水域
両手をひらいて
辿った、
消えた無数の傷口から、
小さく
聞こえてくる沈黙は ふるえて、罪のない
言葉が僕の後ろに立っている、
階段をのぼる足を止めて、呼吸を
預けて、
読んでみる、いつか指に散った
流れ落ちて行く現実、あなたの手が
割った歪な
断面の夜に、まだ
言葉にできる痛みが ひとつひとつ生きて
深く流れる静脈が運ぶ、帰って来る、見上げる
頂上に
鼓動が響いて、なにもなかったかのように
閉じた約束が今日
燃えている、雨も 夢も
舞い上げて
切り込む、
忘れられた水の間に 傾いて待つ玉座、
罪に問われないまま
消し去る方法に
黙って
気づいた日から
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