『タンタンタンゴはパパふたり』|多様性とかその前に、愛は愛。みんな違うじゃん♡|大人も楽しめるおすすめ絵本
多様性などの概念が広く使われるようになってきて、それを扱った本も増えてきた。絵本も然り。
そんな中で、同性愛を扱いつつも、愛は愛じゃんというメッセージを強く感じた1冊に出会ったので、紹介したい。
ジャスティン・リチャードソンさんは医学博士。ピーター・パーネルさんは脚本家。イラストはヘンリー・コールさん。3人ともアメリカ在住だ。
尾辻(正しくはしんにょうにひとつ点)かな子さんは衆議院議員。同性愛者であることをカミングアウトした最初の議員として知られている。翻訳家・作家などとして活動されている前田和男さんと共訳された。
表紙の子どもペンギンがタンゴ。そして、タンゴを見守るおとなペンギンがパパふたり。
アメリカの絵本なのだが、原題がとっても素敵なので、紹介したい。原題は”And Tango Makes Three”。
これは”It takes two to tango”(タンゴはひとりじゃ踊れない)という言葉をもじったもので、タンゴの名前を使ってこの家族の形をうまく表現している。なんて素敵なんでしょう!
舞台はニューヨーク、セントラルパークにある動物園。たくさんのペンギンがくらすペンギンハウスでは、毎年子どもが生まれる。そこでパートナーとなったオスペンギンカップルのお話だ。
多様性とかそんな言葉を一蹴する様な、強い愛と絆。愛は愛じゃん、マイナーとかそういうことじゃなく、好き同士が一緒にいて気持ちと絆を深めてるんだよ。好き同士は好き同士。そんな説得力を感じた。
パパふたりが、子どもに愛を注ぐ。その真摯さ、純粋さを、やわらかい言葉とたおやかな絵が描く。
多様性とかそんな概念を持たないであろうペンギンの同性カップルだからこそ、好きになること、パートナーを持つことの強さ、美しさをより感じる。
多様性とか同性愛とか、人間がそんな概念を生み出すずっと前から、愛はずっと動物に寄り添ってきたんだなあ、そんな途方もなく広がる世界や歴史を感じさせてくれる。
愛は愛。好き同士が一緒にいることの幸せを噛み締められる1冊だ。
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