マガジンのカバー画像

けがれた者達の歌 夏陰

311
夏の季節に書いた 夏の詩と物語の在り処
運営しているクリエイター

記事一覧

暑さ       #藤丸₁₃

暑さ       #藤丸₁₃

暑さが占め
湿度の濃い感覚に

空気が流れ
風が吹く様子に
安堵する

ゲリラ豪雨

ゲリラ豪雨

地上の熱さに

気が狂った雲が

雷鳴で

地上を揺さぶり続ける

地響きの揺れを

風は我慢出来ず

風が

雲を掻き乱していく

乱された雲は

雨雲となって

豪雨を地上に

叩きつけるんだ

文字散乱

文字散乱

線の無い景色

白い表面

ひらがな

カタカナ?

重なる漢字

悪筆なまま散乱ね

此処に
意味を付ける僕

此処に
価値を無くす私

ザラつく書き跡
消えないインク
散らかる消しカス
歪む表面

僕は
悪筆を摘んでいく

私は
悪筆を無限に…

増殖させている

台風一過

台風一過

道路一面に

濡れた木の葉

折れた枝が散乱

強風に煽られた

木々や草花の

撓った姿は

嵐の名残

今見上げた空は

澄んだ青空

領域

領域

私は
君の領域内に
落ちていた
宛名の無い
花弁を透かして見て

多分
自分宛かな? と

不確かなまま拾って
ポケットに入れて行く

扉が開けば
足跡と言葉を残して
私は歩いて通る

私の痕跡を
残して行くんだ

颶風怪獣

颶風怪獣

青い空に
白い雲を流した後

灰色の雲を落とし

白と灰の
斑模様の空に染める

僕は
ゆっくりと
強風の足音を
響かせながら歩くんだ

鳴くのは
地上に付いてから

怒号は強風を巻き起こし
灰色の雲から
大雨を降らせるんだ

荒れた地上は
僕の足跡

路地裏

路地裏

煙草の煙と
甲高い笑い声

虚ろな眼の者
スマホだけ見てる顔
フードで顔を見せない者

歯のない
シンナー臭の者は
無表情で
捨て猫に餌を与えていて

黒い服の者が
缶を蹴って
邪魔をして笑う

冷めた目のスーツ姿は
足早に去って

クラクションの音と
エンジンの喧騒が
遠くに聴こえる

夜景

夜景

目に付く
アスファルトの黒い染み
壊れた看板と
汚れたシャッター

ビルの間から
夜空は僅かだけで

車の灯りが列を成す
ネオンの色が変わる

それ等を横目に
歩道橋まで走ったんだ

地上の灯りで
星は思った程
見えなくて

でも
月は其処にあって…

今 私の眼に映るのは

下弦の月なんだ

深い森の中で

深い森の中で

深い森の中で

樹々の間を
縫う様にある獣道は
水場へ続く道

蒸せる暑さの中
水を求め歩いて来たんだ

足元の木々の根は
苔蒸していて
水気の多い土が
足に付く

風が樹々の枝を
揺らす音が
子守唄の様で

樹洞で眠る者も
まだ
大人しくしている

深い森の中で②

川辺で
喉を潤した後

岩場で眠っていたみたいだ

空を見れば
陽が落ち始め

木々の陰の中から
黒く蠢く物達が
騷めき出した

もっとみる
冗談

冗談

癇癪を

起こすみたいに

感情を

君に打つけたら

良いのかしら?

なんて…

質の悪い冗談ね

悪鬼

悪鬼

其の
汚れた感情は
誰の為だ?

其の
醜い行為
何の為だ?

随分と
悪食が酷い

だが
欲望に忠実で

可愛いもんだろ

気分

気分

君が

私の言葉に

迷惑だろうと

困ろうと

言いたい事を言う

今は そう言う時
今は そう言う時期

数日は
そう言う気分ね

森の水妖

森の水妖

森の湖

森の奥の
何処かに有る湖は

夏場は
水草に覆われ
湖だと分かりにくい

森を知らぬ者は

其の湖に知らず
足を踏み入れ
落ちて行く

水底の
水妖の罠とは知らずに

水妖に
喰われるとは知らずに…

森の水妖②

水の中に
棲まう私の手には

鋭い爪

水の色に溶け込む様な
薄い青色だ

此の薄暗い
水の中に
長く居ては
外の事には興味があって

早く走る
足が無い私には

陸には心惹

もっとみる
雨粒

雨粒

青空から雨粒が
ポタポタ落ちて来る

熱いアスファルトに
落ちた雨跡は

直ぐに消えて

雨は
数粒当たるくらいで
止んでしまった

今日は
雨が降ると聞いたよ


青空を見る