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影送



人影は見えない
黄昏から逸らせなかった眼差しがひとつ光る、
君からは見えない
君を愛した燃える花びらに包まれて
瞳の底で
大きく開いた手のひらに降りて行く
言葉で、読み聞かせるように並んで
導いてきた軌道が砂と夜に
吹かれている、音を聞きながら
護ってきた時間の中で
詩になる、
今日の
寝息たちを見つめて、永遠と
永遠の狭間に漕ぎ出した燃える花、
掬い上げた手の
ゆれる影がきれい、
残された手札に愛が並んでいた頃の
影絵を
映した空にも今 とどいている眼差しが
ひとつ光る






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眠れない夜に

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