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けがれた者達の歌 春雷

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春の季節に書いた 春の詩と物語の在り処
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#景色

蜘蛛

蜘蛛

遠くまで見渡せる

眺めの良い景色

心地よい風が吹く中に

視えぬ糸を飛ばす

絡め取るのは

華か 獲物か

錆色の空

錆色の空

地上に在る物は全て

暗色の景色

形も表情も

曖昧で

分かりにくいんだ

其の中に 僕も居て

少しずつ

色を変えてく

錆色の空に

記憶が呼び起こされ

思い出す

錆色の空に視える

僕の情景

黒い兎

黒い兎

陽が有る時は
影を跨ぐ様に
跳ねて行くんだ

影の中で
聞き耳を立てていて
聞こえる話に

口元に前足を当て
クスクス嗤う

もうすぐ
暗色の景色になるよ と

夕焼けの空を見て
長い耳を
風に揺らして

夜になるのを
待っているんだ

📌鳥籠の唄

鳥籠の鳥は
羽根が美しいと囀り唄う

唄を聞いた

黒兎は

美しい羽根を
欲しいと跳ねた

鳥は一際甲高い鳴き声上げた

鳥籠から
青い羽根が舞

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点と線

点と線

点で始まる

僕の立ち位置

線を弾く事で

風や水の音が流れ出る

長い線は

曲線になり景色を創りあげ

短い線は

パラパラと重なり言葉になるんだ

雲

空は白く
山は姿が無く霧雨が降っている

見える景色は
白く霞がかり
海は白い空色に
染まっている

鳥は雫を突っつく

全ての物が水濡れの色

此処はまる雲の中の町

春霞と狼

春霞と狼

深い深い森の中
木々や草花に覆われた
獣道を抜け
開けた高台から
見上げた景色は

空は青くなく
景色は春霞

全ての景色が
白く霞んでいたなら

今宵も霞んで
月も見えぬか?

我が赤い瞳を
其の月光で染める時を
此の場所で
独りで待って居るのだ

桜

枝に付いた蕾が
淡い色の一輪の花を咲かせた

そして、
また綻ぶ様に咲く

少しずつ
花が増え
淡い色の木々が
景色を桜色に染めていく

南からの風が
染井吉野を
眠りから醒ます様に
花を愛でながら
北へ向かう

春の草花

春の草花

春に美しい
草花が咲き
景色の彩りが変化する中
毒を持つ虫達が
花弁や若い芽から
食い尽くし
虫達が湧き増えていく

ポツポツと

ポツポツと

ポツポツと
雨粒が当たり始め
雨が降る予感と
薄暗くなり始めた景色に
人々の足取りも
自然と早くなる

朧月

朧月

陽が上がる前に
見えるは
雲に覆われた朧月

景色は薄く形が
見えるばかり

まだ
街も静けさの中にある