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シュッピン (3179) 2020年6月 高級商材の2次流通ビジネスモデルを見習いたい

2次流通の中古販売のビジネスモデルでとても良い会社を発見。なんだこの会社は!?と思い調べてみたら、Mapcameraを運営の会社さんだった。ECで中古/高級一眼カメラ/高級万年筆/高級時計を中古販売する会社で、なんと粗利が18%。

その背景には2次流通×価格最適化AIを利用し、高単価商材(配送費対価格が高いので、マーケ費用も投資対効果が高い)販売で、ということで、強いビジネスモデルを有している。

以下分析をまとめていく。

シュッピン(3179)会社資料

シュッピン(3179)会社概要

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シュッピン(3179)数値ファクト

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毎年純増しており、現在は4事業で構成。何も高級商材。

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自分が一番目を疑ったのがこのキャッシュフローの推移。今年になっていきなりキャッシュが35億円と現金がド安定のポジションになっている。

おそらくこの現金を利用して新規事業や M & A を加速してくるに違いないと踏んでいる。在庫が54億円分あることから、このキャッシュコンバージョンを早くすることも肝。

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シュッピン(3179)の類似企業比較

ZOZOTOWN と比較するとコクだが、類似ビジネスのコメ兵と比べてみると、売上高はコメ兵の方が高いのに比べて、シュッピンの方が時価総額が高いことがわかる。これがビジネスモデルの差だと思われる。

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シュッピン(3179)のユーザー

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特に30代から40代の会員が多くリーズナブルに高級な商品を中古で購入したいそうなここに当てはまるだろう。

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シュッピン(3179)の市場規模

2次流通のマーケットだが意外と大きいことに驚き。高級一眼カメラの市場よりも時計の市場規模がとても大きい。男女共に使うことに加えてアンティークやレア物などがあるせいだろう。

また1製品の単価が高いことに加え、時計なので「送付時の箱の容積」が小さいため、価格対送料も比率が高いことが功を奏している。(実はECやD2Cビジネスの肝はこれだ。送料と比較し、商材の単価が高い方が儲かる。さらに言えば、小さな物で単価が高いものが最強だ。内緒だよ。)

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シュッピン(3179)の決算

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粗利が18%と高く営業利益も5ー6%台。これは2次流通・物販ビジネスで、店舗流通を実施しているためこの程度だろう。

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売上高も約350億円と規模は大きく、年間通すと、約17億円が余るビジネスのようだ。

シュッピン(3179)のチャネル

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チャネルはほとんどが EC 販売で、店舗は2、3割程度。さらにそれよりも低く免税での売上げがたっている。

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新品対中古の比率を見ると、中古の方がやや多い程度で、新品も販売実績があるため信頼されている事業と伺える、新品・中古ともにアフターサービスが良いのだろう。EC最強のAmazonと差別化するなら超重要これだ。

ジャパネット高田もCSが素晴らしい。余談だが、2代目高田氏は、商材を絞り、アフターサービスを充実して、創業者超引退後も、V字回復させている。お見事!(ジャパネット売上高↓)

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一眼カメラを購入する際に、実際にマップカメラを使ったことがあるが、私もお気に入りの店です。マップカメラは信頼があると感じています。これがEC 販売をする際もポイントでしょうね。

新品対中古の比率を売上高で見ると、中古の方が店舗で売れているように見受けられる。これは中古品のため店舗で実際のものを確認して購入したいユーザーの意図が汲み取れる。なるほど、二次流通を事業を運営する場合には店舗が必須であることはこのチャートから伺える。

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下記からもわかるように、売上全体に占める中古品比率の推移が右肩上がりなので、新品よりも中古販売比率が増えていることが分かる。

YouTuber 、インスタグラマーも増えて、カメラメーカーが様々な高級一眼カメラを販売していることから、さらに中古の2次流通事業は伸びるだろう。

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シュッピン(3179)の事業ポートフォリオ

出品の事業ポートフォリオを見ると、4事業ともセグメント利益が、前年同期比で増加していることが分かる。要因としては、AIによる価格最適化技術での、粗利改善が見受けられる。

カメラと時計が、事業の大半を占めるが、高級万年筆や自転車も今後伸びていくだろう。特に万年筆は日本の高級文房具ブランドのイメージがあるため期待したいところだ。

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シュッピン(3179)の強み

シュッピンは2次流通とEC 販売を軸とした、店舗での中古販売や、越境 ECを強みとして持っているため、さらに成長を加速させるエンジンが必要だ。

成長を加速するために、コストが膨らむ三つの部分にテコ入れする仕組みを導入予定の様だ。

上記でも述べた

1: AI を利用したリアルタイムでの中古品販売・買取価格のお知らせや、

2:自宅にいながらも店舗にいるかのような体験を提供し、ネットでも高級な中古品を購入できるような店舗と EC の融合

3:ECとコンシューマのアクティブユーザーとの接点を構築して、さらにダイレクトに商品を販売していく

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これが軌道に乗ってくれば、4事業のポートフォリオとテクノロジーを利用して、さらに強いビジネスモデルになりそうだ。

シュッピン(3179)の課題

EC 販売、中古の2次流通、高級商材特化、越境ECで勝負しているシュッピンは、流通業を実施する上では、かなり事業最適化されている。

一方で、サブスクリプションのような、累積して利益増蓄するような仕組みを持っていないことが欠点だ。

カメラや時計という高級食材を中心に事業展開しているため、マニアックな情報を知っている専門販売員のYouTube やメルマガなど、課金対象になりそうなコンテンツを適宜提供し、サブスクモデルに移行することが急務となるだろう。その為には超ニッチなWEBサイトやメディア運営をしている会社提携、買収をしてPVを稼ぐ方法もある。

有名編集者を引っ張ってくるか、Youtube再生数を稼げる様な手法にも注視していきたい。マニアックとインターネットは元来相性が良いのである。

まとめ

シュッピン(3179)の事業を分析した結果、流通業をやっている企業にしてはとても最適化され現代のトレンドをいち早くつかんでいることが見受けられたのでとても良いベンチマークであると思います。

ここにテクノロジーが実装されて、SNS を利用したマーケティング及び、D2C(ダイレクトトゥコンシューマー)の対策が加速していくと、さらに事業が盤石なものになるだろう。

期待としては、自社製品の開発をクラウドファンディングなどを実施して低コストにマニアックな商品かつ高級な商材を既存の顧客に届けることで利益率を高めてもらいたい。







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