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ただの自己啓発本と侮るなかれ!あらゆる悩み事に対応「迷いが消える決断思考」読書感想文

人生は毎日の選択からつくられています。
朝目覚めて、このまま布団の中で二度寝を決め込むか、意を決して起床するのか。今日はどんな服を着て出かけるのか。このプロジェクトはA案でいくのかB案でいくのか。どんな人と結婚して、どんな街で暮らしていくのか‥。

ある調査によると、私たちは1日のうちに約70回の選択をしているそうです。そしてそれらの選択肢が2択と仮定すると1日の終わりには1,180,591,620,717,411,303,424通りの違う私の人生があると言えます。

こんな天文的な数字を目の当たりにして、「もう選択するの疲れた!」と思ったそこのあなた!おススメの本があります。


本について

・タイトル:迷いが消える決断思考―最強意思決定ツール「ビジュアル・フューチャー」
・著者:新妻比佐志
・出版:フォレスト出版

読むのをおススメしたい人

・優柔不断な人
・仕事、人生、人間関係、、、色んな悩みがあって迷っている人

読むと学べること

・決断するためには「目的」が重要
・その「目的」を明確化するためのツール、「ビジュアル・フューチャー」の使い方
・そのほか「目的」を明確化するためのノウハウ

ただの意識高い系自己啓発本と侮るなかれ!

私はけっこう優柔不断です。
いや、そこまで真剣に悩んでいるわけではないのですが、折に触れて「私は優柔不断かもなぁ」と思う時があり、心の隅っこに優柔不断が潜んでいます。
そんな潜在意識がそうさせたのでしょうか、図書館でなんとなく本棚を眺めていた時、気づいたらこの本を手に取っていました。

しかし、、、黒背景に白文字の超真面目そうな雰囲気、副題にはなんだかよくわからない横文字。著者紹介をチラ見すれば、謎の国際組織「MENSA」の日本支部長と書かれている‥!
よくありがちな、意識高い系で説教臭い系の自己啓発本だろうなと思いつつも、そのまま図書館のベンチで斜め読みを始めたのですが、予想に反して書かれていることが簡潔でわかりやすく、的を得ていました。

読者の知りたいことや答えを、具体例を交えながらすぐに提示してくれている点も、非常に読みやすかったです。「まさに自分が求めていたもの!」感が強かったので、あっという間に読了しました。

決断できる人には「目的」がある

「目的」があるということは、自分のなかに「ものさし」があって、「こういう場合は〇〇の行動に出る」というようなパターン分けがすぐにできる状態にあるということです。
仕事で例えたら、業務マニュアルや社内ルールが用意され、それに従って業務をするだけ、のような状態です。

最強意思決定ツール!「ビジュアル・フューチャー」!

必殺技みたいに書きましたが、これは結構目からうろこでした。

↓に、図を描いてみましたが、「目的」を明確化して決断するための方法が「ビジュアル・フューチャー」(以下、VFと記載します)です。
あらゆる行動は、自分の決めた「目的」に向かって判断することができます。逆に、今の行動はいったい何のためにやっているのか、この図を使って遡って考えることもできます。

↓の図は、「働く」という行動を例に、それに対して具体的に何を得たいのかという目標、そして最終的にどうなりたいのか、つまり何が目的で働いているのか、というのをVFに表したものです。
繰り返しになりますが、あらゆる決断は、自分の決めた目的を実現するための目標を定め、その目標を達成するために行動を起こす、という流れに落とし込むことができます。そして逆に今の言動について深堀して考える際、この行動の目標は何か、その根本的な目的は何か、と考えることもできます。

さらにその下に描いたのは、社畜の場合そのVFが破綻してしまって、目的・目標・行動すべてが「働く」になってしまっていたり、目的が自分本位のものではなく他人軸に沿った、本来とは異なるものになってしまっている図を表しています。

就職活動や、働くことについて考える際、とても役立つと思いましたし、仕事だけでなく本当に色んなことに仕えるフォーマットだと思いました。
実際、本の中ではこのVFを使って色んな事例を説明してくれていて、理解するうえでも非常に落とし込みやすくなっていました。

「目的」があると、決断を失敗しない

自分で決めた、絶対に叶えたい揺るぎない「目的」があってそれを充足できさえすれば、自分の決断に後悔することがない、つまり決断を失敗しない、と言えます。「自分軸」みたいなものです。

想像してください、今あなたは就職活動中です。
おめでたいことに、2社から内定をもらいました。

A社:
創業100年の老舗有名食品メーカー。社員同士のコミュニケーションは濃密。年功序列で年功序列で昇給していく。残業時間は月10時間程度。
B社:
創業3年のITベンチャー企業。テレワーク中心で、業務外での社内コミュニケーションは希薄。業績を上げた分だけインセンティブがもらえ、昇給する一方、成果を出せなければクビになることも。残業時間は月100時間程度。

どちらの会社に入社すべきでしょうか。もしあなたの「目的」、就活でよく耳にする「就活の軸」のようなものが、「とにかく安定して働きたい」であれば、A社を選択すると思います。そして仮に入社数年後、偶然にもB社に入社した友人がバリバリ業績を上げて大金を稼いでいる姿を見ても、後悔はしないでしょう。という理論ですね。

wantsではなくneedsを把握する

上記の例、自分で考えたのですが、ちょっとしっくりこないところもあります。
「『安定』さえ保てればどこでも良いわけじゃないだろう」とか、「働いていくうちに、『安定』よりも大事なものに気づいた」とか、「やはり大金を稼ぎたくなった」とかとか生きていると色々あると思います。
では、「安定して働く」という目的を果たせているのに、なぜ「もっと稼ぎたい」と思うのか。

それはそこにwantsとneedsが入り混じっているからです。

「安定して働きたい」というのは、A社に入社前のあなたにとっての絶対的な目的、この本で言うところのneedsです。一方で、B社の条件やB社で働く友人を見て、「大金を稼ぎたいかも」などと思うのは、すべて目の前に見えているものに対する、相対的な欲望、wantsです。

「他人の芝生は青い」というのも、このwantsが原因なのではないかと思います。友人が持っている高級ブランドのバッグが羨ましいから自分も欲しくなるとか。
本来自分がカバンに求めている価値判断基準が、友人への羨ましさ、wantsというノイズによってブレてしまっています。

目的を明確化させるための3つのキーワード

とは言っても!いきなり言われても!
他人が持っているものは良く見えるし、揺るぎない絶対的な目的を決めるのって難しいし、wantsによって自分の意志はブレまくるし、どんな選択をしても後悔しない自信なんて無いよ。って正直思ってます。

そこで、この本で書かれている、目的を明確化するための4つの方法を紹介します。

「なぜ?」を繰り返す

これはよく会社の研修とか、色んな自己啓発本で耳にする言葉ですね。

私も以前の職場で、プロジェクトが行き詰った際、上司に必ず言われたこと、それは、「なぜなぜなぜを繰り返して、このプロジェクトの真の目的、我々が成し遂げたいことを深堀りして考える」でした。
ひとつな大きなプロジェクトでも、目の前の細かなタスクに追われていると、「いったいこのプロジェクトって何のためにやってるんだっけ?」と迷子になることが多々あり、それゆえに、プロジェクトが思い通りに進まないことがよくありました。その際にふと立ち止まって「なぜ?」を繰り返すということをよくしていました。

自分にはなぜこの行動が必要なのか?どうしてそうなりたいのか?を深堀して考えを深めていくことで、ではいつまでに何をすべきか、誰と何をやるべきか、など、自分がすべき「行動」や達成すべき「目標」そして、自分の言動の奥底にある本質的な「目的」にアクセスすることができます。

障壁を取り払って「すべてが手に入ったら」と考える

私が自分の人生について悩んでいた頃に出会ったあるキャリアカウンセラーの方に、同じことを言われたことがありました。

「いったい自分は将来何をしたいのか、どうなりたいのかわかない」と、将来の姿を考えられないのは、「自分には能力が無いから・・・」「お金が無いから・・・」という言い訳が、自分のやりたいことを考えることを妨げているのだと。
これらの障壁をまず先に考えてしまうのではなく、やりたいことをまず最初に考え(その過程でも「なぜ?」で深堀する)、ではその障壁をどのように外していけばよいのか、というように考えていく。

これは自分の殻を破って自由に考えるために有効な思考法で、これにより「本当にやりたいこと」=「目的」に気づくこともできます。

自分の能力と逆の能力を使う

上記の「なぜ?」を繰り返すというのは、自分の考えや言動に対するものですが、その「なぜ?」を周りの人に向ける、つまり逆の立場に立って考えることで、あらゆる問題解決がスムーズになる、とこの本では書かれています。
ちょっとしたいがみ合いから戦争まで、あらゆる対立は意見の衝突、相手への理解不足から生まれます。「なぜこの人はそのような意見なのか?」を、お互いに考えられるようになることで、単なるケンカではなく、よりレベルの高い深い議論に昇華させることができます。

この方法をさらに発展させたのが、「自分の持つ能力と逆の能力を使う」です。
例えば、計画してばかりで一向に行動に移せない人は、考えるより先に動いてみる。批判ばかりしている人は、自分で代替案を考えてみる、など。自分のいつもの言動パターンの中で考え、行動するということは、目先の問題に捉われて、本来の「目的」を見失っていることだからです。

またまた卑近な例になってしまいますが、私は優柔不断なのもあって、行動する前に様々なリスクを考えてしまって結局行動しない、「石橋を叩いて渡らない」タイプです。
いつまでも行動しないと、いつまでも前に進まずに進歩が無い。そう思って、自分にとってはまだ思考不十分でも、こうやって記事を書いて言葉にしてみたり、行動に移すようになりました。
それでもまだ普通の人よりもゆっくりな行動かもしれませんし、自分でも進歩している感は全くないのですが、なんとなく、「ちょっと前よりは変われたかもしれない」という小さな変化は感じつつあります。

さいごに

(失礼ながら)あまり期待せず読んだのですが、思いがけず、共感や学びが多く、大変参考になった本でした。
同じように「決断できないこと」にお悩みの方、人生に迷いがある方のご参考になれば幸いです。


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