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#234 変わる部活、変えたい部活、変わらない部活

「部活動の地域移行」は、教員の働き方改革における大きなトピックの1つ。

もともと、「部活動」は学校教育の中に組み込まれたものではなく、あくまで自分たちで楽しむための「レジャー」として誕生したものでした。

部活動は、様々な歴史の変遷や教育意図を経て、現在の形になっています。

文化庁は「文化部活動の在り方に関する総合的なガイドライン)」の中で

https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/kondankaito/bunkakatsudo_guideline/h30_1227/pdf/r1412126_01.pdf

生徒にとって望ましい部活動の実施環境を構築するという観点に立ち、化
部活動が以下の点を重視して、地域、学校、分野、活動目的等に応じた多様な形で最適に実施されることを目指す。
 知・徳・体のバランスのとれた「生きる力」を育む、「日本型学校教育」の
意義を踏まえ、生涯にわたって学び、芸術文化等の活動に親しみ、多様な表現や鑑賞の活動を通して、豊かな心や創造性の涵養を目指した教育の充実に努めるとともに、バランスの取れた心身の成長と学校生活を送ることができるようにすること。
 生徒の自主的、自発的な参加により行われ、学校教育の一環として教育課程
との関連を図り、合理的でかつ効率的・効果的に取り組むこととし、各学校においては、生徒の自主性・自発性を尊重し、部活動への参加を義務づけたり、活動を強制したりすることがないよう、留意すること。
学校全体として文化部活動を含む部活動の指導・運営に係る体制を構築する
こと。
文化部活動の多様性に留意し、可能な限り、生徒の多様なニーズに応じた活
動が行われるよう、実施形態などの工夫を図ること。

と望ましい部活動の在り方を定義しています。

しかしながら、従来的な部活動の在り方には「歪さ」が存在し、さらにそこに資本主義の要素が加わり、スポーツの種類ごとにそのありようも様々。

スポーツを学校の「特色=商品」として宣伝している学校にとっては、その学校自体が、部活自体が学校の「資本」であり、クラブチームとしての機能をになっているわけですから、当然部活動の地域移行なんてもっての他。

公教育が部活動を「プロスポーツの発展の基盤」と捉えるのか、「スポーツを通じて楽しく健康的に人生を楽しむ基盤」と捉えるのかで、そのありようは全然変わる。

新潟県村上市の神林中学校のバスケットボール部の活動は平日に2日のみ。さらに、今年度から中学校として大会には出場しないと言います。

生徒たちは週2回の部活とは別に、地域のクラブチームに参加し、大会などに参加しています。

私も教員時代は、運動部顧問を担当していました。部員は非常に練習熱心だし、私が学生時代に経験したスポーツだったということもあって、その空間はある意味では楽しいものでした。一方、熱心になればなるほど、物理的な忙しさは、異常な形になっていきます。知らぬところで自分の心の余裕がなくなり、そしてそのこと自体に気づかない自分がいる。

部活動の問題の深さは、政府の鶴の一声で、解決するようなそんな甘いもんではありません。制度が整えられたとしても、その制度の意図や目的に反発する思想や立場があるからです。

それでも、制度が整えられることで、救われる人たち(それは児童・生徒も保護者も教員も)が少なからずいることもまた事実。

部活動の意義を社会全体で見直すことが求められています。


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