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『いちご』|いちごと太陽!神々しいアート的シックないちご絵本|大人も楽しめるおすすめ絵本

絵本のテーマになった途端、身近なものがすごく興味深く思えることがある。子供向けにつくられた絵本であっても、何とも哲学的で、新しい視点を与えてくれたりする。

読後、不思議な感覚を与えてくれ、そのテーマに対する新しい印象で頭がいっぱいになったりするのは楽しいもので、その感覚が癖になって、何度もその絵本を読んでしまったりする。

そんな絵本が、こちらだ。タイトルは『いちご』。

『いちご』
新宮晋 作
価格 1,870円(本体 1,700円+税)
40ページ 
A4変型

作者の新宮晋さんは彫刻家として活動されている。自然の力で動く作品などで有名で、絵本も複数著作されている。下のページから、新宮さんの活動を拝見することができる。

タイトルの通り、この絵本のテーマはいちごだ。果物のいちご。赤いいちご。ころんとしたいちご。緑のヘタを持ついちご。

まず表紙からして別格だ。いちごのクローズアップ。赤に支配された、いちごのデッサンがどんと配置されている。ごくりと喉を鳴らしてしまうような、只者ではない風格を備えた表紙に、きっと誰だってどきどきしてしまうだろう。

そんないちごの成長を、熟すまでの過程を美しく切り取り、巧みな比喩とグラフィックで描いたのがこの絵本だ。ただ単にいちごの成長を描いた絵本と侮るなかれ。太陽といちごの神々しい関係が、とってもアーティスティックに描かれている。

どのページも斬新で美しく、シックという言葉が非常に似合う。絵本というより、アートブックと表現した方が適切かもしれない。それくらい芸術を感じるのだ。といっても、敷居が高すぎることはない。何たって絵本なんだから。子供から大人まで楽しめるのだ。

きっと新宮晋さんはいちごが大好きなんだろうなあ。そう思わせる比喩、描写、いちごの見せ方が詰まった絵本。絵本というより、いちご本だ。いちごの神話。

この絵本を読んだ後、いちごを手に取りたくなること間違いない。私も、いちごを買ってからこの絵本を読むようにしている。薫りたつようないちご描写がたっぷりだ。



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