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きのう食べてみた庭のサクランボ、きょうも食べようかなと思って様子を見てみたら、赤くなっ…

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きのう食べてみた庭のサクランボ、きょうも食べようかなと思って様子を見てみたら、赤くなった実はほとんど鳥たちが食べていました。あんなに雨が降っていたのに、綿毛は散ることもなくフワフワのまま。

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  • ingot890

    海辺の青い車。

記事一覧

遊星

知らずに光る 人の眼を 逃れて飛んだ 瞳から流れる見えない尾が触れて 雨になる その前に刈り取って、瑞々しいまま 横たわる永遠の 息継ぎに付き合っていた、ここには い…

ingot
19時間前
22

回廊

視界の隅で贈る 赤い気配に 映した、夏の葉が満ちてゆく ガラスの回廊と蜃気楼、おなじ時を 生きていたことでもあるみたいに 息を潜めて、響かせていた 蜜蜂の 翅音が消え…

ingot
4日前
41

霧笛

ひとつ光る 鏡の 裏に隠しておいた 表情を撫でるように開いたカーテン、 誰かの手で一瞬のうちに消してしまえるものに 寿命より永い時をゆく願いを書き連ねて、 詩と呼んだ…

ingot
9日前
38

影送

人影は見えない 黄昏から逸らせなかった眼差しがひとつ光る、 君からは見えない 君を愛した燃える花びらに包まれて 瞳の底で 大きく開いた手のひらに降りて行く 言葉で、読…

ingot
12日前
40

白妙

詩人になる 巡り巡って、 丸い街灯に 散った飛沫は光にも、雫にも、火の粉にも、 花弁にもなるいのち、石造りの博物館が青白く 闇へ伸びて行く街角で、あなたに 束ねられた…

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2週間前
35

新月

この海に降る 言葉の 手前に宿る 誰にも救えない 夜のことを 救おうと動き出した雲の流れをあざむいた 星の光だけを浴びている 数千万本の菜の花を想像してる 君の想う…

ingot
3週間前
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陽海

春のことも 想って、高く 掲げた手から零れたものが最後まで 片方の手に 握られていた種に降る雨と共に流れる、きょう 選んだ言葉の さびしさに触れた その眼で、あした描…

ingot
4週間前
38

飛花

伝う雨 今日も、 私以外の 感性が うずくまる心音に流れて、薔薇の庭で生まれる 畳まれた翅の 音が、 開く前に薄い表皮のどこかに綺麗な 光を見つけて破った 雨を 確かめ…

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1か月前
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冬桜

受け取っていた 降り積もる雪が 髪で 溶けてゆくまでの時間に 美しくあるために振り払ってきた 手の 表情は、 書かなくなった言葉の前で滲んで、 望まれているものを あ…

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1か月前
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葉隠

気づいた日から 気づかないふりを続けてきた 離れ離れの空を、一片ずつ集めて 貼り合わせた葉っぱが 光っていた、 どこかで滲んで、枯れて行くときも 葉脈を挟んだ隣り合わ…

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1か月前
34

水域

両手をひらいて 辿った、 消えた無数の傷口から、 小さく 聞こえてくる沈黙は ふるえて、罪のない 言葉が僕の後ろに立っている、 階段をのぼる足を止めて、呼吸を 預けて、…

ingot
1か月前
39

銀葉

染める灰 香りを 乗せて、今日も 海沿いの 街に春の 雪が降ったと聞きました、 遠い 希望のように凍らせて花束 砕けた花びらを溶けるまで抱いた 胸に散る色を きれいだ…

ingot
1か月前
33

光風

見なくてもいいと うなずいた 視線の先に 映る 僕だったものたち 指の腹を鉛色に染めて めくるページ 夕焼けを 突き上げて 膨らんでいく背中、黒く燃えて ほどける指先…

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2か月前
40

花瓶

信じる 音に 任せた身体は ここにいるのに もういない、 歪められた 地図に降る小さなピンを はじいて、 名前のない薔薇の庭に着いた、誰にも 告げずに 描いた花を切り抜い…

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2か月前
35

気球

鳴いて 沈黙が 飛び立とうとする、きのう はぐれた手が 残した 花びらを思い出したように追って まだ 冷たい 太陽に溶けだした 美しい細工に 染まる両手を開くと、触れて…

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2か月前
34

雪客

鉄を叩く 夜の薫り 遠く 注がれて、 焼かれた書物のゴーストが動く 触れないことでしか守れなかったものを 触れながら知る、 両手で真似る 羽や獣になれる影 望んで…

ingot
2か月前
35

遊星

知らずに光る 人の眼を 逃れて飛んだ 瞳から流れる見えない尾が触れて 雨になる その前に刈り取って、瑞々しいまま 横たわる永遠の 息継ぎに付き合っていた、ここには いないものばかりに 話したくなる日、 リングの綻びから伸びてゆくように 飛び立った行方知れずの翅音が どこかで描いている、光る環は君の指で 回り続けて、また ほどける 終わりから 聞こえてくる歌に目覚めて、顔を上げた 花を差し出すように 手向けた眼差しが、僕の 背中に触れている 向日葵のまばたき

回廊

視界の隅で贈る 赤い気配に 映した、夏の葉が満ちてゆく ガラスの回廊と蜃気楼、おなじ時を 生きていたことでもあるみたいに 息を潜めて、響かせていた 蜜蜂の 翅音が消えた空、 飛び交う軌道を 走るイバラが悼む造花の棘、 青い鱗粉が光るワンピースを選んで 旅立つ雨の日、バスターミナルを 行き交う人影の中で 愛されるために避けてきた波紋を 壁にもたれて待っていた、燃えて刻まれた 動線の奥、 誰の隣にも座らなかった私を今日、連れて 巡る、窓の向こうからも 降り注ぐ、生きた 雨音に触れ

霧笛

ひとつ光る 鏡の 裏に隠しておいた 表情を撫でるように開いたカーテン、 誰かの手で一瞬のうちに消してしまえるものに 寿命より永い時をゆく願いを書き連ねて、 詩と呼んだものは、自動で更新され、 どうせ偽物なんでしょう、と もう誰も言わなくなる頃に、 飛沫のような 影を合図に差し替えてきたフィルムの端から 燃えてゆがみはじめる 景色の中で、 知らずに壊されてきた信頼の灰に 立っている きみの、世界は まだ壊れていないと歌っていた、声を 照らしている、静かな 眼が追いかける 逃れら

影送

人影は見えない 黄昏から逸らせなかった眼差しがひとつ光る、 君からは見えない 君を愛した燃える花びらに包まれて 瞳の底で 大きく開いた手のひらに降りて行く 言葉で、読み聞かせるように並んで 導いてきた軌道が砂と夜に 吹かれている、音を聞きながら 護ってきた時間の中で 詩になる、 今日の 寝息たちを見つめて、永遠と 永遠の狭間に漕ぎ出した燃える花、 掬い上げた手の ゆれる影がきれい、 残された手札に愛が並んでいた頃の 影絵を 映した空にも今 とどいている眼差しが ひとつ光る

白妙

詩人になる 巡り巡って、 丸い街灯に 散った飛沫は光にも、雫にも、火の粉にも、 花弁にもなるいのち、石造りの博物館が青白く 闇へ伸びて行く街角で、あなたに 束ねられた夜を言い訳にして書かなかった 言葉も、 書いた言葉も、 どこかの 画面や、だれかの手の中では 見えなくなる、 空白の、行間の 白に散った 白みたい、本当は、本当に なにもなかったかのように 記された夜の 刻まれた起伏、飛沫の凹凸から 流れるように引き抜いた 燃える羽の白、永遠に 生きるような視点で話していた日が

新月

この海に降る 言葉の 手前に宿る 誰にも救えない 夜のことを 救おうと動き出した雲の流れをあざむいた 星の光だけを浴びている 数千万本の菜の花を想像してる 君の想う幸せにも 苦痛を見るかもしれない誰かが ちゃんとこの 世界には居るということを時々 忘れて固まる視点が散る、季節を 新しい葉の 破る空間に 忘れて来たのは わざとだったのか もう分からない、半分 認めたような逃げを 浮かべて丸い闇のかたちを溶いた 詩人になる

陽海

春のことも 想って、高く 掲げた手から零れたものが最後まで 片方の手に 握られていた種に降る雨と共に流れる、きょう 選んだ言葉の さびしさに触れた その眼で、あした描くことになる 花が 寝息を立てている、 満たすための夜を両翼にうずめて、 滅びた言葉が包み込んでいた、人の 痕跡に耳をあてている、ここに生きた人の 思い描いた人は、人だったのか、 目的を 伏せて乗り込んでいる、同じ言葉に、 人に、 立ち止まる、幻の風が 擦り抜けて、 集まろうとする光の、一点が 希望のように見える

飛花

伝う雨 今日も、 私以外の 感性が うずくまる心音に流れて、薔薇の庭で生まれる 畳まれた翅の 音が、 開く前に薄い表皮のどこかに綺麗な 光を見つけて破った 雨を 確かめたくてカーテンを開ける、自分の 選ぶ言葉に沈んだ 見えない光、 砂のベールを抜けて 春の 花から戻った翅の音が六角の窓で結ぶ、夢を 現実と呼んで、 どうしようもなく 静まり返った世界の呼び名は なにも決めずにいる 君が哀れむ幸せに 呑まれて、 名を変えた全ての さびしさを今夜 孵しに行くとして、落ち合え

冬桜

受け取っていた 降り積もる雪が 髪で 溶けてゆくまでの時間に 美しくあるために振り払ってきた 手の 表情は、 書かなくなった言葉の前で滲んで、 望まれているものを あげられない日に、消えて、 よろこんでくれることを探していた、 本当のことを 告げる前の空 打ち消してきた、瞬間の まばたきが、光を浴びて散る 花びらを追うように つないできた言葉は、結ぶ間もなく新たに 届く街灯の光に燃え立つ、赤く、開いた雲の 絶え間から 姿をほどいて ここに 降る 手から手へ、 渡さ

葉隠

気づいた日から 気づかないふりを続けてきた 離れ離れの空を、一片ずつ集めて 貼り合わせた葉っぱが 光っていた、 どこかで滲んで、枯れて行くときも 葉脈を挟んだ隣り合わせの 空に 広げた言葉は、 瑞々しく過ぎて行く心をここに 映していてください、と 見え隠れして、開く一瞬、 一瞬の顔が重なる、きのうの誰か、 あしたの 君がポツリ ポツリと木の下に ゆれる 影の中で見せる、春のことを 少しだけ想う顔、 温度を保つためだという、 開かなかった片方の扉が開いて、終わる季節、 静かに燃

水域

両手をひらいて 辿った、 消えた無数の傷口から、 小さく 聞こえてくる沈黙は ふるえて、罪のない 言葉が僕の後ろに立っている、 階段をのぼる足を止めて、呼吸を 預けて、 読んでみる、いつか指に散った 流れ落ちて行く現実、あなたの手が 割った歪な 断面の夜に、まだ 言葉にできる痛みが ひとつひとつ生きて 深く流れる静脈が運ぶ、帰って来る、見上げる 頂上に 鼓動が響いて、なにもなかったかのように 閉じた約束が今日 燃えている、雨も 夢も 舞い上げて 切り込む、 忘れられた水の間に

銀葉

染める灰 香りを 乗せて、今日も 海沿いの 街に春の 雪が降ったと聞きました、 遠い 希望のように凍らせて花束 砕けた花びらを溶けるまで抱いた 胸に散る色を きれいだと言う、人も 傷つけられると知っている 君の血は、 背を向けてインクの においが消えないページをめくり続けた あの夜たちが 大切なものだったと まだ知らない手の中で反射して 届く、今日の僕は泣いた こちらでは 小さな蜂たちがサクラの蜜を集めています 鴨たちの間では、池の岸から 真っすぐに泳ぐレース

光風

見なくてもいいと うなずいた 視線の先に 映る 僕だったものたち 指の腹を鉛色に染めて めくるページ 夕焼けを 突き上げて 膨らんでいく背中、黒く燃えて ほどける指先ではもう 拾い上げることのできない贈り物に まだ触れていたい、 絶えず 生まれ続けて 忘れられていく祈りの外に 囲い込まれた僕を、逃がしに行くとき 春の風に紛れて贈る、火が 星ひとつない夜に 間に合いますように、 探すのをやめた接ぎ穂が 散らばった廊下に射す 光が伸びてくる また人間を 数えようとして

花瓶

信じる 音に 任せた身体は ここにいるのに もういない、 歪められた 地図に降る小さなピンを はじいて、 名前のない薔薇の庭に着いた、誰にも 告げずに 描いた花を切り抜いて、 咲きたかった場所へ 連れて行く 長い車窓の夢、 咳き込んだ 赤い命を見つめたまま、 不自然に書き換えた場所を通るたびに想う、 強くなろうとした日のことを、永遠に 消えたニュアンスを宿して、醜いものと 共に枯れてしまわないように、無意識に 庇っている美しい手、切り離せないと 知っている瞳が、同じ場所から吸

気球

鳴いて 沈黙が 飛び立とうとする、きのう はぐれた手が 残した 花びらを思い出したように追って まだ 冷たい 太陽に溶けだした 美しい細工に 染まる両手を開くと、触れてもいない 真実や表情や背後の影まで映り込んで、流れる 赤いスピードをグッと 握り締める、銀の結晶が水底へ沈むように やさしい やさしい化けの皮を剥いで 剥いで 引き剥がしてきた 崩れそうな瞳を 舞い上げる、 落ち合う経路を隠していた 名もなき ともの 短い歌 ひとつ、 低い音から 高く飛んで、 閉じた 眼に

雪客

鉄を叩く 夜の薫り 遠く 注がれて、 焼かれた書物のゴーストが動く 触れないことでしか守れなかったものを 触れながら知る、 両手で真似る 羽や獣になれる影 望んでも 終わらなかった夜、 救いたくて開いた 扉の先に 本当の顔をみつけても、歩いて なにをつないで ここまで来たの 知られぬように 時を舞う 灰、 閉ざされた日々の 奥に憩う、 水の音が燃えて誘う 苦しみにも 届かなかった 言葉から生まれて、誰も 見ていない場所に 着いた、君の肩に降る 自分を抱