見出し画像

『星につたえて』|言葉に出して伝えていこうよ、とても大切なことだから|大人も楽しめるおすすめ絵本

大人になると、気持ちを言葉で伝えることから都合よく逃げることを身につけていたりする。

言わなくてもわかるでしょとか、いやいや普通そんな日常的に言葉にしないでしょとか、逃げ道を用意することは簡単なのだ。

でも、やっぱり自分の言葉で伝えるって素敵なことだと思う。拙くても、シンプルでも、言葉で相手に伝えることでしか伝えられないことってあると思うのだ。

そんな言葉で気持ちを伝える尊さを教えてくれる絵本が、こちら。

『星につたえて』
安東みきえ/文  吉田尚令/絵
アリス館
32ページ
22×27センチ
定価1,650円(税込)

安東みきえさんは、山梨県生まれの児童文学作家・絵本作家として活動されている。吉田尚令さんは絵本作家、イラストレーターとして活動されている。

この物語のメインキャラクターは、表紙のふたり。ほうき星とくらげ。

タイトルの通り、くらげはほうき星に伝えたいことがあるのだが、それを伝えられないままふたりは離れ離れになってしまう。離れ離れになる前にほうき星が言っていた「何百年かたてば、また会えるかも」という言葉を信じて待ち続ける。けれど老いを避けることはできず、ある日くらげは亡くなってしまうのだが、ほうき星への言葉を子に託していた…

ほうき星というとてもドラマチックで、壮大なキャラクターがいることで「言葉で伝える」「大切な人に大切なことを伝える」という、誰にもできるけどとても素敵なことの魅力が引き立つ。

そして、何より夜空と夜の海の美しさ。きらきらと輝く星と、海に反射したその姿。そして海の中のくらげの透明感のある美しさ。柔らかく、広がりのある絵が、物語の世界に引き込んでくれる。

年齢にもよるだろうが、子どもには少し難しいかもしれない。お星様きれいだね、海きれいだね、なんでくらげはそんなにほうき星に伝えたかったんだろうね、で終わってしまうかもしれない。

でも、いいのだ。わからなくてもいい。でも、くらげが、思いの丈をほうき星に伝えたいと願ったこと、それを叶えるために行動したこと。それをわかってくれたらいい。

そして、絵本の最後に明かされる、くらげがほうき星に伝えたかった言葉を、子どもが大切にしてくれたら、とても嬉しいのだ。

相手を想うこと、大切な人に大切だと伝えることって本当に素敵だと思うから。


絵本についての私のnote


いただいたサポートは書籍購入費としてnoteに還元させていただきます。