雨、鉄を鳴らす 8:さいご
幾年かぶりにこの身で支えた頭が揺れる。首からポキンと音をたてて折れてしまいそうだ。身体にかかる重力が、私にこの地球への帰還を告げていた。ごくろう、ごくろう……。どくどくと脈打つ鼓動が、今にも飛び出さんばかりに鳴り響いている。私は数分のあいだ堪えたが、身体を支えるために立てた右手は、もう既に限界を迎えている。地球はこんなにも重たく、私にのしかかる。脈動はこんなにもせわしなく、私の身体はいったいどこに行って、ちゃんとここにあるのだろうか。床に足をつけ、あらん限りの力で立ち上がる。