カウントダウン


3、

無いはずの 平成32年から 未来人だと云う人が来た

姿見に 外の草木が 映されて

永遠の美を望まれている

髪結えば 神が鳴るなり 窓の外

天は蛇口を ひねって怒る

夕立は 凌霄花の 色をして

スカートの裾は 人魚の尻尾



2、

初めて来たはずの町から、懐かしい匂いがして狼狽えること

幼い頃、スーパーの棚の見えないところには、何か特別なものが置いてあると思っていたこと

記憶の中にだけある、全てがミルク色に霞んでいる夜の街のこと

遠退けられる悲しみ、痛みのこと

色鯉は 眺める水の 視線の先
先程の 言葉を反芻 曼茶羅華

あっと言う間にそれは来た 金襴緞子の着物着て



1、

重いカーテンを取り払いたくなる

息苦しい夜にはコーヒーの闇が毒

新聞の匂いに酔って外の空気を吸えば

闇の奥の夏が心の中まで蝕んでゆく

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