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『ゆきむすめ』ロシアの昔話|昔話や民話のもつやるせなさ|大人も楽しめるおすすめ絵本

昔話や民話って、たまにびっくりする展開や、何とも急展開すぎるエンディングをむかえたりするものだ。

小さいとき、何とも後味の悪い物語展開にびっくりし、お話が全て楽しく幸せなものではないんだという事実に少し悲しくなったことを覚えている。

この世の全てがハッピーエンディングではないことを何となく学んだのは、絵本だった気がする。ハッピーエンディングではないからこそ印象に残った物語も多くあり、ハッピーエンディングになるためにはどこで誰がどうすればよかったのかなあと考えたことも多々あった。

そもそもハッピーエンディングって何だろう。そんなふうに考えたのも、絵本がきっかけだった気がする。

やさしいだけではなく、少しの悲しさややるせなさもくれる絵本の代表として、紹介したいのがこちら。

『ゆきむすめ ロシアの昔話』
内田 莉莎子 再話 / 佐藤 忠良 画
ページ数: 28ページ
サイズ: 20×27cm

タイトルの通り、ロシアに伝わる昔話である。

子どものいないおじいさんとおばあさんがつくったゆきむすめ(雪だるま)にある日いのちが宿り、ふたりはゆきむすめを本当の娘のように大切に育て始める…というお話。記事タイトルの通り、何ともやるせない、突然なエンディングを迎える。

スマートでシュッとした印象の大人っぽい絵と、昔話特有のあたたかみや余韻のある言葉が何とも言えない読後感を与えてくれる。

『ゆきむすめ』というタイトル通り、物語の舞台は冬だ。冬の厳しさ、来たる春への心躍る気持ち、そして冬を豊かに生きようとする人の営み、人を愛し求める人の姿に、気持ちが揺り動かされた。

生きていくこと、生活を続けていくことに対して、一歩立ち止まってその豊かさや意義を考えるきっかけを与えてくれるような、甘やかしはしないが柔らかく寄り添ってくれる絵本だ。


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