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青春の三日間 第1話「一日目」

主な登場人物

彩羽みどりいろはみどり 小学6年生、明るくて元気。親友は佐々木すみれちゃん。

佐々木すみれささきすみれ 小学6年生、ちょっぴり毒舌、みどりの親友。

竹川徹たけがわとおる 小学6年生、誰にでも優しく面白い、みどりの好きな人

「好きな人」

 好きな人ができた。誰にでも優しくて、面白くて、ちょっとだけかっこいいあの人。
 もし、付き合えたら何をしよう?ショッピング?遊園地?それともクラスの他のカップルを誘ってダブルデートとか!

「みどり〜!起きてる?もう授業終わったよ。休み時間だよ!」
 この声は、すみれちゃんか!佐々木すみれささきすみれ、すみれちゃんは私と同じ小学6年生。小学五年生の時に転校してきた私と1番仲良くしてくれている。
「わあ、すみれちゃん!ごめん、ごめん。ちょっと考え事してた。」
「考え事って〜?もしかしてみどり、好きな人できたの?」
 自分の顔が赤くなるのを感じた。これじゃあすみれちゃんにバレちゃう!
「え、もしかしてあたり?好きな人!できたの!」
 すみれちゃんがとっても大きな声で叫んだ。
「しー!大きな声で言わないで!」
 私はできる限りの落ち着きを取り戻し、注意したけど、すみれちゃんは聞いてもいない。
「え〜!そうなの?誰、だれ?もしかして竹川徹たけがわとおる?」
「は、はい。そ、そうです、、」
 すみれちゃんってエスパーかなんかなの?それとも私の脳内を読み取ってる?
「ふふふ、そうだと思った。だってみどりって分かりやすいんだもん!」

 私にとってこの何気ない時間が幸せ。中学生になったら進路が分かれてバラバラになってしまうかもしれない。だから小学校生活の1日1日を大切にする!

キーンコーンカーンコーン

「あっ、チャイムなったね!席、戻ろっか!」
 私がすみれちゃんに話しかける。
「うん!帰りにまた教えてね、」
 すみれちゃんは私の耳元に近寄って言った。
「好きな人のこと。」

「家庭科」

 6時間目。家庭科室に行くために男女1列ずつで背の順で並んで、廊下を歩く。歩いている途中、ふと横を向くと竹川くんが近くを歩いていた女の子と楽しそうに話していた。
 なんか、やだな。私ももっと話したい。でも、機会がない。どうしたらいいのかな?

 モヤモヤした気持ちのまま家庭科室に着いた。
 あっ、そういえば今日家庭科の席替えの日だ!今度はすみれちゃんと同じ班になれるかな?
 私はうきうきした気持ちのまま、席のくじを引いて、すみれちゃんのところへ行った。
「ねえ、ねえ、すみれちゃんは何番だった?」
「お、みどり!私はね、4番!みどりは?」
「私は5番!ってことは、」
 私がそういった瞬間、家庭科の先生が席の番号表を黒板に張り出した。
「やった~!すみれちゃん、同じ班だよ!わ~い!」
「ちょっと、みどり、猿みたいだよ。」
 興奮している私にすみれちゃんそれだけ言いは冷たい目線を残して、さっさとテーブルの方へ行ってしまった。忘れてた、すみれちゃん、ちょっと毒舌なんだった。

 あれ?そういえば、よく考えなかったけど席替えがあるってことは、竹川くんと同じ班になれる可能性もあるってことだ。すみれちゃんと同じ班になれたから欲張りはしたくないけど、今日だけはお願い!神様、どうか私と竹川くんの席も近くにしてください!

「ちょっと彩羽さん、何ぼーっと立ってるんですか?周りの生徒はみんな座ってますよ!ほら、早く座りなさ~い!」
 わ~、恥ずかしい!みんなに笑われちゃってる。早く座らなきゃ。

 急いで席に着くとすみれちゃんと竹川くんが二人で喋っていた。
 え!これ、夢じゃないよね?うん、夢じゃないはず。神様が願い事を叶えてくれたんだ!

「みなさ~ん、今日は次の調理実習で使う材料の分量を計算してもらいます。教科書に載ってる1人分の分量を参考にしてくださいね。それでは始めましょう!」
 家庭科の先生がそう言ったとたん、みんなの話声がし始めた。
「よし、俺らも始めるか。まったく、算数の授業じゃないんだから分量ぐらい先生が計算すればいいのに、な、みどり。」
「う、うん。そうだよね。」
 急に名前を呼ぶなんて反則だよ。びっくりして声が高くなっちゃったかも。
「まったく、こんな計算ぐらい簡単にできるじゃん。もうさっさと終わらせよ。」
 相変わらず、すみれちゃんはクールだな。

続く、、、

次回をお楽しみに~♪
 

 

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