「子どもの性別は女の子がいい」という社会の闇① ~自由主義は女の子がお好き?~

 長子がまだ妻のお腹の中にいるころ、産婦人科の定期検診で性別が男の子だと分かった瞬間のことだ。直接言うわけではないが、助産師さんはどこか「残念だったわね」という雰囲気を出した。その助産師がたまたまそうなのかな?とも思ったが、後日別の助産師がエコー検査をし、性別を再度教えてくれる際にも「やっぱり女の子が良かった?」と言われた。

 どうも、人の話を聞く限り、最近は女の子が人気だという。世間では昔から、男の子を産まない妻が姑から責められたりする話があとを絶たないため、なんとなく男の子のほうが人気なのだろうという先入観があり、女の子が人気と聞いて驚いた。

果たして、子どもの性別について、本当に女の子は人気なのだろうか。

また、もし人気であるとした場合、それはなぜか。

本当に女の子は人気なのだろうか

 「国立社会保障・人口問題研究所」が3~5年に一度実施している「出生動向基本調査(結婚と出産に関する全国調査)」では、夫婦が理想とする子ども数の男女児の内訳を調査しており、第15回調査においては、次の表1ようなグラフが掲載されている。

 このグラフからは、1987年を境に、子どもの総数としては、女児希望が男児を上回っている事がわかる。イメージよりもずいぶん早くから女児選好の傾向がみられるのだ。

 しかし、この女児選好の傾向がそこまで露骨かといえば、それほどとも思えない。それには理由がある。表1は、注にもあるように、あくまで「理想の男女児組合せにおける総男女児数の構成」である。しかし、次の表2をみていただきたい。

 まず、表2の注では、第15回調査における理想の子ども数3人以下の母数は、1人:63人、2人:1,663人、3人:889人とされている。つまり、理想の子ども数3人以下の回答者のうち63.4%は2人が理想としている事がわかる。
 また、理想の子ども数を2人と回答した人のうち、90.9%の人が「男児と女児1人ずつ」を選択していることから、理想の子ども数3人以下の回答者のうち約57.8%の人が「男児と女児1人ずつ」を選択していることとなる。
 つまり、総男女児数の構成でみた場合、この57.8%が男女同数で占めているため、男女児それぞれの希望は50%に近くなりやすい。

 ここで私は、あえてこの「理想の子ども数2人」を軽視してこのグラフをみてみようと思う。なぜなら、「2人ほしい」といった場合に男女1人ずつとなるのは非常に自然な思考であるように思えるからだ。例えば、紅白まんじゅうをもらえるといった場合、「2個あげる」と言われたら、よほどこだわりがない限り紅1個、白1個を選ぶはずだ。注目したいのは、「紅白まんじゅうをあげる」のうち、「1個だけ」、「3個あげるよ」と言われたときに、どのような紅白の組み合わせを要求するか。ここに、紅白それぞれへの選好が色濃く反映されると考える。

 表2を、前述の視点で整理したのが、次の表3、4である。

 こうしてみると、1人の場合は1987年を境に女児選好が強まり、2015年には69.8%が女児を希望している。また、3人の場合では、1992年を境に、女児のほうが多い組み合わせへの選好が強まり、2015年には58.2%が女児のほうが多い組み合わせを希望している。(あと意外と、2人の場合に男児2人希望するのが1.5%であるのに対し、女児2人希望が7.6%もある。)

 このようにみると、表1から得られるイメージよりも露骨に女の子が人気であることが実感できる。どうやら、女の子が人気というのは本当らしい。

では、なぜ女の子が人気なのか、続きは②へ

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