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ソーシャルシネマ

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映画を通して社会について考えられる映画(=ソーシャルシネマ)を紹介する記事を集めています。
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記事一覧

13回目の3月11日

13回目の3月11日

東日本大震災から13回目の3月11日、年々震災を振り返ろうという空気は薄れてきている。テレビを見ると、被災者たちの「今」についての番組をちらほらやっている。

先月、取材で大熊町に行ってきた。福島県の浜通り地域は震災前も震災後も行ったことがなく、初めてだった。大野駅に降り立つと、目の前では大規模な工事が行われていた。真新しい道がまっすぐに伸び、その南側が大々的に開発されていた。ガラス張りの大きな建

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ロシアか西側諸国か。『ウィンター・オン・ファイヤー』と『ウクライナ・オン・ファイヤー』を観て、悲劇の原因を考える。

ロシアか西側諸国か。『ウィンター・オン・ファイヤー』と『ウクライナ・オン・ファイヤー』を観て、悲劇の原因を考える。

ウクライナで今起きている「戦争」。報道を見る限り、ロシアが国際法に違反して主権国家に攻め込んだことは間違いなさそうだ。しかし、メディアが一斉にウクライナの肩を持ち、ロシアが一方的に悪いと喧伝すると疑いたくもなってくる。

もちろん戦争は今すぐやめてほしいが、こうなってしまった原因は何で、私達は何を信じ、誰を支援するべきなのか。双方の言い分を聞いて自分で判断したいが、リアルタイムで流れてくるニュース

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東日本大震災から11年、1年に1度、1分だけでも震災に思いを馳せるために『永遠の1分。』を見よう。

東日本大震災から11年、1年に1度、1分だけでも震災に思いを馳せるために『永遠の1分。』を見よう。

2022年3月11日で東日本大震災から11年です。どんな人も時間が経てば記憶は少しずつ薄れ、出来事は少しずつ「風化」していきます。それが自然の摂理なのです。

でも、私たちは思い出すこともできます。記憶が薄れていくのを弱めることはできるのです。私は3月に入ると毎年そんなことを思いながら、せめて何か1本、震災にまつわる新しい映画を見ます。

今年は『永遠の1分。』がそれでした。

この映画は『カメ止

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【7月25日までオンライン上映】東ティモールの4本のドキュメンタリーを映画祭で見たら、未来は世界の人達の助け合いの中にしかないと思った。

【7月25日までオンライン上映】東ティモールの4本のドキュメンタリーを映画祭で見たら、未来は世界の人達の助け合いの中にしかないと思った。

東ティモールは知ってますか?

聞いたことはあるし、だいたいの場所くらいはわかる人が多いかもしれません。私が知っていたのは、それに加えて比較的最近独立したことと、コーヒーが名産なことくらい。これはほとんど知らないと言っていいでしょう。

そんな東ティモールについて知ることができるオンライン映画祭、しかも無料!が現在開催中ということで、ぜひ皆さんにも見てほしい映画を紹介します。

映画祭では、6本の

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芸術はなぜ大切か、ジョン・カリーとヨーゼフ・ボイスのドキュメンタリー映画から考える

芸術はなぜ大切か、ジョン・カリーとヨーゼフ・ボイスのドキュメンタリー映画から考える

今回のコロナ禍の前からですが、芸術あるいはアートの大切さについて考えています。アートは苦難のときに人や社会がすがるものであったり、新しいものを生み出すきっかけになるものです。

UPLINK60以上見放題でも、アート系の作品が結構あり、その一つ一つでそんな事を考えてきましたが、残り少なくなったところで観た2本でも改めてそんな事を考えました。50本目と51本目です。

面白かったのは『氷上の王、ジョ

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”食の安全”を探求するジャン=ポール・ジョー監督3作品から見えてくる繰り返すことの大切さ

”食の安全”を探求するジャン=ポール・ジョー監督3作品から見えてくる繰り返すことの大切さ

UPLINK60本見放題全部見ると言っていたのですが、6月に入って #BlackLivesMatter について考えざるを得ず、UPLINKの方は中断という形になってしまいました。#BlackLivesMatter の方もまだ道半ばで、探求しなければいけないのですが、UPLINK見放題の期限が切れてしまうので、とりあえず今は見まくっています。
#BlackLivesMatter についてはこちら

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#blacklivesmatter と映画:考え続けるための覚書

#blacklivesmatter と映画:考え続けるための覚書

いま世界中で盛り上がっている #BlackLivesMatter

人種問題はずっと考えてきた問題でもあり、目を離すことができません。

私に何ができるのか、私にとってこれはどういう意味があるのかを考えるために、映画を見返すなどしています。

そして、そのことについてまずgreenz.jpに記事を書きました。

これである程度のことは書けたのですが、あくまで考える出発点としての映画をあげただけ

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いまだから原発のことを考え直したいと3本の映画を見ながら思う。

いまだから原発のことを考え直したいと3本の映画を見ながら思う。

6月に入り、緊急事態宣言も解除され、映画館も再開しましたが、なるべく「3密」を避けたほうがいいことには変わらないし、UPLINKの見放題を今月中に全部見なければいけないので引きこもりが続きそうです。

そんな中、こちらの更新が遅れていましたが、週末を挟んで原発関連の作品を3本観ました。どの作品も二度目ということで、久しぶりに見ての感想です。

今は新型コロナウイルスという別の災害に対処している最中

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9年越しに『100,000年後の安全』を見たら少し楽観的になっていた

9年越しに『100,000年後の安全』を見たら少し楽観的になっていた

UPLINK見放題37本目は放射性廃棄物の最終処分場についての映画『100,000年後の安全』です。

2011年に3.11の直後に見て、geenzに記事を書きました。その時の記事はこちら。

自分で言うのも変ですが、これはこれで言ってることはわかります。放射性廃棄物の問題は私たちが考えなければいけない問題として今もここにあることは事実です。

ただ、9年ぶりに見て思ったのは、「この映画、同じこと

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ウィズ・コロナ時代に必見の『ラッカは静かに虐殺されている』の次に観てほしい映画

ウィズ・コロナ時代に必見の『ラッカは静かに虐殺されている』の次に観てほしい映画

greenz.jp5本目のUPLINK見放題記事です。

『ラッカは静かに虐殺されている』は本当におすすめなので、ぜひ観て、記事も読んでください。

ここでは、見たよ!という人のために、ぜひ観てほしい関連作品を2本上げておきます。

1本目は『すべての政府は嘘をつく』

こちらは、独立メディアについての作品で、かつアメリカが舞台なので、中東という精神的な距離が遠い国が舞台の『ラッカは静かに虐殺され

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リアルに引きこもりを描くと社会の問題が見えてくる『今、僕は』

リアルに引きこもりを描くと社会の問題が見えてくる『今、僕は』

UPLINKの見放題、作品が追加されて77エピソードになっているんですが、今回は追加されたものの中から一本。新作『ふたつのシルエット』の公開を待つ竹馬靖具監督の2009年のデビュー作です。

引きこもりの青年を描いていて、その心情にわかり味しかないんですが、そこから引きこもりを生み出しているのは社会であると考えるに至りました。

映画自体は社会問題を扱った映画ではなく、一人の青年の心の動きを描いて

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12年ぶりに『おいしいコーヒーの真実』を見て背筋を伸ばす

12年ぶりに『おいしいコーヒーの真実』を見て背筋を伸ばす

今回の(今季の?)新型コロナウイルス禍も収束に向かいすつあるようですが、UPLINK見放題は続いています。この作品で記念すべき30本目!やっと30本まで来たので勝手におすすめランキング中間発表でもやりたいところです。

で、今日のところはこちら『おいしいコーヒーの真実』。この作品は記録をたどっていくと2008年に見ているらしく、12年ぶり2回目です。12年前とは思えないくらい鮮烈な記憶が残っていて

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映画の手法も素晴らしい『アルマジロ』は本当の戦場を感じられる。

映画の手法も素晴らしい『アルマジロ』は本当の戦場を感じられる。

戦争って一体どのようなものなのか。知らない人のほうが世界には多いわけですが、それでも今も世界のどこかで戦争は起きています。なぜ兵士は戦うのか、死ぬかも知れないのに。

この映画を見ればそれがわかるとは言いません。でも、この映画は私たちを見事に戦場に連れて行ってくれます。それはこの映画の見事な手法によるもの、その事も記事に書きました。

そして、戦場で私たちが目にする兵士たちの生の感情。そこから見て

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『トゥーマスト』は武器ではなく音楽で迫害と戦う。トゥアレグ族を知れただけでも見る価値があった。

『トゥーマスト』は武器ではなく音楽で迫害と戦う。トゥアレグ族を知れただけでも見る価値があった。

週末を挟んで2本ということで連投になりますが、お付き合いください。

1本目は、サハラ砂漠の遊牧民トゥアレグ族のロックバンド『トゥーマスト』のドキュメンタリー。

トゥアレグ族のことも、トゥーマストのことも知らなかったので、知れてよかったというのが何よりの感想。トゥアレグ族の人々は欧米によるアフリカの植民地化によって分断され、差別され、迫害されてきたという民族。

迫害と戦うためにリビアのカダフィ

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