叱ってくれる人だったけど、意見が合わなかったから辞めた。

“学生”が抜けてないオレの甘えって分かってた。

けど、そんな自分を正当化したかっただけ、ホントは。

2-知覚-

数少ない、自分を叱ってくれる大切な人って分かってた。

春になって新卒社員として働き出したあいつらは、着々と結果を出してる。

辞めたからからこそ、あいつらが正

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