見出し画像

雪客



鉄を叩く 夜の薫り
遠く
注がれて、
焼かれた書物のゴーストが動く
 
触れないことでしか守れなかったものを
触れながら知る、
両手で真似る
 
羽や獣になれる影
 
望んでも
終わらなかった夜、
救いたくて開いた
扉の先に
本当の顔をみつけても、歩いて
なにをつないで
ここまで来たの
 
知られぬように
時を舞う
灰、
閉ざされた日々の
奥に憩う、
水の音が燃えて誘う
 
苦しみにも
届かなかった
言葉から生まれて、誰も
見ていない場所に
着いた、君の肩に降る
 
自分を抱くように両手で触れて
永遠に
閉じた本の
声を聴く、誰の夢からも逃れて膝をついた
本にならない夜の、白い
呼吸の先、その影に呼応するように本体は
鳴いて






この記事が参加している募集

眠れない夜に

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?